新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていたサッカーのFIFAクラブワールドカップ2020(CWC)が2月1日深夜(日本時間)、カタールで開幕する。
チーム紹介第1回は、開幕戦に登場予定のオセアニア王者・オークランドシティ(ニュージーランド)について紹介(※21年1月15日、コロナ禍の影響で出場自体を発表)
兼業選手が多い?決してあきらめない日本人選手とは?
チームマスコットにはサポーターとの熱い絆があった。
兼業アスリート活躍のセミプロ集団
オークランドシティはニュージーランド・フットボールチャンピオンシップの1部リーグ所属。ユニホームカラーから「ネイビーブルー」の愛称で親しまれている。創設1年目の2004~05年シーズンにいきなりリーグ初優勝を果たした衝撃のチームだ。
今回のCWCは17年以来3大会ぶり10度目の出場で、14年大会では3位に躍進したクラブだが、完全なプロチームではない。ほかの職業に就きながらプレーしている選手も存在している。
3位に輝いた14年の黄金時代にも司法試験に合格したての選手、海外を旅しながらモデルで生計を立てる理系学生、自動車部品販売やトラック運転手、キッチン用品営業マンらが在籍していたというから驚きだ。
クラブ本拠地のキウイティー・ストリート・スタジアムは収容人数3250人と非常に小規模。天然芝の緑が鮮やかなグラウンドだが、スタンドが低く設置されているためサポーターは間近に選手を感じることができる。
🖥 GOAL!!! Manickum equaliser #ACvWP #ISPSHandaPrem #NavyBlues #StrengthInUnity pic.twitter.com/C7gAIytRoH
— Auckland City FC (@AucklandCity_FC) December 19, 2020
監督はNZきっての名将
ホセ・マニュエル・フィゲイラ監督は英国生まれだが、長年ニュージーランド(NZ)各地で次世代選手育成に取り組んできた。
18歳から指導者を志し、NZでは04年から若手の才能発掘部門を担当。オークランドシティのユース監督や、ニュージーランドのナショナルアカデミーの指導者、U17の監督を務めたこともある。
16年8月にチーム・ウェリントンの監督に就任し、18年にはCWCに導くなど国内きっての名将だ。今回は、19年7月から就任したオークランドシティを率い、個人としては2大会ぶりのCWCの舞台に立つ。
失明の危機から復帰:松本光平
日本人選手も所属している。DF松本光平だ。
ジュニア、ユース時代はセレッソ大阪に所属し、高校卒業とともに名門チェルシーの下部組織へ。14年にはオークランドシティのOFCプレジデンツカップ優勝に貢献、19年はヤンゲン・スポールでCWCに出場するなど活躍していた。
しかし20年5月中旬、アクシデントに襲われた。自宅でチューブトレーニング中に、壁に取り付けた留め具が外れて右目を直撃。失明の危機に立たされ、日本に帰国して手術を受けたという。
現役続行、そして日常生活を送ることも難しくなった状況下で、クラウドファンディングで活路を開いた。20年6月から募集を開始し(同年8月募集終了)、なんと500万円以上の支援を集め、地道にリハビリを続けた。
現在はリハビリのかいあって、アイガードを着けながら練習を行えるまでに回復した。今回のCWCに向け、復活の準備はできている。
マスコットは亡くなった熱烈サポーターの愛称
チームのマスコットはNZらしく、果物ではなく国鳥の「キウイ」だ。
「Cam the Kiwi(カム・ザ・キウイ)」は、05年6月のOFCチャンピオンズリーグ出場時に初登場した。
#NavyBlues will wear All white tonight #CamtheKiwi #ClubWC pic.twitter.com/1fuk5TqpE0
— Auckland City FC (@AucklandCity_FC) December 10, 2015
その名称は、ある人物の通称「Big Cam」に由来する。
サポーターズクラブの創設者の1人、キャメロン・ジョーンズ氏だ。30代半ばでがんに倒れ、海外遠征の応援に駆けつけることができなくなってしまったが、クラブ側は熱烈な応援への感謝として、マスコットにニックネームを冠したという。
ジョーンズ氏の夢は、チームが世界の舞台でプレーすることだった。
06年、オークランドシティはCWCに初出場した。同氏はテレビでその様子を見届けたが、同年12月30日に他界した。
「Cam the Kiwi」は海外遠征の際には常にチームに同行。初代は13年CWCで”引退”したが、現在は2代目がCam氏に代わってチームを見守っている。
(mimiyori 編集部)