【パラスポーツ】ブラインドサッカー日本選手権 フリーバードめじろ台が悲願の初優勝

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マークから逃れる日本代表・園部(写真:いいの)

視覚障がいの全盲クラス(B1)の選手が出場するパラリンピック競技「ブラインドサッカー」の日本選手権が22日、東京・八王子市の八王子富士森競技場で行われた。決勝はfree bird mejirodai(フリーバードめじろ台)が4-0でbuen cambio yokohama(ブエンカンビオ横浜)を破り、初優勝を飾った。

両者初優勝をかける譲れない戦いは、開始直後からめじろ台がスピーディーに攻めこみ、前半だけで4得点。後半もそのまま守り切り、完封で全国参加21チームの頂点に立った。先制含む2連続得点をあげた鳥居健人は、今大会MVPを獲得した。

 

 

 

めじろ台が前半大量4得点

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隊列を組む横浜の選手たち(写真:いいの)

雲一つない冬晴れのもと、転がるたびにシャカシャカと音がするボールが芝生の上を転がる。東京2020パラリンピックで日本代表が5位となったブラインドサッカーの日本選手権決勝。アイマスクを着用したフィールドプレーヤー4人が、チームでただ1人の晴眼者・GKの肩に手を置き、各軍は隊列を組んで入場した。

互いに過去の日本選手権は準優勝が最高成績。水色のユニホームをまとっためじろ台は初優勝を目指し、相手キックオフから早々とボールを奪った。

 

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2人がかりのマークを突破する鳥居(写真:いいの)

開始5分過ぎ、ドリブルで攻め上がった鳥居健人がマークをかいくぐって左足シュートを放ち、先制のゴールを決めた。その後も、鳥居が敵陣から速攻で今度は右足で2点目。2連続得点者はチームメートの声を聞き分け、熱く抱き合った。

 

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得点を決め鳥居と抱き合う園部(写真:いいの)

その後もカウンター攻撃でめじろ台ペース。前半17分、男子日本代表強化指定選手・丹羽海斗が、こちらもカウンターで3連続ゴール。残り2分には、男子日本代表・園部優月が4点目となるゴールを右足で押し込んだ。前半だけで4-0。「4人で攻める姿勢」を見せためじろ台が、大量リードで前半を折り返した。

 

後半も守り切って悲願の初優勝

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息の合った攻撃を見せるめじろ台(写真:いいの)

後半4分、ここまで2得点の鳥居が選手と交錯して本郷宗大と途中交代。エースを失い、相手を徹底マークする中でファールを重ねたが、GK泉健也が最後までゴールポストを守り抜いた。

後半は両者無得点で、4-0のまま試合終了。前半は「4人で攻める」、後半は「4人で守る」を実践しためじろ台が、4-0で初の日本一を手にした。フィールド中央の歓喜の輪に、敗れた横浜も全員で拍手を送った。

 

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優勝に嬉しさを隠せないめじろ台(写真:いいの)

前回準優勝から初優勝。鳥居は「前回の準優勝は負けて得た結果。悔しい負け方でもあったので、気合を入れ直しました。この舞台でその力を発揮して優勝できたことはうれしい」と喜んだ。一方で、GK泉は「これからは追われる立場。それでもチャレンジャー精神を持って、たくさんのすり合わせやフィードバックをしながら完全なチームにしたい。キーパーが仕事をせずに勝つチームにしていきたい」と力こぶ。チームのモットー「4人で攻め、4人で守る」の徹底を誓った。

 

横浜も粘り

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マークを振り切る齊藤(写真:いいの)

敗れた横浜も、最後まで諦めない姿勢を見せた。攻撃の糸口がつかめない中、エース齊藤悠希は持ち前のフィジカルで孤軍奮闘。後半にたびたび訪れたフリーキックの好機では、齊藤がシュートを放つたびに会場をざわつかせるなど、4点ビハインドでも存在感はひと際だった。

 

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姉弟GKの姉・和地梨衣菜(写真:いいの)

女子選手の活躍も目立った。4点目を決められた直後、GKを和地舜也から姉の梨衣菜に交代。女子日本代表の経験がある姉は、試合終了まで得点を許さず。また、後半16分にフィールドに加賀美和子を送り込み、和地を含め5人中2人が女子選手という編成も披露した。全国決勝の舞台で、男女問わずにピッチに立てるブラインドサッカーの魅力を示した。

 

壁際の攻防 消毒も実施

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壁際の攻防でボールを奪う鳥居(写真:いいの)

ブラインドサッカーならではの壁を使った攻防も、みどころだった。ボールを持った選手に数人がかりでマークがつき、壁際で体が激しくぶつかり合うシーンも。10分間のハーフタイム中にはスタッフ総出で壁の消毒も行われた。

 

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表彰式で記念撮影をするめじろ台(写真:いいの)

名曲「We Are The Champions」が流れる表彰式では、初の日本一に輝いためじろ台は優勝トロフィー・盾に加え、駆け付けた八王子市の石森孝志市長から八王子織物のネクタイ・スカーフも贈呈された。また、ベストGK賞には完封の泉、MVPには決勝2得点の鳥居が選出された。

再び急拡大を続ける新型コロナウイルスの感染拡大により、今大会は全国7カ所を会場に、合計21チームが参加。パラリンピックでは人気競技で、日本代表は東京2020大会に初出場を果たしており。今後も注目の競技となりそうだ。

 

 

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