東京2020パラリンピック最終日の9月5日、車いすバスケットボール男子決勝が有明アリーナ(東京・江東区)で行われる。
並みいる強豪を倒し、怒とうの勢いで勝ち上がってきた日本代表は、16年リオ大会からの連覇を狙う米国と激突。過去最高だった1988年ソウル、2008年北京大会の7位を上回り、すでに銀メダル以上が確定している。
初めて獲得するメダルが金メダルかもしれないという大一番を前に、日本代表の今大会軌跡をプレーバック!
予選ラウンド①~開幕3連勝でスタートダッシュ!
予選第1試合 〇63-56 コロンビア戦
初戦は快勝発進だった。第1クオーターで24-15の9点差をつけたことが命綱となり、第2クオーター以降は同点または1点差も、南米の雄を相手にそのまま逃げ切った。
期待の長身選手・秋田啓(持ち点3.5)がチームトップの24得点を挙げ、次いでチームの司令塔に成長した鳥海連志(持ち点2.5)がチーム2番目の15得点。鳥海は2桁得点以外でも16リバウンド、10アシストで「トリプル・ダブル」をマークするなど、若手、新戦力の活躍が目立った。
予選第2試合 〇59-52 韓国戦
アジア勢同士の対決。第4クオーター以外はリードして各クオーターを終え、7点差で連勝を飾った。
ビッグマンがいる韓国に対し、チームトップの得点者はこちらもビッグマンの藤本怜央(持ち点4.5)で21得点を挙げた。2番目の得点者は、長身の秋田が17得点。鳥海は10アシストで試合を回した。日本でただ1人の車いすバスケ現役プロ選手・香西宏昭(持ち点3.5)の出場時間はわずか6分42秒で、余力を残しての勝利となった。
予選第3試合 〇62-56 カナダ戦
車いすバスケの神様と呼ばれるパトリック・アンダーソンを擁するカナダに大逆転勝利を挙げ、チームは3連勝を飾った。
第1、2クオーターはそれぞれ6-12、13-18と分が悪かったが、19-30で迎えた第3クオーターから怒とうの攻勢。第3クオーターを19-14、第4クオーターを24-12とし、終わってみれば6点差をつけた逆転勝ちとなった。
チームトップの得点者は、香西が24得点と大爆発。続いて藤本の14得点、秋田の12得点と、これまで日本をけん引してきた香西、藤本のダブルエースがここぞの場面で結果を出し、チームを勝利に導いた。
また、香西は3ポイントシュート9本中4本を成功させて他国の脅威となっており、過去3大会を制したカナダを撃破する一因となった。
予選ラウンド②~初の敗戦を乗り越えて
予選第4試合 ●61-79 スペイン戦
16年リオ大会銀メダルのスペインに終始リードを奪われ、今大会初黒星を喫した。第2クオーターまでに30-48と差をつけられ、第3クオーターは17-12としたが追いつけなかった。
苦戦する中でチームトップの得点者は古澤拓也(持ち点3.0)が15得点。続いて鳥海、香西の11得点。チーム最年少・赤石竜我(持ち点2.5)がチームトップの5アシストをマークし、試合出場時間もチームトップの30分28秒と気を吐いた。
予選第5試合 〇67-55 トルコ戦
第1クオーターこそ9-12でリードされたが、以降は盤石の戦いで今大会4勝目を挙げた。
チームトップの得点者は香西の22得点。続いて藤本の19得点と、従来のダブルエースが活躍。次いで、新ビッグマンの秋田が12得点。アシスト数では鳥海がチームトップの8、リバウンド数は14本と、新司令塔らしい活躍を見せた。
4勝1敗で予選ラウンド2位通過となり、決勝トーナメント進出を決めた。
決勝トーナメント~初のメダル獲得へまっしぐら
準々決勝 〇61-55 豪州戦
豪州は08年北京大会金メダル、12年ロンドン大会銀メダルの強豪。日本は序盤こそ一進一退で第1クオーターを14-14の同点で終えるも、第2クオーターは21-16とリードし、流れをつかんだ。
ここまで全試合途中出場の香西がチームトップの20得点を挙げれば、鳥海も15得点、藤本が14得点と、得点源の選手たちが次々とゴールを量産した。
鳥海はリバウンド数、アシスト数でチームトップの数字をマークしたほか、試合出場時間は36分40秒で、ほぼ出ずっぱりという牽引車となった。
準決勝 〇79-68 英国戦
18年世界選手権9位の日本が同王者・英国を撃破した。第1クオーターは15-23とおされたが、得点差を1桁台にとどめて第2クオーターで33-36まで追い上げた。
第3クオーターでは鳥海の2点シュートで逆転に成功すると、一進一退の攻防から赤石のシュートなどで突き放し、4点差をつけて最後の第4クオーターを迎えた。
開始まもなく香西の3ポイントシュートで突き放すと、追いつかれることなく79-68で逆転勝利を挙げた。
鳥海がチームトップの20得点。次いで香西が17得点。香西は3ポイントシュート3本をすべて成功させた。
日本車いすバスケ男子史上初のメダル獲得を決め、初の決勝進出を果たした。
金メダルをかけ前回大会王者・米国と激突!
悲願の決勝進出を決めた日本代表。ついに東京2020パラリンピック最終日の5日、金メダルをかけて米国戦に挑む。
準決勝終了時点の個人成績は、新司令塔・鳥海がスティール部門で全体トップ、アシスト数、リバウンド数でも全体トップ10にランクインしており、世界トップレベルの選手として名実ともに認められる存在となった。
藤本と共にこれまで日本を引っ張ってきた香西も、今大会は全7試合途中出場にもかかわらずチームトップの107得点を挙げ、フリースロー以外のゴール成功率は全体3番目につけている。また、3ポイントシュートの成功率は、全体2番目の選手の成功率35.7%を大きく引き離す60.9%という脅威の高確率を誇る。
対する米国はオリンピックのみならず、車いすバスケでも最強を誇る。パラリンピック金メダル獲得数は世界最多であり、16年リオ大会王者。東京2020大会では連覇を狙っている。
強豪・米国に対してどのような戦いを見せるのか。
日本代表の金メダル獲得の瞬間を見逃すな!
(mimiyori編集部)
NHK総合で12:15~生中継
2021年9月5日 | 放送予定 | 東京2020パラリンピック | NHK