【行ったつもりシリーズ】昭和レトロな青梅 名作映画&バカボンからネコの町へ

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「2015年ごろの赤塚不二夫記念館。上には久保さんの「第三の男」、山口さんの「お熱いのは苦手(※猫舌だからね)」の看板が並ぶ (撮影:光石達哉)

再び全国的に感染者が増え、東京から他県への不要不急の移動自粛が求められるなど、まだまだ自由に旅行するのは難しい日々が続いている。そんな中、過去にサイクリングで訪れたちょっとマイナーだけど個人的なお気に入りスポットを紹介して、旅の参考にしてもらおうという企画。今回は、昭和レトロの町・青梅の移り変わりを見てきたお話。

 

青梅街道に並ぶ魅力あふれる「映画看板」

青梅といえば、最近はゆりかもめの青海駅と間違えられるなんてネタにもなっているが、かつては青梅街道の宿場町として栄えた。とはいえ、個人的には奥多摩方面への玄関口的な感じで、どちらかというと通り過ぎることが多い町だった。

それでも、青梅街道沿いのいろんなお店には「第三の男」、「七人の侍」など邦洋問わず往年の名作映画の看板が飾られていて「昭和レトロの町」として町おこししており、自転車で通っていても楽しかったのだが、ここ数年はちょっとずつ様子が変わっているようだ。

いろいろと青梅市のニュースを調べてみると、映画看板は同市出身の映画看板絵師、久保板観さんの手によるもので1994年から20点ほど作られ、町のお店などに飾られたという。

昭和レトロの町の代名詞 「赤塚不二夫記念館」「昭和レトロ商品記念館」

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記念館の前には、逆立ちする「バカボンのパパ」像もあった(撮影:光石達哉)

さらに町の中心には、2003年に「天才バカボン」などでお馴染みの漫画家・赤塚不二夫さんの記念館がオープン。若いころ映画看板絵師をしていた赤塚さんが、映画看板で町おこししている青梅に興味を持ったことが縁で設立されたという。隣には、昭和レトロ商品記念館もあるなど、昭和の町並みや文化が青梅の観光の目玉となっていたのだ。

看板は撤去、赤塚不二夫記念館も閉鎖

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現在の昭和レトロ商品博物館。隣の赤塚不二夫記念館があったところは更地に。映画看板、はじめちゃん、ママの看板も残っている(撮影:光石達哉)

しかし、久保さんは18年3月に逝去して新作看板の制作がストップ。また同年9月の台風により数枚の看板が飛ばされ、その後、残された看板も撤去されたという。また赤塚不二夫記念館も、建物の老朽化により今年3月に閉館になったとのことだ。

 

映画看板の次はネコ看板

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これも2015年に撮影した映画看板とネコ看板のコラボ。三船敏郎ネコ、グレゴリー・ペックネコ、渥美清ネコとジャン・ギャバンが共演(撮影:光石達哉)

代わって15年ごろから「ニャーマの休日」「ネコはつらいよ」など、ネコと映画をもじったダジャレ風の看板が登場するようになった。これは絵本作家の山口マオさんの手によるもので、久保さんの映画看板とは違う趣で道行く人を楽しませてくれた。青梅はネコの町としても知られるようになり、ネコをモチーフにしたイラストやモニュメント、お店なども増えてきている。

今回、あらためて青梅の町をサイクリングしてみると、赤塚不二夫記念館のあった場所は更地になっていて、昭和レトロ商品記念館のみが立っていた。

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現在もカフェの前などに久保板観さんの映画看板は飾られている(撮影:光石達哉)

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傘屋さんに飾られているのは「雨に歌えば」の看板。こうした語呂合わせ的なものもあるので、発見するのも楽しい(撮影:光石達哉)

久保さんの映画看板は撤去されたということだったが、現在も「板観」のサイン入りの看板は町のあちこちに何点か飾られているし、山口さんのダジャレネコ看板も増えているようだ。こうした看板を散歩気分で探して回るだけでも楽しい時間が過ごせそうだ。
(光石 達哉)

 

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今回のサイクリングのおやつは、青梅駅から2駅先の日向和田駅の近くにある「へそまんじゅう本舗」で(撮影:光石達哉)

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「へそまん」だけに、まんじゅうにはちゃんとへそがある。茶色が黒糖のあん、白が砂糖のあん。出来たてをいただけたので、ホカホカだった(撮影:光石達哉)