あなたをガムシャラに応援します。
そう言われて、嬉しくない人はいない。
「我武者羅應援團」とは、その名の通り、人々を“ガムシャラ”に応援することを生業としている応援団だ。
“気合と笑いと涙”が一体となったその独自の応援に触れると何か一生懸命やってみたくなる。
そんな「我武者羅應援團」を結成したのが、團長・武藤貴宏だ。
さぞ、「応援を広めたい」とか応援という言葉にこだわっていると思いきや、團の最終的な目標は『この世から応援という言葉をなくすこと』だとか。
その真意に迫るべく、團長の生き様をひもとく。
第1回は我武者羅應援團が応援してきた名応援について。
プロ野球の阪神・矢野燿大監督、そしてレスリングの吉田沙保里さんへの応援は必見。
「自分を信じろ!! フレーフレーあなた!!」
危機的状況だからこそ ガムシャラに
「この状況で頑張っていない人なんていない」
「何が正解だかわからなくなった世界だからこそ、何が自分にとって正解なのか、思慮深く、冷静に、でも情熱を燃やし選ぶ必要があります」
「自分が大切にしたいものを“ガムシャラ”に大事にしましょう」
これはコロナ禍で頑張る人々に向けた「我武者羅應援團」からのエールだ。
2020年ももうすぐ暮れ、新たな年がやってくる。
この1年、とても早く過ぎたようにも、とても長かったようにも感じるのは筆者だけではないだろう。
それほど例年と違うことがあり過ぎて、苦しい時間も長く、それに順応しようとしている間に年末を迎えていた。
そんな時だからこそ、ふと、誰かに応援してもらいたくなる。
トップアスリートたちへの応援とは
プロ野球の阪神・矢野燿大監督の男泣き…
この応援を聴いて、心を動かさずにいられないだろう。
「我武者羅應援團」は、2007年に結成したプロの応援団。
「出動要請」に応じて、プロのスポーツ選手の壮行会から、成人式・卒業式にまで応援に出向く。
NHKの国民的大みそか番組「紅白歌合戦」や、英国の国営テレビ「BBC」にも出演歴があるというから、単なる応援という枠に留まらない。
過去には、16年リオ五輪でレスリング4連覇を目指していた吉田沙保里選手(当時)や、現在、世界一過酷なヨットレース「バンデ・グローブ」に挑戦していることで話題の海洋冒険家・白石康次郎さんに、直接エールを送った。
「あの日の後悔が一歩進む力となる」
トップアスリートでは全日本バレーボールチーム、ラグビーのオールブラックス、カーリング日本男子代表にもエールを送り、人間以外ではフランスのエッフェル塔、ニュージーランドの羊も応援したことがある。
ある日は「補欠のキミへ」、またある日は「20歳のあなたへ」、自分と異なる環境の人々に向けられた応援も、どこか心に刺さる。
武藤は思う。「あの日の後悔が一歩進む力となる」と。
今でこそ「我武者羅應援團」は、プロの応援団として各地から依頼を受けるようになったが、始まりは團長の挫折があってのことだった。
(つづく=五島由紀子 mimiyori編集部)