【行ったつもりシリーズ】埼玉へとつながる小沢峠へ~東京の片隅の温泉街と天然酵母パンも

小沢峠は県境西側に位置する

小沢峠は、一般道で越えられる東京と埼玉の県境では一番西に位置する(撮影:光石達哉)

東京もGo Toトラベルキャンペーンの対象となるなど、県境を越えた移動も徐々にしやすくなってきている。

しかし、せっかくこれまでサイクリングで東京と他県の境界を見てきたので、今後も引き続き感染対策に気をつけながら東京のギリギリ端っこを自転車で巡っていこうと思う。

今回は東京都青梅市と埼玉県飯能市の境にある小沢峠への旅。 

 

 

 
   

「行き止まり」の道を避けたら…

 

成木街道を秩父 名栗方面へ

青梅市の北側を走る成木街道。「秩父 名栗」方面へ進むと、小沢峠だ(撮影:光石達哉)

以前紹介した奥多摩湖の奥、山梨県との県境となる青梅街道の鴨沢橋の次に一般道で越えられる県境を探すと、北から東へと時計回りに東京をグルっと回りこんでいくことになる。

この間、東京都最高峰の雲取山などがあるが、舗装された道路は延々と通ってない。

ようやく次に現れるのは、鴨沢橋から直線距離で東北東へ約20km、埼玉県との県境となる小沢峠だ。

言い換えれば、ここは一般道で越えられる東京都と埼玉県との県境としては、一番西に位置していることになる。

 

9月半ばになるとだいぶ涼しくなって、サイクリングも快適な季節になってきた。

まずは奥多摩街道や青梅街道でJR東青梅駅周辺まで行き、そこから北に延びる成木街道に入る。

吹上トンネルを抜けて右に曲がり、その先の成木五丁目の交差点を左に曲がると、街道は成木川沿いの緩やかな上り坂となる。

 

トンネルの中に県境あり

小沢トンネル

小沢峠と言っても、実際に越えるのはこの小沢トンネルだ(撮影:光石達哉)

しばらく行くと、Y字路の分岐の標識が見えてくる。左は「行き止まり」、道なりは「秩父・名栗方面」とあるので、道なりに上り坂を進むとすぐにトンネルが見えてくる。この小沢峠・小沢トンネルが、埼玉県との境だ。実際の県境はトンネルの中なので入ってみると、埼玉側の出口の近く、天井に吊り下げられたライト型の標識に、埼玉県の表示がった。この下が県境ということなんだろう。

小沢トンネルの先は埼玉県飯能市

トンネルの出口の先の明かりが、埼玉県飯能市だ(撮影:光石達哉)

小沢トンネルには東京と埼玉の県境を示す標識が

天井にぶら下がっているライトは、埼玉県との県境を示す標識だった(撮影:光石達哉)

トンネルの入り口に戻ると、右側に小沢峠の大きな石碑があり、その先に細い道が伸びている。

こういう道は、トンネルができる前に使われていた峠越えの旧道の可能性があるので入ってみたが、わずか数10mで民家の横の竹藪で行き止まりになった。

旧道は竹やぶで行き止まりに

トンネルの右側にある旧道と思われる道は、すぐに竹やぶで行き止まりに(撮影:光石達哉)

 

 

「行き止まり」に行ってみる

成木川を横の林道を登る

先ほどの標識で行き止まりとなっていた林道を登る。横を流れる成木川は、この日は水量が豊富だった(撮影:光石達哉)

先ほどのY字路のところに戻って、行き止まりとなっていた左側の道に入ってみる。この道は「常盤林道」という林道だが、サイクリストの間では「成木の坂」とも呼ばれ、一般向けのヒルクライムレースも行われている。

自分も過去に2度ほど参加したことがあるが、最近ご無沙汰していたので数年ぶりに登ってみた。

 

激坂

残り0.5kmの看板が見えても、激坂だけにゴールまではなかなかたどり着かない…(撮影:光石達哉)

