【プロレス】日本プロレス70周年記念大会「LEGACY」初日②~ノア丸藤が見せた〝未来〟とは?/ 米WWE殿堂入りの藤波は日本での実現に喜び

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殿堂入りを果たした藤波辰爾(左)、そのインダクターを務めた木村健悟(右)。藤波は「1、2、3、ダー!」の音頭を取った
(撮影:丸井 乙生)

日本プロレス殿堂会が主催する日本プロレス史70周年記念大会「LEGACY」初日が14日、東京・水道橋の後楽園ホールで行われ、6選手の殿堂入りを発表したほか、6試合を行った。15日まで2日間にわたる記念大会には、26団体から合計81選手が参戦予定。バトルロイヤルのほかは、各団体の提供試合を実施する。

初日はプロレスリング・ノアの丸藤正道が未来を担う若手3選手を引き連れ、タッグマッチを披露。大日本プロレスは団体を代表するストロングBJの6選手が大熱戦を繰り広げるなど、合計40選手が参戦した。

また、藤波辰爾は殿堂入り第1号となったアントニオ猪木のインダクターを務めたほか、自身も殿堂入り。御年73歳のタイガー戸口が総勢17選手によるバトルロイヤルに参戦して年下の後輩たちに辛口メッセージを送るなど、過去・現在・未来をつなぐ大会となった。

 

 

ノア丸藤が見せた〝未来〟

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プロレスリング・ノアの丸藤正道は、若手・矢野安崇の攻撃に〝さあ来い〟
(撮影:丸井 乙生)

長年ノアの顔であり、現GHCヘビー級王者でもある丸藤が、ノアの「未来」を記念大会で披露した。

24歳の宮脇純太と組み、テコンドー出身の岡田欣也、2020年10・28後楽園ホールでデビューしたばかりの矢野安崇と対戦。若手のはつらつとした動きを引き出しつつ、初対戦となった矢野には胸を出して攻撃を受け止めるなど、まさに〝胸を貸す〟場面もあった。

試合はパートナーの宮脇が11分50秒、ファルコンアローで矢野を沈めて勝利を収めた。

「偉大な先輩たちがいて、今の自分たちがある。レジェンドと呼ばれるかたがそろう大会でイキのいい若い選手を見ていただいて、(若手選手の)彼らにはいろんな大会に出て、いろんな先輩から勉強してもらえれば」

 

大日本は6人タッグの熱戦

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故橋本真也氏の長男・大地(左)は気迫のこもったキック(撮影:丸井 乙生)

大日本の提供試合は、主力による6人タッグマッチ。テンポの早い展開、かつ気合の入ったファイトで会場を沸かせた。

今回殿堂入りした長州力のもとで鍛えられた関本大介は、他団体でも一緒に実績を挙げている岡林裕二、そして現BJW認定世界ストロングヘビー級王者・中之上靖文とトリオで出場。故橋本真也氏を父にもつ橋本大地はタッグチーム「大神」の相棒・神谷英慶、そして団体の垣根を超えてZERO1・大谷晋二郎から熱量を伝授されている青木優也 との3人で、先輩トリオに立ち向かった。

 

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最後は中之上靖文(右)がダイビング・エルボードロップ
(撮影:丸井 乙生)

 

試合は9分27秒、現王者の中之上がダイビング・エルボードロップで先輩トリオが勝利を収めた。フォール負けを喫した青木は試合後、「決めた。俺は殿堂入りする。絶対に殿堂入りする」と将来の目標を設定。神谷は「ゴーゴゴーだぜ!」と気炎を上げていた。

 

73歳戸口も参戦/新日本・永田はナガタロック フルコース

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大ベテラン・タイガー戸口は意気軒高(撮影:丸井 乙生)


17選手によるバトルロイヤル(15秒ごとに1選手入場)には大御所が出場した。1948年2月生まれ、73歳のタイガー戸口だ。

年齢は最年長だが、身長は193センチの巨体は、後輩選手たちに囲まれても存在感は抜群。DDTから参戦した飯野”セクシー”雄貴を威厳をもって一蹴するなど、ベテランとして「圧」を発揮した。しかし、最後は大人数で抑え込まれて1人目の失格となった。

 

試合後は「昔を思い出したよ」と振り返りつつ、後輩選手たちについては辛口エールを送った。「今の選手たちは勉強不足だね。まとまりがない。やるならやるで、もう少し試合を自分で考えなきゃ。頭を使わないと人は呼べないよ」。

 

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天山広吉(右)のモンゴリアンチョップにもだえる永田裕志(左=撮影:丸井 乙生)

業界の雄・新日本プロレスからは、永田裕志&田口隆祐 VS 天山広吉&マスター・ワトの一戦が提供された。

新型コロナウイルス感染防止策として観客は声援を送ったり、歓声をあげることができないため、天山のモンゴリアンチョップ時は恒例の会場ご唱和「シュー」はなし。永田はナガタロックのフルコースを披露し、最後は13分33秒、ナガタロックⅣで第三世代同士の天山を沈めた。

 

米WWE殿堂入り済の藤波「日本にもできたらいいと思っていた」

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セレモニーでスピーチを行う藤波辰爾(撮影:丸井 乙生)

藤波は殿堂入り1号となったアントニオ猪木のインダクターを務め、かつ自身も殿堂入りを果たした。

すでに、2015年に米WWEの殿堂入りを果たしていた藤波は、日本プロレス界でも殿堂を創設するべきという構想をかねてから抱いており、今回は日本プロレス殿堂会によってその願いが実現した。

 

15年米WWEのセレモニーでは、セレモニーだけのために2万人クラスの会場を貸し切り、当日は観客からスタンディング・オベーションを受けたことに感激したという。

「ものすごく衝撃を受けました。ぜひ日本にもこういう場ができたらいいと思っていました。遅かったくらいです」

2021年殿堂入りは会員、実行委員会による厳正な協議の結果、受賞候補者が10人ほど挙がり、今回受賞した6人以外では、遺族の意向や体調などの理由で辞退、または次回以降に繰り越された。

「回を重ねるにつれて、もっと完璧なものになると思っています。大事にして一つのスタートになれば」

事務局としても「キャリアなどを鑑みますと受賞の順序などに様々なご意見がある事は承知しております。個人やご遺族の意思を最優先することが第一と考えております。今後も継続していき、積み重ねていく事でファンの皆様の想いと相違ない殿堂入りとなる様に努めて参ります」(原文ママ)としており、日本プロレス史70周年と共に始まった「殿堂」の発展が期待されるところだ。

(丸井 乙生)

 

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