これまで番組などで直接取材した経営者のかたの人生哲学についてまとめたコラム。
今回の主人公は杉本宏之氏。
不動産会社「株式会社シーラホールディングス」の会長兼CEOを務めており、世間では女優の深田恭子さんと交際中で、結婚間近という噂で注目の的になっている。
誰もがうらやむ美人女優との交際に至るまで、杉本氏はジェットコースターのような人生を歩んできた。
その人生哲学に迫るべく、前編は壮絶な生い立ち・3度の〝臨死体験〟について。
トイレ&風呂なし6畳一間で育つ
実業家と呼ばれる人物が、幼少期は貧乏だったという話はよく耳にする。
では、人生で3回死にかけた、それも一度は父親に殺されかけた実業家は、杉本以外にいるだろうか。
杉本宏之は1977年6月25日、茨城県守谷市で生まれた。
父は小さな不動産会社を経営していたが、杉本が3〜4歳の頃に倒産。原因は父がワンマン経営者で、経営方針に異を唱える専務と社員に謀反を起こされたからだそう。
その後は度重なる引っ越しを経て6畳一間、トイレもお風呂もない神奈川県川崎市の家に居住した。
母は台所の流し台の洗面器に水をためて身体をふき、杉本も夏場になると、学校の帰りに友人宅のお風呂に入れてもらうための口実をいつも考えていたという。
交通事故で生死をさまよう
小学生にして苦労人の杉本をさらなる悲劇が襲う。
それが1回目の〝臨死体験〟となる交通事故だ。生死をさまよい、3カ月もの入院を余儀なくされた。後遺症で、今も左足の指は動かないという。
何とか生きながらえた息子の横で、ぶつかってきた車の運転手からどうにかしてお金を引き出そうとする父。その姿に、8歳の少年は改めて貧乏を痛感した。
父は事業に失敗してからまともに働かず、パチンコばかりしていた。
一家の大黒柱となったのが、母だった。しかし、必死にパートで稼いだお金さえも、父が使い果たし、苦労がたたった母親は胃がんで亡くなる。杉本が中2の時だった。
父親に刺されて左手から流血
以降は借金取りが来る家に帰る理由もなくなり、地元の不良チームで時間を過ごすようになった。バイクを乗り回す中で、2度目の〝臨死体験〟をしたという。
またまた生きながらえ、気がつけばナンバー2の地位にいたが、ある日追い詰められていた父が台所から包丁を持ち出してきた。
「お前を刺して俺も死ぬ!」
「刺せるもんなら刺してみろ!」
杉本の目に飛び込んできたのは、血だらけの自分の左手だった。
そんな息子を見て、我に返った父親は涙目で震えながらぼう然と立ち尽くしていた。
言うまでもなくこれが杉本の3度目の〝臨死体験〟。ただ、この事件は杉本の人生を大きく変えることになる。
(つづく=mimiyori編集部/敬称略)