自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ「若葉マーク脱出計画」。
自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ。今回はコイケが自転車レースを初観戦。世界最高峰のレース、ツール・ド・フランスの名を冠した「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が11月6日、さいたま新都心で行われたため出かけてきた。
なぜ、さいたまでツール・ド・フランス!?
ツール・ド・フランスは、夏季五輪、サッカーW杯と並んで世界3大スポーツのひとつに数えられる(諸説あり…)。120年近い歴史を持ち、現在は毎年7月、約200人の選手が約3週間、約3,500km走ってフランス全土を一周。その間、アルプスやピレネーの峠をいくつも越え、世界一過酷なスポーツともいわれている。
一方、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは、ツール主催者であるA.S.O.が、自転車ロードレースの世界的な普及を図るために行っているもので、さいたまでは2013年から開催し、過去には上海、2022はシンガポールとアジア地域で積極的に展開している。
「クリテリウム」とは、街中の1周数kmのコースを周回するロードレースで、本場のツールと比べるとレース規模ははるかに小さい。さいたまクリテリウムは公式戦ではなく、プロ野球でいえばオールスターやシーズンオフに行われる日米野球のようなもので、世界のスター選手が魅せるレースをしてファンを楽しませるといった雰囲気だ。
ちなみに、毎年10月に栃木県宇都宮市で行われるジャパンカップ・サイクルロードレースも、海外選手が多く来日する人気レース。こちらはUCI(国際自転車競技連合)の公式戦であるため、シーズンのポイント争いなどよりシビアな戦いが見られる。
とはいえ、ツールで活躍したスター選手が日本で一堂に集結するのは、このさいたまクリテリウムだけ。今大会も、2022初の総合優勝を成し遂げたデンマーク人のヨナス・ヴィンゲゴー、過去4度総合優勝のクリス・フルーム、日本人最多7度のツール出場を誇る新城幸也ら世界で活躍する選手が多数来日し、さらに国内チームの選手も出場。コロナ禍による中断で2019年以来3年ぶりの開催となったこともあり、観客の期待度も高まっている。
コースへのアクセスは最高
最近、漫画「弱虫ペダル」を読んでいて、自転車レースに興味があるというコイケにとっては初のレース観戦。この日、都内から自転車で約30kmかけて、さいたま新都心へ向かった。
コースはJRさいたま新都心駅の周りに設定されていて、電車でのアクセスは世界一クラス。駅を出ると目の前にコースが設定されていて、さいたまスーパーアリーナやショッピングモールのコクーンシティの前など、まさに大都会の真ん中を選手たちが駆け抜けていく。
コース周辺ではイベントも盛りだくさん
午前11時ごろに到着したが、クリテリウムメインレースは午後2時55分スタートとまだ時間があるので、会場周辺を散策。
この日は、さいたま市の食をテーマにしたブースが並ぶ「さいたまるしぇ」、自転車関連のブースが集まる「サイクルフェスタ」などの周辺イベントも開催されている。
コース上でもメインレースの前に、市民らがコースを走る一般体験走行、選手たちが顔見せで1周走るオープニング走行、1周のタイムを競うタイムトライアルレース(個人・チーム)が行われた。観戦するには、一部有料エリアはあるものの、基本的には無料。3年ぶりの開催で沿道は選手たちを見ようと、早くから観客が場所取りしている。いろいろ見物していて、場所取りレースに出遅れたコイケだったが、クリテリウムメインレース直前にさいたまスーパーアリーナの目の前の道で最前列を確保した。
至近距離でレースの迫力を体感!
いよいよ午後2時55分にメインレースがスタート。今回は52選手が、1周3.5kmを17周する59.5kmのレース。カラフルなジャージをまとった選手たちの集団がフェンスギリギリ、目の前数センチを疾走する!他のスポーツではありえない迫力を至近距離で感じることができるのが何よりも醍醐味。周回数が多い分、何度もその興奮が訪れる。
ちなみに今回はYouTubeでの生中継も行われていたため、見えないエリアを走っている時もレースの状況を確認できた。
優勝は、ベルギー人のヤスパー・フィリプセン。ゴール前、平坦な道でのスピード勝負に長けたスプリンターと呼ばれるタイプ(自転車的には「脚質」という)の選手で、持ち味を果たした形になった。
レース初観戦のコイケは「最前列で見れたので、迫力がすごかった!さいたまだけじゃなく、日本のいろんな名所でやってくれれば、もっと盛り上がるし、多くの人に知ってもらえるんじゃないかな。来てよかった!」と目を輝かせていた。
まだまだ日本では認知度が低い自転車ロードレースだけど、この日のさいたまには確かな熱狂と興奮があったのだ!
(光石 達哉)