【パラスポーツ】車いすラグビー=ワールドチャレンジ大会3日目 日本が強豪・英国撃破で予選1位通過

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日本代表のエース池崎大輔は胸に手を当てて国歌斉唱(撮影:mimiyori編集部)

車いすラグビーの国際大会「ワールドチャレンジ」大会3日目は18日、東京・渋谷区の東京体育館で予選プール最終戦を行い、連勝中の日本代表(世界ランキング2位)は57-51で強豪・英国(同4位)を下し、予選プールを1位で通過した。

第1ピリオドは16-17でリードを許したが、第2ピリオドではローポインターの乗松が2連続得点を挙げるなど14-13で総得点を30-30のタイに。第3ピリオド以降はエース池崎、池主将が得点を量産し、後半2ピリオドのチーム得点27のうち、2人で26点を挙げた。

19日準決勝は予選プールBの2位、宿敵・豪州(世界2位)と対戦する。

 

ケビン・オアー日本代表ヘッドコーチ 「とにかくFightだ!」

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コートを見つめるオアーHC。体温調節が難しい選手たちのためにベンチ裏には扇風機が設置されている(撮影:mimiyori編集部)

先発出場は長谷川、島川、池主将、乗松聖のラインナップで、池崎をベンチスタートさせる策を取った。

「英国はグレートなチーム。統率が取れたプレーをしないと勝つのは難しいと思っていた」

心は熱く、頭の中はスマートに。

試合中はベンチから大声で選手たちを鼓舞した。

「とにかく“Fightするんだ!“と伝えていた。ベンチから大きな声で伝えていた」。

時には、頭を指差すジェスチャーを繰り返し「考えろ」と無言の指示を送った。

「もっとスマートに賢くプレーしろと。個人よりユニットとして統率を取らなくてはならない」

第1ピリオドこそリードを許したが、後半は池透暢主将、エース池崎が畳みかけて接戦を制した。

19日の決勝トーナメント準決勝は、ライバル・豪州と激突する。課題として守備の意識強化を挙げ「豪州戦ではさらに安定性を上げなくてはならない。(豪州のポイントゲッターである)ライリーとクリスが同時に出ている時は速く動かさないといけない。厳しい戦いになる。一貫して、最後まで貫きたい」と意気込んでいた。

池透暢主将 後半2ピリ26/27得点をエース池崎と量産

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ほぼフル出場で戦った池透暢主将(撮影:mimiyori編集部)

大声援に包まれた会場に、池透暢主将は息を弾ませた。
「この試合は最初から、仲間を信じてプレーしないと勝てないと思っていた。声援も信じて戦おうと思っていた」

第1ピリオド終盤に一時交代した以外は、ほぼフル出場に近かった。後半は序盤に温存されたエース池崎と共に、2人で後半2ピリオドの27得点中26点を叩き出した。
「かなりタフな試合だった。お互い疲れている中でどっちが先に手を止めるかという中で、必死に手を回してプレーした」。

最終ピリオドまで日本代表はスピードが衰えず、スタミナ面で英国を圧倒。日頃のトレーニングが物を言ったという。

池主将の武器である世界トップクラスの高さは、19日に対戦する豪州戦でも大きなアドバンテージとなる。
「パラリンピックさながらのモチベーションでコントロールできた。それぞれ緊張しているが、ブザーが鳴るまで、決めたことをやろうと。優勝のためにまだまだ上げないといけない」と優勝への道のりを見据えた。

 

攻守で光った兄弟代表の弟 乗松聖矢

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兄弟代表の弟、乗松聖矢(撮影:mimiyori編集部)

兄・隆由と一緒に兄弟代表入りを果たしている弟、乗松聖矢が攻守で光った。
定評のある守備では安定した実力を見せ、第2ピリオドでは連続得点を入れるなど幅広い活躍を見せた。

兄は本大会が初代表。聖矢は16年リオにも出場するなど経験を積んでいる。

19日豪州戦については、献身的な守備による“ストップ・ザ・ツートップ”を誓った。

「豪州にはライリー・バット、クリス・ボンドがいますが、僕はその選手を止めることが大好きなので、精いっぱい走りたい。豪州とは
何度も対戦しているので、戦略は把握している。最後は気持ちの部分、そこが勝負を分ける。AOCのリベンジを果たしたい」



米国リーグ経験者・島川慎一も驚いた 総立ちの大声援 

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米国リーグ参戦経験があり、国際的に認知度の高いベテラン・島川慎一(撮影:mimiyori編集部)

車いすラグビーが盛んな米国参戦経験者でも、今大会の盛り上がりに驚いた。
先発出場した島川慎一が言う。

「このレベルはパラリンピックに近い。すごい力になる。ホームで応援に応えないといけない」

英国戦前にが、選手だけでミーティングを実施。
「きょう(18日)から試合のレベルが上がるので、1人1人が意識して、みんなで勝ちにいけた」
英国は予選プールでは最も手ごわい相手であり、決勝トーナメントを見据えると、この英国戦から強豪との連戦となるだけに、チームとして気合一丸で臨んでいた。

勝利の要因は想定練習が効いたという。
「いろんなシチュエーションで練習してきた。コンビネーションや信頼関係を築けていた。ハンドリングが弱い人をつぶしに行くなど、4人の中でも情報共有ができていた」

豪州には19年9月のアジアオセアニア選手権決勝で対戦し、2点差で惜敗した。
「何十回もやっている相手。手の内は分かっている。リベンジしたい気持ちがある」

試合後はラグビーW杯ばりに、観客が英国にも健闘を称える大拍手を送った。パラスポーツのラグビーも世界トップレベルの熱い戦いを繰り広げている。

(mimiyori編集部)

 

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