【自転車】サイクルモード東京2024②~ありそうでなかった「空気抵抗を減らすアイテム」も

自転車用フェアリング「Model i-2.0」。これで向かい風のサイクリングも楽になるかも(撮影:光石 達哉)

日本最大のスポーツサイクル展示会「CYCLE MODE TOKYO(サイクルモード東京)2024」が、4月6~7日の2日間、東京ビッグサイトで開催された。レポート後編は、アイテム編。会場では自転車関連のパーツやアクセサリーも数多く出品されていたが、その中から個人的に気になったモノをピックアップする。

 

 

 

ありそうでなかった!空気抵抗低減アイテム

自転車との取り付けはゴツめの支柱で行うが、特殊なABS樹脂製で見た目より軽くて頑丈(撮影:光石 達哉)

自転車を走らせる上で大きな抵抗の一つが、空気抵抗といわれる。

特にここ数年はフレームやホイールなど自転車本体に関連するものだけでなく、ヘルメットやジャージといった人が身に着けるものまで空気抵抗を低減するアイテムが研究開発されており、それがレースの結果や戦術にも変化を与えるほどだ。

 

そんな中、気になった商品が「CdEaK-JPN」という会社が出品していた自転車用フェアリング「Model i-2.0」なるもの。オートバイの風防のような”盾”を自転車に取り付けて、空気抵抗を低減するという。空気の流れをスムーズにし、走行中に気圧が低くなるサイクリストの背中部分にスムーズに気流を送り込むことでその効果が得られるとか。今までありそうでなかったユニークな空力アイテムだ。

軽くて衝撃に強い高靭性特殊ABS樹脂を使って3Dプリンターで製作し、重量は約400~450gと見た目のボリューム感よりも軽い。自転車への取り付けも付属のゴムと結束バンドで行い、ほとんどのロードバイク、クロスバイクに装着可能。慣れれば5分で脱着できるという。一般販売はされておらず、クラウドファンディングで1口1万9000円を出資した人にリターン品として提供される(すでに締め切り)。


ルール上、公式のレースでは使えず、市民レースでも主催者判断でOKとなるかどうか微妙なところだが、個人的なサイクリングなら問題はないだろう。普段、河川敷など風が強い場所を走っていて、苦しい思いをしている人には役立つかもしれない。

 

究極の電動変速機 「EDS」シリーズ

第4の電動変速として登場した「WheelTop EDSシリーズ」。リア7~13速まで対応し、大半のスポーツ自転車に装着できる(撮影:光石 達哉)

最近、自転車業界で話題になっている「WheelTop(ホイールトップ)」という中国メーカーのワイヤレス電動変速機「EDS」シリーズも展示されていた。

電動変速とは電動アシスト自転車と違い、前後ギアの変速をモーターで行うもの。10数年前から普及し、今やプロのロードレースではほぼ100%使用されている定番の機材。

さらにここ数年は、変速レバー(スイッチ)と変速機をワイヤレスでつなぐものが一般的になってきている。

 

これまではシマノ、カンパニョーロ、スラムという自転車部品の三大ブランドで電動変速機のシェアのほぼ100%を占めてきた。しかし、安価なグレードの低いものでもフルセット20万円前後、最高峰グレードだと80万円以上もする高級品(ブレーキ含む)で、誰しもが手を出せるものではなかった。

 

ところが、このEDSシリーズは、10万円前後と破格の価格設定。さらに他ブランドにない大きな特徴が、リアの変速を7~13速の間で変更できることだ。

 

バッテリーは変速機に直付けで、写真中央が充電用の端子。満充電でフロントは9000回、リアは2万回の変速が目安という。防水防塵性能も備えている(撮影:光石 達哉)

他ブランドでは、リアのギアの枚数はグレードや年式によって決まっており、例えば12速用の変速機を11速や10速のギアに使うことはできないが、EDSならそれも可能。7速、8速といった電動変速に対応していなかった入門用自転車にも取り付けられる。


また、ロードバイク用の「EDS TX」は、ブレーキレバーが油圧ディスクとワイヤー引き両方をラインナップ。マウンテンバイクやクロスバイクに取り付けられるフラットバー用の「EDS OX」もあるため、言ってしまえばほぼすべてのスポーツ自転車を電動変速化できるということだ。

 

フラットハンドル用の変速スイッチ。ワイヤー式より指の操作がコンパクトにできる。ワイヤレスなのでハンドル周りもすっきりした印象(撮影:光石 達哉)

もちろん、電動変速は繊細な動きをする部分なので、その性能は気になるところ。

その点、WheelTopは長年世界中のメーカーに自転車パーツのOEM供給を行っていて技術力には自信を持っており、ブースでローラー台に設置されていたデモ機を操作してみたが、実用には問題なさそうだった。

 

税込価格は8万1400円(「EDS OX」フラットハンドル用)~12万8700円(EDS TXドロップハンドル用・油圧ディスクブレーキ仕様キャリパー付き・カーボン)。日本の自転車メーカー「ホダカ」がWheelTopの輸入代理店となり、5月初めから全国の自転車専門店で取り扱いが始まっている。

 

正直、個人的には長年乗っているロードバイクのワイヤー引きの変速機の動きが悪くなってきて、かといって新車を買う予算もないため、EDSで電動変速化するのもありかなと頭の中でそろばん勘定しているところだ。

 

 

ブレーキランプ機能があるヘルメット

前後ライトを装着したヘルメット「ALPINA BRIGHTON MIPS」。ブレーキ時にリアライトを点滅させることもできる(撮影:光石 達哉)

最後にヘルメットをひとつピックアップ。

2023年4月、すべての自転車利用者がヘルメット着用することが努力義務化された。街中でも少しずつかぶっている人も増えているが、まだかぶっていない人の方が大多数といった印象だ。

 

そんな中でも各ブランドからさまざまな製品がリリースされているが、ドイツの「ALPINA(アルピナ)というブランドから、前後ライトを装備した「BRIGHTON MIPS」というヘルメットが出品されていた。

 

このヘルメットは前に白色灯、後ろに赤色灯がついており、常時点灯、点滅など4パターンのモードで光らせることができる。さらに加速度センサーが内蔵され、クルマのブレーキランプのように減速時にリアライトを点滅させることはできる。

もちろん自転車にもライトをつけなければいけないが、ヘルメットのように高い位置にライトがあると、クルマなどからも見やすいためより安全だ。

 

また、MIPS(Multi-directional Impact Protection System=多方向衝撃保護システム)と呼ばれる安全機構も搭載、これはヘルメットの内側と外側が独立して動く構造で、転倒した際に頭が斜め方向に地面と接しても、衝撃をある程度逃がすことができるという。税込価格は4万9500円とヘルメットとしては高級品で、重量465g。

 

(光石 達哉)

 

 

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