読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
東京2020大会の自転車ロードレースのコースを一部活用した新たなレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」が7月13日に開催される。大会前にそのコースを自転車で走ってみて、勝負どころや観戦ポイントをチェックしてみた。後編は、勝負どころとなる青梅市の周回コースを走る。
勝負どころは青梅周回コース
東京2020五輪のコースを部分的に通過する前半、「武蔵野の森公園」(府中市、調布市、三鷹市)をスタートし、「青梅駅前交差点」まで約67kmを走ってきた。ここまでは全長133.8kmのレースのまだ半分で、これからが山場の後半戦となる。
男子のレースはここから青梅市内の周回コース(1周約16.6km)を4周する。なお、同日行われる女子のレースは、青梅駅前をスタート・フィニッシュ地点としてこの周回コースを2周する約33.5kmのレースで争われる。スタートは午前7時25分で、フィニッシュ予定は男子レースがやってくる前の同8時18分。つまり朝からこの周回コースのどこかで観戦していれば、男女合わせて6回レースを観戦できることになる。
ちなみにレースフィニッシュ後、同11時30分から一般サイクリストがこの周回コースを1周走行できる「コース体験ライド」も予定されている。
話は戻って、選手たちは旧青梅街道の青梅駅前交差点をまず西へ走り、約500mで周回コースの起点となる「青梅坂下交差点」を通過、この辺りから道は青梅街道に合流し、さらに西へ進む。
青梅の市街地を抜けると、一気にのどかな景色となり、左側には多摩川もチラチラ見えてくる。道は川の流れに合わせて緩やかに曲がりつつ、アップダウンしている。普通にサイクリングしていると気持ちいい。この日はずっと酷暑の中を走ってきたけれど、午後になって少し雲が出てきて、木陰に入ると風が涼しく感じる。
(撮影:光石 達哉)
なお、この青梅街道沿いのお店「セブン-イレブン 青梅日向和田3丁目店」、「へそまんじゅう総本舗」「ローズタウンティーガーデン」は、敷地内での観戦が可能だ。
最大の難所から「山岳賞」の上りへ
青梅市街地から6km強走り、「軍畑(いくさばた)駅入口交差点」で右折。V字を右斜め方向に曲がると、急な上り坂が現れる。ここからがこの周回コース最大の難所だ。また、交差点の手前は下り坂でスピードが出るため、コーナーへの飛び込みもスリリングだ。
上り口の勾配はややきついが、すぐに緩やかになり、短い下りもある。ただ1kmほど走ると勾配7~9%の厳しめの坂が続き、交差点から2.2㎞で峠の頂上に到達。普段はなんの目印もないが、ここは榎峠とも呼ばれていて、以前は小さな看板があった。ちょっと探したけれど、見落としたのかなくなったのか、この日は見当たらなかった。
この上りの頂上には、「山岳賞(KOM=King of Mountain)」が4周回とも設定されている。毎周回、上位通過した選手にはポイントが与えられ、その合計で山岳賞が決定する。なお、山岳賞ポイントは標高約350mで、大会HPによると、上りの距離2.2km、標高差143m、平均勾配 5.9%。最大勾配は18.4%とあるが、ほんの瞬間そんなところもあるのかもしれない。
この上り区間の沿道は、観戦可能エリアにも設定されている。上り坂は選手のスピードも落ちるし、勝負を左右するレース展開も生まれやすく、ロードレース観戦でお薦めのスポットだ。レース中は自転車で入れないため徒歩移動となるが、軍畑駅入口交差点付近には臨時駐輪場も設置される。
(撮影:光石 達哉)
山岳賞を越えると、約4kmの長めの下りでかなりのスピードが出る。上りで遅れた選手も、下りで追いつけるかもしれない。下り切ったところで交差点を直進し、長さ604mの「新吹上トンネル」に突入する。トンネル内は緩やかな上りけど、何より中は涼しいので暑い日は一息つけるポイントだ。
トンネルを抜けると再び下り坂で、その先の「黒沢二丁目交差点」を右折。
ここからは最後の上り坂だ。距離 2.1km、標高差90m、平均勾配4.4%、最大勾配 10.4%で、ここも後半になるにつれて厳しい坂になる。選手たちの最後の争いが見られるかもしれない。
上り坂を越えてゴールへ到着
登り切ったところには短い青梅坂トンネルがあり、その先は急な下りで青梅坂下交差点へ。
(撮影:光石 達哉)
1~3周目は右折して次の周回に向かうが、4周目は左折して約500mで青梅駅前交差点でのフィニッシュとなる。誰かが単独で飛び込んでくるのか、それとも集団でのスプリント争いになるのか。道幅はそれほど広くないので、迫力ある戦いになりそうだ。
僕の試走は、周回コースは1周しか走らず、距離は計84.4km、獲得標高730m、走行時間約4時間半、休憩、撮影、信号待ち含めたトータルで7時間強かかった。
一方、選手たちは同じく1周回終了までの距離を約2時間で走る想定で、133.8km走った後のフィニッシュはスタートから3時間ちょっとの10時37分が予定されている。やっぱ速いや。
もし自転車で観戦に行くのなら、軍畑駅周辺で周回コース2周目まで観戦、その後、多摩川の対岸の吉野街道は交通規制されていないので、この道で青梅駅近くまで戻る。ゴール周辺はすでに場所取りしている観客も多いかもしれないから余裕を持って早めに行って、ちょっと離れたところでゴール前の争いを見るのがいいかもしれない。
(光石 達哉)