海外、国内へ取材に行くと、その国、土地ならではの特色や意外なヒト・コト・モノに出会う。取材陣が実際に足を運び、体験した海外&国内のプチ情報を紹介する。
今回はナゾの「イエローカード」について。
といっても、サッカーやラグビーの話ではない。アフリカや南米の一部の国では黄熱病の予防接種を受けなければ入国できないことになっているが、その予防接種の証明書が黄色い紙であるため「イエローカード」と呼ばれているのだ。
- イエローフィーバーといわれる黄熱病
- ルワンダ出張!経由国のために予防接種
- 黄熱病の予防接種は受けられる機関が少ない
- 摂取後10日以上経過しなければ入国できない
- ルワンダでまさかの予防接種体験
- 現地の人と一緒に列に並ぶ
- 800円でイケた!イエローカードがもらえる
イエローフィーバーといわれる黄熱病
黄熱病とは蚊などによって伝染するウィルス性の感染症で、高熱、嘔吐、黄疸などの症状があり、発症後5~10日で死亡すると言われる恐ろしい病気だ。現・千円札の肖像画の野口英世はこの病気を研究中、感染して死亡したことはよく知られている。
ちなみに黄熱病は英語でそのままイエローフィーバー(Yellow Fever)という。
ルワンダ出張!経由国のために予防接種
昨年、筆者はアフリカ中部のルワンダに取材に行くことになった。ルワンダ自体はイエローカードがなくても入国できるが、途中で乗り換えなどで立ち寄るアフリカの国が黄熱病のリスクがあるという。
といっても、空港を出たり、入国審査を通ることがなければ、イエローカードは必要ないが、念のために予防接種だけは受けてくれという話になった。
黄熱病の予防接種は受けられる機関が少ない
とはいえ、日本で黄熱病の予防接種を受けるとなると、これがなかなか大変なのだ。
ワクチンの数が限られているのか、予防接種を受けられる医療機関や施設は都内で3~4ヵ所ほど、全国でも10数カ所しかない。しかも、各機関で、予防接種は週1日~月1日ぐらいしか行われていない。
つまり、予約を取るのも難しく、1カ月先まで予防接種手が受けられないなんてこともザラなのだ。
摂取後10日以上経過しなければ入国できない
さらに、ワクチンが効き始めるまで10日かかるので、接種後10日以上経たないとその国に入れない。何やかんやで、1カ月半ぐらい前から準備を始めないといけないのだ。
ついでに、費用が1万5000~2万円ぐらいかかるのも、ちょっと痛い。 筆者の場合、準備を始めた時期が2~3週間前だったため、当然、予防接種を受けている時間はない。結局、感染リスクのある国を避けて、オランダ経由とかなり遠回りしてルワンダへ行くことになったのだ。
ルワンダでまさかの予防接種体験
ルワンダに着いた後、そんなてん末を現地で働いている日本人の方に話したら、「こっちでも予防接種受けられるよ。予約もいらないし、費用も500円ぐらいだったんじゃないかな」という話を聞いた。
そして、ルワンダを出発する日、帰りのフライトまで半日ほど時間が空いたため、今後必要な時のためにと予防接種を受けることにした。
現地の人と一緒に列に並ぶ
ルワンダの首都キガリの中心部は近代的な高層ビルが並んでいて、法律でゴミ捨てを禁止していることもあって街はとても清潔だ。だから、予防接種を受ける病院も清潔で立派な建物だろうなと想像していた。
しかし、いざ着いてみると映画やニュースで見るような、まさにアフリカの平屋建ての診療所みたいなところで、ちょっと心細くなってくる。 すでに10人ほどのルワンダ人がいすに座って並んでいるため、筆者もその最後尾に並んだ。あとからも数人のルワンダ人が並んだが、なかなか列が進まない。
海外で注射を打つという非日常な体験、そしてこんなところにいる日本人がただ1人という状況で、さらに心細さが増していく。
800円でイケた!イエローカードがもらえる
30分ほど経つと、急に列がどんどん動き出した。おそらくお医者さんが昼休みか何かで出ていて、戻ってきたのだろう。あっという間に自分の番が来て、6畳ほどの小さな診療室の中に入った。
中には、ルワンダ人の大柄な男性のお医者さん1人だけいた。そのお医者さんがパスポートの名前を確認して、予防接種を打って、イエローカードに名前などを記入して渡してくれた。
この間、ものの2~3分とあっけなく終了。費用は聞いていたよりもちょっと高く、日本円で800~900円ほどだった。
というわけで、予防接種は無事に終了。その後、体調が悪くなることもなく、無事に日本へ帰って来られた。ワクチンは生涯有効のため、あとはイエローカードをなくさないようにするだけ。みなさんもぜひ! とまでは言わないけれど、こういう方法もあるよというご参考まで。