再び一部都府県に緊急事態宣言が発令され、外出や移動にも自粛が求められるようになった。そこで、以前からお送りしていた東京都を出ずに県境沿いギリギリをサイクリングする旅のレポートを引き続きお届け。今回は埼玉県との県境第2弾、荒川河川敷から大泉学園周辺まで足を延ばす。
荒川に「近代化産業遺産」
前回は荒川河川敷にある足立区立都市農業公園までたどり着いたが、今回はその続きから。少し下流側に下って、荒川と環七通りが交わる鹿浜橋を西側へ渡る。ここからしばらくは荒川沿いに県境が続く。
鹿浜橋から1.5kmほど北に進むと岩淵水門がある。荒川と隅田川を分ける水門で、その300m上流には旧岩淵水門もある。
案内看板によると、かつて荒川は現在の隅田川のところを流れていたが、川幅が狭く洪水が起きやすかったので、放水路として川幅の広い現在の荒川が作られたとのこと。つまりここから下流の荒川は人工の川だったのだ。その分岐点に、旧岩淵水門が大正13年に完成した。この旧岩淵水門と荒川放水路は経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されている。
さらに旧岩淵水門の老朽化に伴い、昭和53年に現在の岩淵水門が作られた。この水門は平常時は解放されて荒川の流量の3割を隅田川に流し、水質浄化を図りつつ船の通行を確保している。増水時には水門を閉じて、隅田川の洪水を防いでいるという。
荒サイを走るサイクリストのチャリテクはすごい!
ここから約8kmは、荒川河川敷を西へ走る。河川敷の道は自転車乗りには「荒川サイクリングロード」、略して「荒サイ」などと言われ、道幅も広く舗装されている。
個人的には普段多摩川方面を走ることが多いので、荒川はめったに来ないのだが、その荒サイにはところどころ車止めが設置されている。
ちょうど自転車がギリギリ通れるようになっているのだが、荒サイに慣れているサイクリストはここをスイスイ抜けていくので、さすがだなと妙なところで感心したりしながらペダルをこいでいく。
荒川沿いに足立区、北区と抜けて、板橋区と戸田市の間にかかる笹目橋に到着。ここより上流の荒川は埼玉県に入っていくので、左に曲がって内陸側に入る。
光が丘公園のイチョウ
しばらくいくと白子川という小川沿い県境が伸びているので、この川を目印に進んでいく。練馬区の都立光が丘公園が見えてきたので、ちょっとだけ中へ。この日はまだ11月の初めだったので、ちょうどイチョウの黄色い葉が色づき始めていた。
光が丘公園を出ると、あたりもだいぶ暗くなってきた。この辺りは県境がクネクネと住宅街の中をのたうち回っている。細かくスマホの地図を見ながら道を探していると、バッテリーが心もとなくなってきたので、都立大泉中央公園にたどり着いたところで今回はフィニッシュ。
埼玉との県境は住宅街が多いので見どころも少なく、いつも以上に写真が地味も気がするが、あと少しの行程なのでこのまま走り切っていこうと思う。
(光石 達哉)