東京五輪開幕まで約1カ月となり、コロナ禍での開催に向けていよいよ動き出してきている。聖火リレーも終盤となってきたが、どんなところを走るのか事前に自転車で走ってみようというこの企画。今回は、東京都のコース第7弾で国立市、国分寺市、小平市、東大和市、東村山市を見ていく。
- 5日目スタート!国立名物・大学通りを南下
- 国分寺市①:”新幹線”の前からスタート
- 国分寺市②:徳川家が鷹狩りを行った「お鷹の道」へ
- 小平市:「ぶるべー」と「東京ドロンパ」がお出迎え
- 東大和市:平和広場で想いを馳せる
- 志村けんの故郷・東村山市で5日目フィニッシュ
5日目スタート!国立名物・大学通りを南下
東京都は緊急事態宣言が解除され、7月11日までまん延防止等重点措置に切り替わる。これを受けて東京都での聖火リレーは7月9~11日の最初の3日間、公道でのリレーを中止する方向で最終調整に入っているというニュースもあり、今まで紹介してきたコースも幻となる可能性が高まってきた。
それはそれとして、本来の予定では東京都の聖火リレーは15日間行われるのに、ここまで1カ月以上かけてまだ4日分しか下見できていない。これではこの企画が本物の聖火に(予定通り行われると)追い抜かれかねないので、ちょっとペースを上げいこうと思う。もちろん、走行中は感染対策に注意を払い、他人との接触を最小限にしている。
というわけで、前回は7月12日・東京都4日目の最後の区間、立川市まで走ったので、今回は7月13日・東京都5日目の第1区間、国立市から出発する。スタート地点は、「JR国立駅南口ロータリー入口」だ。このあたりの駅は最近リニューアルされているところが多いのだが、国立駅も2006年に三角屋根の旧駅舎が解体され、新しい駅に切り替わった。しかし、市民らの要望により再建工事が行われ、20年4月に旧駅舎が復活している。
聖火は駅前の大学通りを南下して、一橋大学の前を通り、東京都多摩障害者スポーツセンターのところで右折。最終的に「国立市役所」でゴールする約2.5kmのコースだ。
国分寺市①:”新幹線”の前からスタート
第2区間は国分寺市で、北へ約2.5km移動して今度は国立駅の北口へ。市の施設「国分寺市ひかりプラザ」に展示してある新幹線の前からスタートする。
このひかりプラザの前には、鉄道総合技術研究所があり、ここで新幹線の基礎技術も開発されたそうだ。展示されているのは試験車両で1969年~1980年まで使われた後、その1台がここに展示されることになったという。
ちなみにこの辺りの地名は光町というのだが、それも新幹線ひかりにあやかってつけられたそうだ。
聖火はここから東へ向かい、府中街道に入ったところで南へ、JR西国分寺駅のそばを通過して、「国分寺市新庁舎建設予定地」へゴールする。この区間は約3.6kmのリレーだ。
国分寺市②:徳川家が鷹狩りを行った「お鷹の道」へ
国分寺市はもう1区間ある。約600m南の「武蔵国分寺跡」が第3区間のスタート地点だ。ここは奈良の大仏を建立した聖武天皇が全国に建てた国分寺の跡で、すぐ近くに国分尼寺跡もある。
この国分寺は鎌倉時代末期の分倍河原の戦いで焼失したが、江戸時代になってすぐ近くに本堂が再建されたという。
その現在の国分寺の方へ聖火は向かい、その後、「お鷹の道」と呼ばれる遊歩道へと入っていく。江戸時代、このあたりが尾張徳川家が鷹狩りを行う鷹御鷹場だったことから、「お鷹の道」と名づけられたそう。
ゴールは「真姿の池湧水群(真姿弁財天)」という湧水のポイント。ここは国分寺崖線と呼ばれる崖の下の地形となっていて湧水が豊富で、環境省選定の名水百選のひとつにもなっている。この区間は約400mだ。
小平市:「ぶるべー」と「東京ドロンパ」がお出迎え
次の第4区間は小平市で、国分寺街道に出て約2.5km北へ向かい、「上水南町交差点」がスタート地点だ。ここから「あかしあ通り」と呼ばれる並木道を真っすぐ北上し、「小平駅南口ロータリー」でゴールする。直線で約3.2kmのシンプルなコースだ。
東大和市:平和広場で想いを馳せる
次は江戸街道などを使って、西へ約6.5km移動。「東大和市役所」が、第5区間のスタート地点だ。実際は、中央公民館と中央図書館の前の「市役所通り」から出発する。
ここからクネクネと曲がりながら南へ。ハミングホールと呼ばれる市民会館や冨士見通りという商店街を通過して、「都立東大和南公園」内の「平和広場」にゴールする。
ここには「旧日立航空機株式会社変電所」がある。太平洋戦争中、軍用機のエンジンを製造する工場がここにあり、空襲により従業員や周辺住民など100人以上が亡くなったという。
この変電所も窓枠などは吹き飛び、壁には機銃掃射の跡が残ったが、建物自体は無事だった。さらになんと、外壁などは傷ついた姿のまま平成5年まで変電所として使われていたそうで、壮絶な戦争の記憶を今に残す建物なのだ。
志村けんの故郷・東村山市で5日目フィニッシュ
5日目最後の第6区間は、東村山市。約6km北東へ移動し、東村山駅東口ロータリーがスタート地点だ。駅の出口を出たところに「志村けんの木」と呼ばれる3本のけやきの木がある。
2020年3月、新型コロナウイルス感染症で亡くなった志村さんが東村山出身であることはあまりにも有名だが、ちょうど東村山音頭が大ブームだった昭和51年(1976年)に市から感謝状が贈呈されたことを記念して植樹されたという。
ここから聖火リレーは東に向かい、「国立療養所 多磨全生園」でゴールする。ここは創立110年を超えるハンセン病療養所。施設の性格上、中に入ることはできなかったが、聖火リレーは園内でもつながれ、約4km走ってゴールする予定だ。
東京都・5日目のコースは、以上。五輪まで時間がないので、この日は続けて東京都6日目のコースも走ったのだけど、その模様は次回ご紹介しよう。
(光石達哉)