海外、国内へ取材に行くと、その国、土地ならではの特色や意外なヒト・コト・モノに出会う。取材陣が実際に足を運び、体験した海外&国内のプチ情報を紹介する。
今回は、海外出張で行った先のエジプトで「ミュージアム」ではなく「ミュージーアムおじさん」に遭遇したお話。果たして?!
最初はそこまで怪しくなかった
海外では多少だまされたり、損したりするのも、ある程度までは許容範囲内、「社会勉強になったな」と受け入れた方がいいかなと思うこともある。以前、エジプトでギザの3大ピラミッドを観光に行ったとき、物売りのおじさんが売っている安いバッグを買ったら、そのおじさんにしつこくつきまとわれてしまった。
3大ピラミッド周辺はエリアに入るのも入場料が必要で、エリア内にいる物入りや私設ガイドも公認のIDみたいなものをぶら下げていて「オレは怪しい奴じゃないよ」アピールしていたので、本当にそこまで怪しい人ではなかったのだろう。それにピラミッドが3つ並んで見える撮影スポットなど、いろいろ案内してくれたのは確かにありがたかった。
ただ、そのおじさんは「パピルスのミュージーアムがあるから、最後はそこに行こう」とやたら誘ってきた。スフィンクスも近くでじっくり見たかったのだが、そこは素通りして「パピルスのミュージーアムから、スフィンクスもよく見えるから」と、急かすように連れていかれた。
その「ミュージーアム」は博物館ではない
着いた先は、ちょうど有料エリアを出たところにある3階建てぐらいの小さいビル。確かにエジプト風の絵が描かれたパピルス(古代エジプトで紙を作るのに使われていた植物、またはその紙自体を表す)が並んでいるが、ミュージーアムというよりお土産屋だ。要は自分のお店をミュージーアムと言って、観光客を誘い込んで買い物をしてほしいという話だったわけだ。おじさんの言う通り、そのビルの屋上からはピラミッドとスフィンクスが一度に見渡せるいい景色が広がっていた。そんなに飲みたくなかったけど、紅茶も用意してくれたりと(普通のリプトンのティーバックだったけど)、いろいろもてなしてもくれた。
パピルスについてもなんやかんやと説明してくれるけど、まったく買う気がなかったので、店を出ようとしたら「さんざんガイドしてやったんだから、いくらかくれ」と言ってきた。いろいろ案内してくれて多少世話にもなったので、あきらめておとなしく払おうと思ったけど、小額紙幣の手持ちがなかった。やむなく日本円で1000円ちょっとのエジプトポンドを渡して店を出た。「まあ、こんくらいはしょうがいないかな」と、とりあえず自分に言い聞かせた。
おじさん2号も出現
先ほどの件もあるので、こちらもいくらかは警戒している。目の前に手荷物検査のゲートがあって、そこに入っていく人がいたので「中に入っている人がいるじゃないか」と言っても、「彼らは職員だから」とか言い訳をする。
この「ミュージーアム」も博物館ではなかった
一応、そのおじさんに付いて1分ほど歩いていくと、案の上ミュージーアムとは名ばかりのお土産物屋だった。店の前でそのおじさんはいなくなったので、僕も店に入る素振りをしつつも「後で来る」とか適当なこと言って中には入らず、ちょっと回り道して考古学博物館の前に戻った。そのおじさんはもういなくて、もちろん博物館も休憩中ではなく普通に中に入れた。あと多少騙されても、土産話ができたぐらいの大きな気持ちでいることも大事かな。(光石 達哉)