ハーレーダビッドソン ジャパン株式会社は12月3日、東京・神田明神にて同社初の電動スポーツバイク「Live Wire(ライブワイヤー)」日本モデルの発売記念発表式典を行った。
「Live…」は電気のみで動く新しいバイクで、先行発売された欧米でも注目を集めた。あえてエンジン音をつけることでハーレーらしさも取り入れている。
アジア初導入となる日本モデルは2色を用意。同日13時から予約販売を開始し、すでに申し込みがあったという。12月11日から正規取り扱いディーラーで順次展示販売が行われる。納車は21年2月以降の見込みだ。
また、式典では落語家・立川吉笑のハーレーを題材にした落語披露、交通安全祈願と絵馬の奉納も行った。
奈良時代創建の神社にハーレー登場
奈良時代の730(天平)年に創建された由緒ある神社に、近未来的なバイクが降臨した。
しかも境内。
総朱漆塗りの御神殿から白いシャカシャカを持った神職が現れ、世界的バイクメーカー「ハーレーダビッドソン」の電動バイクに向かって、その「大麻(おおぬさ)」を振る。
新旧の歴史が相まみえる空間で、交通安全祈願がおごそかに執り行われた。
プレスリリースにも記されている。
「鮮やかな朱色と金色で彩られた御神殿を背に、次世代バイクが展示される異次元な空間をお楽しみください」
神田明神は攻めている。
近年はアニメ「ラブライブ!」の聖地巡礼スポットで若者にも認知度を上げ、アニメグッズとのコラボも行われた。
18年にはお守りをボトルネックにかけたダジャレ飲料「神社声援(ジンジャーエール)」を発売、20年初夏には元プロレスラーにあやかった「初代タイガーマスク勝守」の授与を行うなど、神社と現代を融合させてきた。
音の出る電動スポーツバイク~約3秒で時速100キロ
個性的な船出となった次世代バイクは、電気で走る。
排気ガスによる環境問題を考慮し、EVに着目した。14年に米国でプロトタイプの試乗会を実施。改良を重ね、7年越しの日本での発売となる。
「オレンジヒューズ」と「ビビットブラック」の2色展開で、希望小売価格は349万3600円(税込)だ。
付属のケーブルを使用する「普通充電」は、約12時間でフル充電され、最大235キロ走行可能だ。
国内で一般的な急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」にも対応しており、高速道路のサービスエリアとパーキングエリア、道の駅、商業施設などで手軽に充電できる。
クラッチ操作は不要で、スロットルレバーの操作次第では約3秒で時速100キロまで到達する。
電動バイクも車同様にエンジン音が静かなのではと考えるかもしれないが、ハーレーが無音ではナンセンス。
電動なら本来、出ないはずのエンジン音がしっかりと聞こえるという。
プロモーションマネジャーの大堀氏は「ハーレーはエンジン音も含めて楽しんでもらっていると考えています。ハーレーらしさを出すためにあえて音を加えました」とうなずいた。
これまでのバイクとは違う音が楽しめるほか、走りも含めて従来のバイクとは違った味があり、バイク好きの人も十二分に楽しめるという。
7つの「ライドモード」と安心安全の「RDRS」
「LiveWire」には、ハーレーの技術が凝縮されている。
自由に選択できる7つのライドモードを搭載。長距離の移動や荒天時の安全運転など用途に応じた「スポーツモード、ロードモード、レインモード、レンジモード」の4つに加え、自分で自由にカスタマイズできる「カスタムモード」3つを用意。タッチパネルで簡単に変更できる。
また、ハーレーが開発した先進安全技術「リフレックスディフェンシブライダーシステム(RDRS)」を採用している。ターンの際に後輪が滑らないように自動調整してくれるなどライダーの走りを支える安心安全の機能だ。
“ハーレー落語”披露も
式典では、落語家・立川吉笑が世界初の”ハーレー落語”を披露する場面もあった。
立川はこれまでプロバスケットリーグ「Bリーグ」など複数の企業PRを行ってきた。2台の「LiveWire」に挟まれ、御神殿をバックに寒空の下でオリジナル落語を披露。創作に苦労したという落語は取材陣の笑いを誘った。
神田明神では12月6日まで“異次元”展示
車両登録区分は250ccクラスのエンジン車両と同じ軽二輪。運転には大型二輪免許(またはそのAT限定)が必要だが、車検の必要はないという。
バッテリーには、5年間の保証(走行距離無制限)、 車両本体にも3年の保証がつく。
12月11日から全国13店舗の正規取り扱いディーラーにて順次展示販売が行われる。納車は21年2月~3月となる見通し。
神田明神の境内では12月6日まで「LiveWire」展示イベントを実施中だ。
新型コロナウイルスでマイクロツーリズムがブームとなる中、まずは神田明神をのぞいて異次元空間を堪能するも良し。
コロナ感染防止で「密」が禁忌とされる中、独り旅が可能な次世代バイクも選択肢に入れてはどうだろう。
(黒木達矢)