自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ「若葉マーク脱出計画」。
前回はパンク修理の基本であるチューブ交換に挑戦したが、今回は応用編として便利なアイテムやちょっとしたコツを紹介しよう。
使いやすさピカイチの絶版タイヤレバーとは?
パンク修理やタイヤ交換に欠かせないタイヤレバー。
前回紹介したようにタイヤレバーは3本タイプが一般的だが、初心者には扱いづらいし、タイヤが硬かったりすると、なかなか作業がはかどらない。
そんなときは、違うタイプのタイヤレバーを使うのも手だ。
個人的に一番使いやすいのは、クランクブラザーズというパーツメーカーが出しているスピードレバー。
レバーを伸ばしてクイックリリースのシャフトに片方を引っかけて、もう片方の先端をタイヤとリムの間に差し込んでグルッと一周すれば、タイヤが外れる。
タイヤを装着する時は先端のパーツの下側を使い、同様にグルッと回転させる。力のかかる部分を注意して扱えば、硬くてきついタイヤでも脱着できる。
弟子コイケも絶賛
3本タイプのレバーに四苦八苦していたコイケも「これはいい!」と絶賛していたが、実はこのスピードレバーは5年ほど前に絶版になっていて、現在はほぼ入手不可。
僕は2、3本買いためていたけれど折れてしまって、今は1本しか残っていない。
これの後継モデルとしてクランクブラザーズから発売されたのが、似たような名前だが形はまったく違うスピーディアレバー。
指を入れて使うグリップ形状になっていて、スピードレバーと同じようにリムに沿って動かすことでタイヤの脱着ができる。
根本的な使い勝手はほぼ同じだが、硬いタイヤの場合は旧型のスピードレバーの方が使いやすい印象だ。
また形状的にスピーディアレバーはかさばるので、収納もちょっと困る。旧型が再発売されることを願いたいが、難しいかな。
最後に紹介するのが、タイヤペンチ。
最近、ネットで見つけたので試しに買ってみた。
タイヤを装着する最後のところで挟んで持ち上げて使用するようだが、コイケの硬いタイヤではうまく引っかからず、今回はうまくいかなかった。
他のタイヤならうまくいくかもしれない。
自転車界隈でウワサ 高圧まで入る「例のポンプ」
パンクした時、小さな携帯ポンプで空気を入れるのはなかなか大変だ。
直接ポンプヘッドをバルブに差すと、力も入れにくいし、バルブが折れてチューブが台なしになるおそれもある。
そんな時は延長ホースを装着すれば、地面にポンプを押し当てることで力を入れてポンピングできるし、バルブを傷つけることもない。
しかし、それでもだんだんポンプが重くなって空気が入らなくなる。
本来7気圧ぐらい入れたいのに、2~3気圧ぐらい入れるとヘトヘトになってしまう。
空気圧が低いまま走ると、走りが重くなったり、コーナーでズルッと滑ったり、パンクのリスクも増えたりと、いいことがない。
そんな中、数年前からサイクリスト間のネット界隈で「例のポンプ」と呼ばれる携帯ポンプが話題になっている。
中国製で「LANDCAST」などのブランド名で大手通販サイトでも購入可能だが、その最大の特徴は高圧になっても軽い力でポンピングできることだ。
ただし、7気圧入れるには約300回ポンピング必要と、それなりに大変だ。
そんな時はある程度走れる空気圧まで入れたら、近くに自転車屋やサイクルステーションがあれば、空気入れを借りる方が早いこともある。
サイクルステーションは地域によっていろいろ呼び名はあるが、サイクリングによる観光誘致のため自治体や観光協会、道の駅などが設置しているところで、ポンプや工具などを貸してくれる。
穴の空いたチューブは持ち帰って修理
パンクして穴の空いたチューブは捨てずに持ち帰れば、修理してまた使える。
バーストしてチューブがビリビリに破けてしまった時は修理不可能だが、数mm程度の穴なら修理してふさぐことができる。
応急処置用のイージーパッチは短時間に修理ができるけれど、あくまでも外出先の緊急用で数カ月するとはがれてくることもある。
ちゃんとした修理をするなら、自宅に持ち帰ってゴムのりとゴムパッチで修理しよう。
水中にパンクしたチューブを入れて穴の位置を特定したら、紙やすりをかけてゴムのりを塗り、10分ほど乾かした後、ゴムパッチを貼り、最後はハンマーなどで叩いて密着させる。
作業時間はかかるが、うまく作業できればもともとのチューブと変わらないくらいの強度と耐久性が復活する。
ウワサをすれば影…取材帰りに何と師匠がパンク
さて、コイケとの取材を終えて帰る途中、自分の自転車の後輪がパンクしてしまった。
最近まったくパンクしてなかったので、2年ぶりくらいだっただろうか。
タイヤ表面には傷がなかったのでおそらくチューブの劣化だろう。
サドルバッグ、ツール缶から道具を出して、スピードレバーでタイヤを外してチューブを交換し、再びスピードレバーでタイヤをはめて、携帯ポンプで空気を入れた。
写真を何枚か撮りながら15分ぐらいの作業で終えた。
とはいえ、空気圧は十分入っているとはいえない。
幸いすぐ近くにサイクルベースあさひがあったので、ポンプを借りて7気圧まで空気を入れることができ、無事に帰ることができた。
パンクはいつどこで起こるか分からないので、必要な道具をそろえて修理の仕方を把握しておくようにしよう。
(光石 達哉)