自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ。
今回はサイクリストとしてレベルアップの一歩、シューズとペダルを固定するビンディングペダルに初挑戦。
まずはどんなペダルとシューズがコイケに最適か選んでみよう。
ビンディングペダルって?
自転車はペダルとシューズを固定することで走りの効率がよくなり、よりスピードアップできたり、楽に走れたりするようになる。サイクリストとして、ひとつレベルアップしたと感じられるだろう。
見たことがある人も多いだろうが、競輪では現在もトークリップというつま先を覆うパーツがついたペダルとストラップでシューズを固定するのがルールだ。ロードレースなど他の自転車競技でもかつては同様のストラップを使用していたが、1980~90年代にワンタッチで固定できるビンディングペダルが普及し、一般のサイクリング愛好家の間でも広まっていった。
今までもともと自転車についていた普通のペダル(フラットペダル)を使っていたコイケも、そろそろビンディングを使ってみたいと興味がわいてきたということで、まずはペダルとシューズ選びから始めてみよう。
ロード用とMTB用
ビンディングペダルとシューズはそれぞれ専用のものが必要で、いずれも大きく分けてロード用とマウンテンバイク(MTB)用の2種類がある。
ロード用はクリートと呼ばれるシューズとペダルを固定するパーツが大きく、踏み込む力をダイレクトに伝えやすい反面、歩きにくい。MTB用はクリートが小さく、シューズも比較的歩きやすくなっている。
ロード用はシマノ、ルック、スピードプレイ、タイムなどいくつかブランドがあり、それぞれクリートの形やビンディングの固定方法が違うので、使い勝手や好みで選んでいいだろう。
一方、MTB用もいくつか種類があるが、国内で一般的に入手しやすいものはほぼシマノ一択。なお、シマノのMTB用ビンディングペダルは、SPDというシリーズで数種類ラインナップされている。
汎用性高い「片面ビンディング・片面フラット」
サイクリング先で散策する機会の多そうなコイケには、歩きやすいMTB用をおススメ。また、通学など短距離の普段使いでも自転車を使うことが多いようなので、長距離乗る時用の片面ビンディング、スニーカーのような普通の靴でも使える片面フラットのペダルがいいだろう。
もう1点気にした方がいいこととして、シマノSPDのクリートは、シングルリリースとマルチリリースの2種類がある。シングルリリースは固定力が高い分、かかとを真横に外側にひねる1方向にしかペダルが外れない。一方、マルチリリースは斜め上などあらゆる角度にひねっても外れる。初めてのビンディングには、外しやすいマルチリリースがおススメだ。
ペダルにはたいていクリートが1セット付属しているので、シマノSPDペダルの中で片面ビンディング片面フラットで、マルチリリースのクリートが入っている「PD-EH500」をコイケは購入した。
歩きやすさを求めるなら ソールは柔らかめ
次にシューズだが、こちらもロード用とMPB用に分かれている。ペダルよりもブランドの選択肢は多いが、コイケが選んだのはシマノの「XC3」というシューズだ。
自転車用のシューズは一般的にソールが硬く、競技用の上位モデルとなるとカーボンなど軽くて剛性の高い素材が使われる。踏み込む力をロスなくペダルに伝えるためだが、その分、歩きやすさは犠牲にしている。
もちろん、歩きやすさを求めるなら、ソール剛性が柔らかい方がいい。シマノのシューズはソール剛性が10段階で表されており、コイケがチョイスしたXC3は10段階中5とやや柔らかめのモデルだ。
本来であれば、もっと柔らかいソールのシューズもあるのだが、コロナ禍で世界的に自転車を利用する人が増える一方で、東南アジアなどにある自転車関連工場が操業停止になることもあるという。その結果、世界的に自転車用品は2年近く品薄が続いており、今回は手に入らなかった。
靴ひもではなく「BOAダイヤル」
それはさておき、このシューズにはBOAダイヤルが採用されている。自転車用のシューズは靴ひもがほとんど使われない。チェーンなどに絡まると危ないからだ。そのためベルクロ(マジックテープ)やバックルで固定するシューズが多かったが、約10年前に登場したのがBOAダイヤル。ダイヤルでワイヤーを締め付けるシステムで調整や脱ぎ履きがしやすく、今やミドルグレード以上のシューズの大半に採用されている。
ちなみに自転車用のシューズは、夏でも快適なように風通しのいい作りになっているので、冬場はシューズカバーをかぶせて防寒対策するのがいいだろう。
さて、次回はペダルの交換やビンディングペダルの初練習についてお伝えしよう。
(光石達哉)