「行き止まり」の道を避けたら…
以前紹介した奥多摩湖の奥、山梨県との県境となる青梅街道の鴨沢橋の次に一般道で越えられる県境を探すと、北から東へと時計回りに東京をグルっと回りこんでいくことになる。
この間、東京都最高峰の雲取山などがあるが、舗装された道路は延々と通ってない。
ようやく次に現れるのは、鴨沢橋から直線距離で東北東へ約20km、埼玉県との県境となる小沢峠だ。
言い換えれば、ここは一般道で越えられる東京都と埼玉県との県境としては、一番西に位置していることになる。
9月半ばになるとだいぶ涼しくなって、サイクリングも快適な季節になってきた。
まずは奥多摩街道や青梅街道でJR東青梅駅周辺まで行き、そこから北に延びる成木街道に入る。
吹上トンネルを抜けて右に曲がり、その先の成木五丁目の交差点を左に曲がると、街道は成木川沿いの緩やかな上り坂となる。
トンネルの中に県境あり
しばらく行くと、Y字路の分岐の標識が見えてくる。左は「行き止まり」、道なりは「秩父・名栗方面」とあるので、道なりに上り坂を進むとすぐにトンネルが見えてくる。この小沢峠・小沢トンネルが、埼玉県との境だ。実際の県境はトンネルの中なので入ってみると、埼玉側の出口の近く、天井に吊り下げられたライト型の標識に、埼玉県の表示がった。この下が県境ということなんだろう。
トンネルの入り口に戻ると、右側に小沢峠の大きな石碑があり、その先に細い道が伸びている。
こういう道は、トンネルができる前に使われていた峠越えの旧道の可能性があるので入ってみたが、わずか数10mで民家の横の竹藪で行き止まりになった。
「行き止まり」に行ってみる
先ほどのY字路のところに戻って、行き止まりとなっていた左側の道に入ってみる。この道は「常盤林道」という林道だが、サイクリストの間では「成木の坂」とも呼ばれ、一般向けのヒルクライムレースも行われている。
自分も過去に2度ほど参加したことがあるが、最近ご無沙汰していたので数年ぶりに登ってみた。
ヒルクライムが行われるだけあって、ここは都内屈指の激坂スポットだ。
0.5kmごとにゴールまでの距離を示す看板が立っているのだが、その500mすらなかなか遠くて心が折れそうになる。
先日登った和田峠よりはほんのちょっと楽だけど、雨上がりで路面が濡れていたり、苔が生えていたりして滑りそうなので慎重に上がっていく。
林道は成木川に沿って上っていて、標高を稼ぐにつれて霧に覆われてくる。
頂上に着くと辺りは真っ白で成木川の流れも見えなくなり、遠くでせせらぎの音が聞こえるだけだ。
地図を見ると、この頂上付近から山の中に入ると埼玉県との県境になるらしい。
県境キワキワを網羅
林道を下り、せっかくなのでこの周辺の県境もいくつか見てみる。成木五丁目の交差点に戻って左折し、下畑軍畑線と呼ばれる都道を東へ進む。
のどかな田園風景の中を伸びている道を走り、成木一丁目の交差点を北へ曲がって300mほど行くと、信号のない交差点の角に小さな県境を示す標識が立っている。
さらに成木一丁目に戻り、再び東方向へ。すぐ目の前の直竹川という成木川の支流にかかる橋が県境のようだ。
その先にコンビニがあり、お腹も空いていたので寄りたかったのだが、妙に律義なのがこの企画なので、県境を越えずに引き返す。
再び成木一丁目に戻り、今度は南へ。日影林通りというちょっと寂しい名前の道に入る。
しばらく行くと左側に農道のような細い道が見えたので、そちらに入ると再び成木川の川岸に出た。
この辺りは川の中を県境が通っているので、川沿いに進んでいく。
左に見える小さな橋を渡って、小曾木街道に出ると、再び飯能市との標識。さらに戻って岩井堂の交差点を東へ行くと、もうひとつの県境があった。
これでこの辺りの県境はひととおり網羅した感じだ。
小曾木街道を青梅方面へ戻る途中、岩倉温泉という旅館が1、2軒とカフェが1軒あるだけの小さな温泉街がある。
東京の片隅にこんなところがあるなんてと、ちょっと風情を感じる。
恒例!本日のおやつは
岩倉温泉を抜けてすぐに「天然酵母パン アオティア」というパン屋がある。小さなパン屋だが、駐車場もいっぱいで地元のおじさんたちが「今日は食パン売り切れだって」と嘆いてたりして、かなり人気のお店らしい。
この日のおすすめのチョココロネと甘食パンを買ってみたが、ちょっと堅めの生地が歯ごたえあっておいしかった。
(光石 達哉)