前回、最新自転車の展示会「サイクルモード・インターナショナル」(11月2~4日・幕張メッセ)で巻き起こりつつあるe-BIKE(スポーツタイプの電動アシスト自転車)のムーブメントについて触れたが、会場ではe-BIKEの新たな可能性を探る展示もいくつか見られた。
そもそもロードバイク、マウンテンバイクなどのスポーツ自転車は人間の力を効率よく伝えるため、無駄なものは省かれて軽くシンプルな形状になってしまうもの。しかし、e-BIKEは電動アシストユニットがパワーを補ってくれる分、重量や荷物の搭載にも余裕が生まれ、ユニークな発想のe-BIKEが作れるようになるのだ。
e-BIKEは「働く自転車」に転用可能
自転車制作を学ぶ東京サイクルデザイン専門学校のブースでは、中国の電動アシストユニットメーカー「バーファン」のユニットを利用して制作した、働く自転車、働くe-BIKEが展示されていた。
ある学生は、魚市場などで見かけるターレー(ターレットトラック)をe-BIKEにしてしまおうという発想の1台を展示。ペダルが前にあるリカンベントタイプで、タイヤは6輪ある。荷台には300㎏までの荷物を積むことができ、マグロでもサメでも(!?)載せられる。もちろん排気ガスも音も出ないため、密集した市場内での使用も快適だ。
キャンプ用、タンデムも登場
そのほか、荷台がついたキャンプ用の自転車やタンデム自転車などもあり、こちらもアシストユニットを搭載することで様々な可能性が広がりそうだ。これらのe-BIKEは学生の卒業制作で市販はされないが、その自由な発想は興味深い。
三輪型は配達、キャンプ向き
一方、横浜のデザイン会社が設計した三輪自転車「ストローク(STROKE)」は、2020年中の市販を目指している。車体の中央部分が荷台になっていて、最大60kgまでの荷物を搭載可能。前輪が2輪になっているが、独立式のサスペンションを装備しているので、コーナーリング時も車体を傾けてスムーズに曲がれ、片輪だけ障害物に乗り上げても乗り心地は安定しているという。
アシストユニットは最高速24km/hで、エコモードで最長120km走行可能。試作を何度も繰り返し、油圧ディスクブレーキにしたことで前輪ブレーキの効きも左右均等になったという。デザインの完成度も高く、サイクリングだけでなく配達、キャンプなど様々な活用法がありそうだ。販売予定価格は35万円とのこと。
e-BIKEは自転車の延長線上よりも用途無限大
e-BIKEをスポーツ自転車の進化版とだけとらえるだけでなく、自由な発想で考えれば、従来の自転車の形やイメージにとらわれない新たな乗り物が生まれ、街を走るようになり、我々の生活を変えてくれるかもしれない。こちらの方向性の方がe-BIKEの未来は、明るいかもしれないと思えてくる。
(光石 達哉)