新型コロナウイルス感染拡大第3波の到来と共に、飲食店への時短営業が要請され始めた。2020年の終わりを目前に、再び窮地に立たされた飲食店経営。しかし、「外食産業のファンタジスタ」松村厚久は止まらない。
若年性パーキンソン病を抱えながら、圧倒的な才気で株式会社DDホールディングスを東証一部上場企業にまで押し上げた。 その実像に迫ったドキュメンタリー映画『熱狂宣言』が2018年の公開から2年を経て遂にDVD化。11月4日に発売され、12月2日にはレンタルもスタートしている。
松村厚久代表取締役社長グループCEOの歩みを振り返るコラム。このコラムを読めば映画「熱狂宣言」をさらに楽しめること間違いなし!
最終回の第5回は、大金が入ったセカンドバッグを車の屋根に載せたまま走った大事件について。
セカンドバックが車の上に…その運命は
ここまで、サイゼリヤでのバイト、オープン前のシェフの失踪、赤坂のフランス料理店の閉店など、数奇で運命的なエピソードが、成功ストーリーに華を添えてきた。
が、そのエピソード達をさらに超える隠し玉をまだ持っていたとは。
その舞台は、店が自転車操業、社員の給与支払いも毎月綱渡り状態だったころ。
当時、松村氏は経理も担い、給料日の前日に、松村氏が車で全ての店を回って、レジや金庫にある現金を小銭まで全部集めていた。
従業員の口座に振り込むと、一銭も残らない月もあるほど、お金の重みを感じていた頃、かなりお疲れになっていたのだろう、松村氏がとんでもないミスを繰り出す。
なんと、全従業員の給与を入れたセカンドバッグを、車の屋根の上に置いた状態で走らせてしまったというのだ。
経営の苦労を味わったことのない筆者でも、想像しただけで背筋がヒュッと凍ってしまう。
ならば、松村氏が助手席にセカンドバッグがないことに気付いた瞬間の絶望はどれほどか。
常人なら、全財産を失い、店は終わりを迎えるところだろう。
しかし、恐る恐るドアを開け屋根を見た松村氏の目に飛び込んできたのは、屋根にちゃっかりと座るセカンドバックだった。
というのも、松村氏はいつも安全運転を心掛け、法定速度きっかりの運転をしていたため、奇跡的に屋根の上から落ちなかったのだ。
“日ごろの行いが大事”、“どんな時も法定速度を守りましょう”という教訓として、ぜひ交通安全運動で紹介してほしい。
「この病気を克服した世界初の人間になってやる」
その後、2006年から若年性パーキンソン病との戦いが始まるが、今も経営の最前線に立ち続けている。
不自由なのは身体だけ、その分ヒューマンブリッジ頭脳は非常にクリアな状態で、病気になる前にも増して、感性や判断の切れ味が増しているとか。
さらに物事を冷静にとらえれるようになり、ひょっとしたら、この病気にかかったことに、何か意味があるのではないかと考えている。
病気になって、人生は有限であることを改めて認識した。
限りがあるのだから、立ち止まっている暇などない。
常に走りながら考える。
走り続けるために熱狂する。
コロナ禍でも絶賛熱狂中であろう松村氏に、私達も負けていられない。熱狂宣言だ!
(終わり=mimiyori編集部)
※これまで番組などで直接取材した経営者のかたの哲学についてまとめたコラムです。
新型コロナウイルス感染拡大による影響と闘う各業界の方々へエールを。
<映画「熱狂宣言」DVD概要>
■タイトル:熱狂宣言
■発売日:2020年11月4日(水)※レンタル2020年12月2日(水)
■価格:¥4,500(税別)/本編75分
<キャスト&スタッフ>
製作・監督:奥山和由/出演:松村厚久/音楽:木下航志(主題歌:LET YOUR LIGHT SHINE ON ME)/プロデューサー:江角早由里
<ストーリー>
松村厚久、 51歳。東証一部上場企業・DDホールディングス代表取締役社長。
従業員 約1万人、約500店舗を経営、年商 約500億円。
「外食界のスター」「革命児」「天才」「ビックマウス」「不思議ちゃん」・・・数々の異名を持つ男。
自らを“幸運な人間”だと断言する彼は、13年前から難病・若年性パーキンソン病を患っていた――
「ソナチネ」「地雷を踏んだらサヨウナラ」「ハチ公物語」「うなぎ」「GONIN」etc日本映画界のレジェンダリープロデューサー奥山和由が、苛烈な人生を全身全霊で生きる一人の男に迫った渾身のドキュメンタリー。
■発売元:よしもとミュージック ©2020吉本興業 / チームオクヤマ