 ヒルクライムが行われるだけあって、ここは都内屈指の激坂スポットだ。

0.5kmごとにゴールまでの距離を示す看板が立っているのだが、その500mすらなかなか遠くて心が折れそうになる。

先日登った和田峠よりはほんのちょっと楽だけど、雨上がりで路面が濡れていたり、苔が生えていたりして滑りそうなので慎重に上がっていく。

激坂の頂上

標高約700mの頂上はすっかり霧の中。久しぶりに、来たら丸太のベンチや椅子ができていた(撮影:光石達哉)

林道は成木川に沿って上っていて、標高を稼ぐにつれて霧に覆われてくる。

頂上に着くと辺りは真っ白で成木川の流れも見えなくなり、遠くでせせらぎの音が聞こえるだけだ。
地図を見ると、この頂上付近から山の中に入ると埼玉県との県境になるらしい。

湧き水

頂上には湧水が流れていて、夏場は冷たくて気持ちいい! 飲用は自己責任で(撮影:光石達哉)

 

県境キワキワを網羅

成木一丁目

東へ13kmほど移動し、成木一丁目付近の埼玉との県境へ。この先を行くと飯能の子ノ権現方面へとつながる(撮影:光石達哉)

林道を下り、せっかくなのでこの周辺の県境もいくつか見てみる。成木五丁目の交差点に戻って左折し、下畑軍畑線と呼ばれる都道を東へ進む。

のどかな田園風景の中を伸びている道を走り、成木一丁目の交差点を北へ曲がって300mほど行くと、信号のない交差点の角に小さな県境を示す標識が立っている。

直竹川

そのすぐそば、直竹川にかかる橋も県境(撮影:光石達哉)

さらに成木一丁目に戻り、再び東方向へ。すぐ目の前の直竹川という成木川の支流にかかる橋が県境のようだ。

その先にコンビニがあり、お腹も空いていたので寄りたかったのだが、妙に律義なのがこの企画なので、県境を越えずに引き返す。

再び成木一丁目に戻り、今度は南へ。日影林通りというちょっと寂しい名前の道に入る。 

成木川

再び成木川と並行する道へ。成木川は下流で入間川に合流、さらにその先で荒川とつながって東京湾へと注ぐ(撮影:光石達哉)

しばらく行くと左側に農道のような細い道が見えたので、そちらに入ると再び成木川の川岸に出た。

この辺りは川の中を県境が通っているので、川沿いに進んでいく。

小曾木街道と成木川

小曾木街道と成木川が交差する橋の上も県境(撮影:光石達哉)

左に見える小さな橋を渡って、小曾木街道に出ると、再び飯能市との標識。さらに戻って岩井堂の交差点を東へ行くと、もうひとつの県境があった。

これでこの辺りの県境はひととおり網羅した感じだ。 

富岡入間線

そのすぐそばに富岡入間線という道にも、もうひとつの県境がある(撮影:光石達哉)

小曾木街道を青梅方面へ戻る途中、岩倉温泉という旅館が1、2軒とカフェが1軒あるだけの小さな温泉街がある。

東京の片隅にこんなところがあるなんてと、ちょっと風情を感じる。

岩蔵温泉

帰路に通った岩蔵温泉(鉱泉)。東京の片隅にある小さな温泉街だ(撮影:光石達哉)

 

恒例!本日のおやつは

天然酵母パン アオティア

「天然酵母パン アオティア」はお店と工場が一緒になっていて、出来立てのパンを買える(撮影:光石達哉)

岩倉温泉を抜けてすぐに「天然酵母パン アオティア」というパン屋がある。小さなパン屋だが、駐車場もいっぱいで地元のおじさんたちが「今日は食パン売り切れだって」と嘆いてたりして、かなり人気のお店らしい。

天然酵母パン アオティアのチョココロネと甘食

この日のおススメだったチョココロネと甘食パン、2つで376円(税込)。歯ごたえのある生地と甘さがおいしい(撮影:光石達哉)

この日のおすすめのチョココロネと甘食パンを買ってみたが、ちょっと堅めの生地が歯ごたえあっておいしかった。

(光石 達哉)

小沢峠から成木を経て

この日のルート。GPSが途中で途切れているけど、下の方からやってきて、左側が小沢峠と成木の坂、右側が成木一丁目付近の県境(Googleより)