【行ったつもりシリーズ】GWのおでかけに!自転車ライターおすすめの秩父サイクリングスポット<後編>

ループ橋を上り、3つめの滝沢ダムへ(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は、ゴールデンウイーク(GW)のお出かけ先として根強いファンを持つ埼玉県秩父エリアをサイクリング。

前編では羊山公園で見頃を迎えた芝桜を眺め、市内4カ所のダムのうち2つをめぐった。

後編は残る2つのダムを訪れ、ちょっとしたミッションのコンプリートを目指す。

 

 

 道の駅でサクッとおやつ補給

「道の駅 両神温泉薬師の湯」の売店で買ったくるみクッキー。
地元・小鹿野町産で、カリカリとした歯ごたえとほんのりとした甘さがある。
結局、この日のサイクリング中の補給はこれだけだったな…(撮影:光石 達哉)

2つめの合角ダムを出て、通行止めでちょっと回り道した後は、県道37号をしばらく南下。

この日は気温も高くドリンクの消費も多め。

13時半ごろ、小鹿野町の「道の駅 両神温泉薬師の湯」でちょっと休憩。

さほどお腹も減っていないので、その場でサクッと食べられるものを探し、くるみクッキーで軽く補給。

 

滝沢ダムに向かう途中、2匹の猿が道を横切り、木を登っていった(撮影:光石 達哉)

道の駅を出てアップダウンをこなしながらさらに南に進み、再び秩父市に入る。

国道140号にぶつかったら、今度は右折して西へ。

緩やかな上り坂を進んでいくと、140号が旧道と新道に分かれるT字路が現れるので、ここも右へ向かう。

 

 グッドデザイン賞受賞のループ橋って⁉

滝沢ダムの手前にあるループ橋。雷電廿六木橋(らいでんとどろきはし)というゴツイ名前がついている。グッドデザイン賞なども受賞している(撮影:光石 達哉)

しばらくペダルを漕いでいると目の前に大きなループ橋が現れ、その奥に3つめのダム、滝沢ダムが見えてくる。

このループ橋はダムの下から上までの高さを稼ぐためにあるようで、下流側からだとそこそこきつい上り坂だ。

 

滝沢ダムは堤高132m、提頂長424mは4カ所のダムの中で1番長い。
標高は568m。ダムの上からはループ橋も見える(撮影:光石 達哉)

ループ橋をグルっと回り、短いトンネルを抜けると滝沢ダムに到着。

合角ダムからは約37km走り、時刻はすでに15時半ごろだ。

滝沢ダムは平成20年(2008年)完成と4カ所のダムの中では一番新しく、見た感じも一番大きなダムという印象だ。

 

ここでもダムのすぐ横にある管理事務所へ向かい、入口のガラス戸を開けたところに置いてあるダムカードをもらう。

 

ダム湖の名前は、奥秩父もみじ湖。その名の通り、秋は紅葉が楽しめるようだ。
近くにはBMX、マウンテンバイクのコースもある(撮影:光石 達哉)

 

 秩父に江戸のロマンあり!関所があった⁉

全長2200mの大峰トンネルを通る。ここを抜けて、さらに直進すると甲府へと通じる雁坂トンネルがある(撮影:光石 達哉)

ダム湖に沿ってさらに西へ向かい、3つの長いトンネルを抜ける。

最後の大峰トンネルは2.2kmと一番長く緩やかな上りだが、交通量が少なかったのでそんなに肝を冷やさずに抜けることができた。

 

この道をそのまま行くと雁坂トンネルに通じ、甲府まで行くことができる。

標高2,082mの雁坂峠は日本三大峠の一つと言われ、古代にはヤマトタケルが東征の際に通り、その後、武田信玄が整備したという。

しかし、1998年に雁坂トンネルが完成するまでは自動車では通れなかったという難所だった。

残念ながら、今も自転車では雁坂トンネルは通行禁止だ。

 

国道140号の旧道・秩父往還。この山桜が咲いている栃本関所跡までが上り坂だった。
後で地図を見ると、ここまで上らない平坦っぽい道もあったようだ(撮影:光石 達哉)

さて、大峰トンネルを抜けたところで右にUターンする道に入り、次のダムへ向かう。

この道は、国道140号の旧道・秩父往還のようだ。

秩父往還は中山道(なかせんどう)と甲州街道をつなぐ街道。

どうやら先ほどの大峰トンネルの上を越えるようで、しばらく上り坂が続く。

道は細いが昔ながらの街道の名残りか、集落や民家もポツポツある。

 

標高750mぐらいまで上がったところに栃本関所跡がある。

ここは秩父方面から来ると信州方面と甲州方面との分岐点でもあり、戦国時代には武田家が番所を置き、江戸時代には関所が置かれたという交通の要所だったようだ。

 

 荒川の”源流” 秩父湖の絶景

坂を下りていくと二瀬ダムのダム湖、秩父湖が見えてきた。
この名前は、秩父宮妃が名付けられたそうだ(撮影:光石 達哉)

