自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ「若葉マーク脱出計画」。
今回はサイクリストなら避けて通れない初めてのパンク修理に挑戦!
基本となるチューブ交換作業を見ていく。
- 自転車タイヤは3種類 「クリンチャー」が一般的
- パンク修理のための必須5アイテム
- 手順① 車輪取り外し→タイヤをリムの外側に出そう
- 手順② チューブ引き出し→予備チューブに交換
- 手順③ タイヤをリムにはめる→空気を入れて完了!
自転車タイヤは3種類 「クリンチャー」が一般的
自転車のトラブルで最も多いのが、パンク。
街中であれば近くの自転車屋に持ち込んで修理してもらうこともできるが、田舎道を走っているとそうはいかない。
サイクリストならば、自分で基本的なパンク修理をできるようになった方がいいだろう。
自転車のタイヤにも、大きく3種類ある。
タイヤの内側にチューブが入っているのをクリンチャー、またはWO(ワイヤードオン)と呼び、ミドルグレード以下のスポーツ自転車をはじめママチャリなど多くの自転車で使われている。
その他、競技用などではタイヤとチューブが一体化してリム(ホイールの外周)にテープなどで貼りつけるチューブラー、自動車やオートバイのタイヤと同じようにタイヤとリムで気密を保持するチューブレスがある。
チューブラーやチューブレスがパンクすると、タイヤそのものを交換する必要がある(チューブレスは応急処置として中にチューブを入れることもできる)ので、パンク修理がより難しく高コストになる。
一方、クリンチャーの場合は中に入っているチューブを交換すればよく、比較的短時間で作業できるのもメリットだ。
というわけで、コイケは自分の自転車でも使われているクリンチャータイヤのチューブ交換に挑戦した。
パンク修理のための必須5アイテム
まず最低限必要な道具は以下の通り。
常時、これらをサドルバッグやツール缶(ツールボックス)に入れて自転車に搭載する。
交換用の予備チューブ…1日に複数回パンクすることもあるので、2本以上あると安心。自分のタイヤサイズに合ったものを選ぼう。
携帯ポンプ…携帯性を考えるとコンパクトなのも重要だが、やはり空気が入れやすいのが重要。延長ホースがあると使いやすい。
タイヤレバー…タイヤをリムからは外すとき、さらに再び装着するときに使う。3本タイプが昔からよく使われているが、最近はいくつか種類があるので自分が使いやすいものを選ぼう。
タイヤブート…タイヤそのものに傷がついて穴が空いた場合、チューブ交換しても7気圧など高圧の空気を入れるとタイヤの穴からチューブがはみ出して、再びパンクしてしまう。そんなときはタイヤブートをタイヤの裏からあてて、それを防ぐことができる。紙幣(1000円札)など丈夫で破れにくい紙でも代用できる。
イージーパッチ…チューブの穴をふさぐシール状のパッチ。数カ月するとはがれてくることもあるので、あくまで緊急用。
手順① 車輪取り外し→タイヤをリムの外側に出そう
ここからはパンク修理、この場合はチューブ交換の手順について紹介しよう。
タイヤがパンクしたとき、まずはタイヤの表面をチェック。穴が空いていたり、尖った石やガラス片などを踏んでないか確かめる。
タイヤ表面に傷がなくても、チューブのみが衝撃や劣化によってパンクすることもある。
次にフレームから車輪を取り外す。
ミドルグレード以下のスポーツ自転車の場合、クイックリリースによって車輪がフレームに固定されていて、レバーを上げることで簡単に車輪が緩むようになっている。
最近は、ディスクブレーキ搭載の競技用のロードバイクやマウンテンバイクなどは、スルーアクスルというより太いシャフトで固定するタイプも増えているが、まだまだクイックリリースの自転車も多い。
チューブを取り外しやすくするため、バルブから残っている空気を抜く。
自転車用チューブのバルブは英式、米式、仏式と3種類ある。英式はママチャリなどの一般車、米式はマウンテンバイクやクロスバイク、仏式はロードバイクに多い。
それぞれ空気入れのノズルの形状も違ってくる。
コイケのランドナーは仏式のチューブだったので、先端のネジを緩めて空気を抜く。
いよいよ、タイヤレバーを使ってタイヤをホイールのリムから外す。
一般的な3本タイプはタイヤとリムの間にレバーを差し込み、タイヤの端のビードと呼ばれるワイヤーを持ち上げてリムの外に出し、レバーはスポークに引っかけて固定する。
1~2本のレバーで固定した後、残る1本のレバーをスライドさせながら、タイヤ1周分すべてをリムの外側に出す。
半分ぐらい出ると、力を入れなくてもスムーズに外せるようになる。
手順② チューブ引き出し→予備チューブに交換
タイヤとリムはメーカー間で互換性があるように同じ規格で作られているのだが、それでもコンマ数mmの差がある。
したがって簡単に外せるときもあれば、きつくて力を入れてもなかなか外れないときもある。またビードの太さや固さの違いによってもタイヤの脱着のしやすさは変わる。
外れにくいとタイヤレバーに変に力がかかって、中のチューブを傷つけてしまうこともあるので注意。
今回のコイケのタイヤも固くて苦戦し、タイヤレバーの先端が1本折れてしまった。まあ消耗品でもあるので、これはしょうがない。
チューブを取り外したら、タイヤの内側に小石などの異物がないかチェックしよう。
穴があれば、タイヤブートを裏からあてる。
ここからは予備チューブに交換。
最初、チューブがちょっと膨らむくらい軽く空気を入れると、タイヤの中に入れやすくなる。バルブ部分から最初にはめて、タイヤの中にチューブがすべて入るようにする。
手順③ タイヤをリムにはめる→空気を入れて完了!
次に、タイヤをリムの内側に入れていく。
ある程度までは手で入れることができるが、残り少しのところで固くてタイヤが上がらなくなったら、再びタイヤレバーを使ってテコの原理でリムの内側に入れる。
このときも交換したばかりのチューブを傷つけないように。せっかくの作業が水の泡になる。
タイヤがはまったらタイヤとリムの間にチューブが挟まっていないかチェックして、携帯ポンプで空気を入れる。
タイヤの指定空気圧まで入れるのは難しいが、できる限り頑張って走り出せるくらいまでは空気を入れよう。
次回は応用編。パンク修理がより便利になるアイテムや、ちょっとしたコツなどを紹介しよう。
(光石 達哉)