【プロレス】日本プロレス史70周年記念大会「LEGACY」2日目①~殿堂入りセレモニーでタイムトリップ

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殿堂入りした故ジャイアント馬場氏の代理人として、親族の緒方公俊氏(左)が、馬場夫妻に長年仕えてきた和田京平氏から記念品を贈呈された
(撮影:丸井 乙生)

日本プロレス殿堂会が主催する日本プロレス史70周年記念大会「LEGACY」2日目が15日、東京・水道橋の後楽園ホールで行われ、日本プロレス界初の殿堂セレモニー2日目を開催した。

この日は故ジャイアント馬場氏、故ジャンボ鶴田氏、そして長州力の殿堂入りセレモニーを行い、元子夫人も2018年4月に他界した馬場氏については、同氏の著作権などを管理する「H.J.T Production」代表で親族の緒方公俊氏が代理で出席。生前の馬場夫妻に長年仕えた名レフェリー・和田京平氏がインダクターを務めた。

全日本プロレステーマ曲、馬場氏の入場曲「王者の魂」が時を経て後楽園ホールで流れたほか、ミル・マスカラス、ドリー・ファンクJr.という往年の海外スター選手から日本プロレス史70周年に祝福のメッセージが寄せられ、プロレスの歴史に思いを馳せる〝タイムトリップ〟の一夜となった。

 

 

和田京平氏「馬場さんは今も見ていると思います」

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故馬場氏がいつも試合を見ていた後楽園ホールの通路を指差す和田京平氏
(撮影:丸井 乙生)

ファンの「記憶」の中だけに刻まれていた選手の功績を殿堂入りとして形に残す。

今回の2日間興行で行われた日本プロレス界初開催の殿堂入りセレモニー。日本プロレス殿堂会の目的は、まずは前日14日の初日で実行に移された。

14日に殿堂入りした天龍源一郎は「生きている限り、未来につながる希望になれたら」とスピーチ。殿堂の存在は、後輩レスラーへの〝レガシー〟になるはずだというメッセージを送った。

 

2日目のこの日は、さらに殿堂の役割の中で最もシンプルであり、かつ最大の役割が表現されていた。温故知新。選手、関係者、ファンが同じ時期、同じ選手のことを思いながら、温かな思いで振り返ることができるひとときだ。

故ジャイアント馬場氏の殿堂入りセレモニーが行われ、会場に流れた曲は「全日本プロレステーマ曲」、さらに、同氏の入場曲「王者の魂」。観客が馬場氏に思いを馳せる中、インダクター(表彰対象者の紹介役)として名レフェリーの和田京平氏が登場した。

「馬場さんに長い間仕えてきましたが、私から馬場さんに(贈り物を)渡せる時がくるなんて。本当にありがとうございます。ここ後楽園ホールでは、馬場さんはあの通路で必ず試合を見ていました。今も見ていると思います」

馬場夫妻が信頼し、その信頼に応えてきた和田レフェリーの穏やかな口調に、会場も聞き入った。

 

マスカラスが日本のプロレスを称賛

初日と同様、2日目も日本プロレス史70周年に際し、国内外の名選手から祝福メッセージVTRが場内ビジョンに映された。2日目は、日本人選手は将軍KYワカマツで始まり、ザ・グレート・カブキ、木村健悟、川田利明、武藤敬司が登場。

 

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上から順に軍KYワカマツで始まり、ザ・グレート・カブキ、木村健悟、川田利明、武藤敬司(撮影:丸井 乙生)

さらに、海外から豪華ゲストのメッセージが届けられた。新型コロナウイルス感染防止のため歓声は出せないものの、コロナ禍でなければきっと大歓声が起こったことだろう。ミル・マスカラス、ドリー・ファンクJr.だ。

なかでも、マスカラスは日本のプロレスについて振り返り、「多くの外国人選手が米国や欧州、メキシコなど各地でファンを熱狂させたのは、日本で日本のスタイルを吸収し、その戦いでファンを魅了したからです」と称賛した。

 

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2人の登場曲がそれぞれ鳴り響く中、プロレスファンにとって、会場は〝タイムトリップ〟できる幸せな空間となった。

 

故ジャンボ鶴田も殿堂入り

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故ジャンボ鶴田氏の遺族、保子夫人の指名を受けた代理人・木原文人リングアナ(左)と、再びインダクターを務めた和田京平氏は鶴田氏をしのび、同氏の決めポーズの「オー!」
(撮影:丸井 乙生)

2000年5月に急逝した故ジャンボ鶴田氏も殿堂入りし、遺族の保子夫人の指名を受けた代理人として、長年全日本プロレスのリングアナを務めた木原文人氏が登壇。再びインダクターを務めた和田氏とともに、鶴田氏の決めポーズである「オー!」で故人をしのんだ。

2022年は、鶴田氏の23回忌となる。木原氏は「(鶴田氏に)何か恩返しをできないかと考えています。皆さんも応援を宜しくお願いいたします」とあいさつし、追善企画の可能性を示唆していた。

 

殿堂入り長州「まだまだこれから」

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受章スピーチを行う長州力(撮影:丸井 乙生)

名プロレスラーであり、お茶の間人気も高い長州力も殿堂入り。日本プロレス殿堂会の賛同者でもあることから、「まだまだこれから」と殿堂のさらなる発展に意欲をみせた。

殿堂会の発足にあたっても、「我々の後に続く選手たちに、少しでも何かできることはないか。せめて背中を押して、少しでも負担を取り除きたい」という思いから設立自体を後押ししていた。

 

日本のプロレス殿堂は生まれたてホヤホヤ。2020年2月の実行委員会発足以来、さまざまな意見がみられたが、この2日間興行で「選手の功績を歴史に残す」「その歴史に思いを馳せる」空間であることは、観客には伝わったはずだ。

 

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長州力(左)は、インダクターを務めた天龍源一郎とグータッチ(撮影:丸井 乙生)

長州は言う。

「(殿堂の意義は)何かを残すということ。その〝何か〟というのは、その時には何なのか分からないものなんですよ。そういうものなんです。現役の選手は今は若いけれど、いつかリングを降りる時が来る。その〝何か〟で選手の背中を押して、一緒に殿堂会も成長していけばいいと思います。(コロナ禍で観客数の)制限をしているけれど、お客さん、入っていましたね。これだけファンのかたに来ていただけたことで認められたというか、大変光栄に思っております」

 

2日間の試合参加選手は26団体、81選手。記念Tシャツの背中は、参加団体すべてのロゴで埋め尽くされた。

利益相反から綱引きになりがちなプロレス業界において、この団結力は異例中の異例。「日本のプロレス殿堂」は確かな産声をあげた。

 

(丸井 乙生)

 

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