上り坂は、この栃本関所跡まで。

ここから先、クネクネとした道を下っていくと、最後のダム、二瀬ダムが見えてきた。

滝沢ダムからは約12㎞走り、時計は16時半を回っている。

 

二瀬ダムは堤高85m、提頂長288.5mで標高545mのところに造られている。完成後61年経った歴史あるダム(撮影:光石 達哉)

二瀬ダムは1961年(昭和36年)完成と秩父の中では群を抜いて古いダムで、コンクリートの黒ずんだ感じも時の流れを感じさせる。

 

ダムはアーチ形で、他の3つとは違う形式だ。

 

また、他の3つのダムは荒川の支流に造られていたが、この二瀬ダムは荒川の本流に築かれており、そういう意味でも兄貴分的なポジションになるようだ。

ちなみに、荒川はここから埼玉県をグルリと一周して東京の東部を流れ、はるばる東京湾まで注いでいるわけだ。

 

ダムはアーチ状になっていて、その上は三峰神社へと通じる車道となっている(撮影:光石 達哉)

ダムの上は一般道で車が行き来していて(ただし1台分の幅しかないので、交互通行)、その先は秩父三社のひとつで、パワースポットとしても有名な三峯神社へと通じている。

三峰神社は標高1000mを超える山の中にあるので、今日は時間的に厳しいがいずれ行ってみたいところだ。

 

二瀬ダムの管理事務所は、国道沿いを300mほど下流側に下ったところにある。

正面のガラス戸を開けたところにダムカードが置かれている。

 

 黄金の○○ゲット⁉「ダムカードの旅」コンプリート! 

秩父の4枚のダムカードすべて集めると、二瀬ダムのスペシャルカードもゲットできる(撮影:光石 達哉)

さて、秩父の4種類のダムカードをコンプリートすると、特別なダムカードがゲットできることになっている。

管理事務所の入り口のインターホンを押すと、女性の職員さんが出てきて「二瀬ダムの手作りダムカード」を渡してくれた。

手作りと言っても決してチャチなものではなく、金色っぽい縁取りに放水中の二瀬ダムの写真がプリントされ、ラミネート加工されているものだ。

 

このカードはここでしかもらえないため、今回は二瀬ダムを最後に訪れるような順番でルートを組んでいた。

しかも二瀬ダムの管理事務所は17時15分までしか開いていないので、時間的にもまあまあギリギリだった。

ちなみに、どうしても行けない人は郵送でも受け付けてくれるらしい。

 

さて、前回からダムカレーのことをちょこちょこ話題にしていたが、滝沢ダムと二瀬ダムのダムカレーは「道の駅 大滝温泉」のレストランで食べられる。

国道140号を東へ下り、先ほどのT字路を秩父市街方面にちょっと下ったところにその道の駅はある。

しかし、着いたのは17時を過ぎていて、レストランは閉まっていた。

15時前にもこの道の駅の前を通っていたのだが、そのときはダムカードを優先してスルーしていたのがいけなかった。

それにしても、道の駅のレストランやお土産屋って閉まるのが早い…

 

実は5年ほど前にここでダムカレーを食べた記憶があったので、そのときの写真を探していたのだが、見つからない。

うっすらと思い出した記憶によると、その日はスマホの電池がすでに切れていたのかもしれない。

 

 「横瀬町鯉のぼりまつり」は5月8日まで

秩父市街地に近づくと、セメント産業のため山肌を削り取られた武甲山が再び目に入る(撮影:光石 達哉)

仕方なく帰ることにして、国道140号をさらに東へ。

秩父市街地に近づくと午前中に訪れた浦山ダムや秩父のシンボル、武甲山の姿も見えてくる。

 

国道299号に入ると、芝桜の丘がある羊山公園のそばに「横瀬町鯉のぼりまつり」の看板があったので、ちょっとだけ寄ってみる。

 

横瀬町の鯉のぼりまつり。
武功温泉という温泉施設のそばで、今年は5月8日まで開催(撮影:光石 達哉)

荒川の支流である横瀬川の上に子どもの日を間近に控え、約180匹の鯉のぼりが舞っていた。

 

再び国道299号を走り、19時前にスタート地点の道の駅にゴール。

結局この日は120km超を走り、獲得標高も1600m超えと久々に上った1日となったが、なんとか走り切れてよかった。

 

今回のルート:①羊山公園・芝桜の丘-②浦山ダム―③合角ダム―④道の駅 両神温泉薬師の湯-⑤滝沢ダム―⑥栃本関所跡-⑦二瀬ダム―⑧道の駅 大滝温泉-⑨鯉のぼりまつり(撮影:光石 達哉)

秩父は他にも見どころが多そうだし、何と言っても走っていて気持ちいい道も多いので、また機会があれば訪れてみたい。

 

(光石 達哉)

 

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