【経営哲学】LUFTホールディングス 南原竜樹代表 “元祖マネーの虎”が損失100億円! ホームレスから奇跡のV字回復へ①

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(写真:photoAC/ケンスケ1977)※写真はイメージ

これまで番組などで直接取材した経営者のかたの哲学についてまとめたコラム。

 
人生あきらめなければ、いつだって逆転できる。“冷徹な虎”の異名で知られた男が、一文無しの「どん底」から奇跡のV字回復を遂げていた。年商100億円を誇り、2002~04年に日本テレビ系列で放送されたリアリティ投資番組『マネーの虎』で人気者となったLUFTホールディングスの南原竜樹代表は、放送終了後に負債25億円を抱えて一時ホームレスとなったが、ゼロから再び年商100億円と大復活した。奇跡を起こしたのは、経営の能力でも金でもない。「人の大切さ」を知ったことだった。
 

 

 

 

 

所得税の存在を知らなかった

友人の家族が旅行会社に勤務していたこともあり、学生時代は安い海外旅行を繰り返した。車好きだったため、学生最後の旅行はドイツのディーラー巡り。そのドイツで車の現地価格の安さに衝撃を受け、24歳の時に高級外車の並行輸入ビジネスを行うようになった。会社を設立せずに個人で事業を行っていたが、27歳の時に国税局に所得税未納を指摘された。当時は収入を計算したことがなく、国税局員の指摘で初めて年収が約3億6000万円だったことを知った。

「請求書を持ってこい!」と一喝されたものの、税金はせいぜい1~2割だろうと高をくくっていた。ところが、高額所得者のため収入の5割ほど課税され、さらに2割が追徴課税されると聞いて愕然。初めて納税の手ほどきを受けた。当時、「少なく見積もっても」総額45億円を支払った。2017年までに総額60~70億円は納税していることから、国税庁から「本社を(名古屋から)東京に移さないでくれ」と言われたこともあるという。

自分に酔いしれた完全独裁者

 

 

 

1988年、株式会社オートトレーディングルフトジャパンを設立した。絶頂期は全国に20店舗の支店を設け、年商100億円を売り上げるほどの成功を収めた。イタリア・アルファロメオの代理店であるチェッカーモータースの買収や、英ロータス、MGローバーの輸入権獲得などで事業を拡大。英国では、VIP扱いを受け、ブレア首相と食事をする機会があったり、エリザベス女王の招待を受けたこともある。

会社では完全な独裁者だった。社員に対して、「働いてもらっているのでなく、働かせてやっている」、「給料をあげて食わせてやっている」、「社員は私の思い通りに動くコマ」と、傲岸不遜な態度で接していた。しかも「24時間365日働け!」と叱咤する意味で、営業の社員を「24365(ニヨンサンロクゴ)部隊」と呼んでいた。四六時中、仕事しか頭にない自分を「ストイックな俺、カッコイイ」とうぬぼれ、「1人でしゃべる自分に酔いしれる」、「遊んでいる社長をバカにする自分に酔いしれる」、「部下が帰りにくいオーラを出す自分に酔いしれる」など、完全なリーダーズハイだった。そんな横暴社長に、意見をする部下は誰もいなかった。

木刀片手にランボルギーニ乗り回す

当時、高級外車に乗るのは、本人いわく「怖い人」が多かった(“怖い人率”は車別でおおよそベンツは5割、コルベットは8割、リンカーンはほぼ10割だったという)ため、彼らとトラブルになることもしばしば。南原自身は、「組長クラス」にも車を売っていたため怖く感じてはいなかったという。

時には、「怖い」事務所にカウンタックやランボルギーニで乗り付けることもあった。しかも、木刀持参。ただし、実際には大きな音を出して威嚇するだけで、人や物には傷をつけないにようにした。そんな南原が1番怖かった瞬間は、イタリアで本物の銃を突き付けられた時。今となっては「いい思い出です」と笑う。
(②につづく=mimiyori編集部)

 

 

 

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