読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
東京2020大会の自転車ロードレースのコースを一部活用した新たなレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」が7月13日に開催される。大会前にそのコースを自転車で走ってみて、勝負どころや観戦ポイントをチェックしてみた。
全長133.8kmをダイナミックに交通規制し開催
2021年7月に行われた東京五輪・自転車ロードレースは、東京・武蔵野の森公園(府中市、調布市、三鷹市)をスタートし、神奈川県、山梨県を通過して静岡県・富士スピードウェイをゴールとする厳しくも雄大なコース(男子約244km、女子約147km)で行われた。
そのレガシーイベントとして、2023年12月に「THE ROAD RACE TOKYO TAMA」の第1回大会がエキジビジョンレースとして開催された。八王子市・富士森公園をスタートし、1964年五輪コース、2020年五輪コースを経て武蔵野の森公園前のスタジアム通りでフィニッシュする男子72.6km、女子49.8kmで争われた。
第2回大会となる今回は、国際自転車競技連合(UCI)アジアツアーの一戦となる国際レースとして開催され、海外からもチーム・選手が参加する。上位入賞者には年間ランキングのポイントも付与されることから、より激しい争いが期待される。
今回の男子コースは、武蔵野の森公園前をスタートし、東京多摩地区の各市を通過、最後は青梅市で周回コースを4周し、青梅駅前にフィニッシュする133.8km。五輪コースを踏まえつつ新たなルートで、再び東京で大規模な交通規制が行われる点もポイントだ。
コースに使われているのは東京近郊のサイクリストにはおなじみの道も多く、あらためて大会前に走ってみてチェックしてみた。
前半29kmは五輪コースを一部通過
スタート地点は味の素スタジアム近くの「武蔵野の森公園」。五輪と同じ園内の通路上のポイントから、選手たちは走り出す。ここには五輪競技の概要を記した銘板と距離表示のルートマーカーも設置されている。
今大会のレーススタートは午前7時半で、ほぼ同時刻に筆者の試走もスタート。この日は6月ながら都内は猛暑日(35度以上)に迫る暑さとなり、この時間でも強い日差しが日差しが頭上から降り注いでいた。レース当日も天気がよければ、かなり厳しい暑さの中での戦いとなるだろう。
ちなみに大会公式ホームページによると、当日ここでスタートを観戦して電車移動しても、青梅駅前のゴールには間に合うようだ。
スタートした選手たちは、東八道路を西へ進む。五輪では途中で左折して小金井街道に向かうが、今回のコースはさらに先の栄町交番前で左折して国分寺街道へ入り、少しだけ五輪コースを外れる。
ただ、そのまま南下すると府中市のけやき並木通りにぶつかり、ここで五輪コースに再合流。五輪ではさらに直進して、大國魂神社の境内を走る印象的なシーンがあった。今回は境内に入らずに大鳥居前で右折して、その先で府中街道に合流するコースのようだ。
府中街道を南下して。多摩川にかかる「是政橋」へ。東京五輪ではここまでの10kmがレースを行わないパレード走行区間だった。今回の「THE ROAD RACE TOKYO TAMA」も同様のパレード区間になるのか、まだ明らかでない。
是政橋を渡ってレースが本格的にスタートすると、上り坂が現れ始める。この先、五輪では尾根幹(南多摩尾根幹線道路)を行きつ戻りつするクネクネとしたコースを走った。今回は稲城五中入口交差点からアップダウンの続く尾根幹を約10km走り続ける。
「ぐりーんうぉーく多摩」前を右折し、その先の「大栗川橋南交差点」を左折して今度は多摩ニュータウン通りへ入り、またまた五輪コースに合流。この交差点は、すぐ近くの「大栗川橋北交差点」でもこの後にレースが通過するので2度観戦できるスポットだ。
五輪コースを離れて青梅を目指す
多摩ニュータウン通りを進んでいき、「南大沢駅前」付近には第1中間スプリントポイントが設定されている。ロードレースでは優勝候補以外の選手がこのポイントの上位通過を目指して、集団から逃げる展開がよく見られる。ここは緩やかな上り坂で、興味深い争いを観戦できそうだ。また、すぐそばの「三井アウトレットパーク 多摩南大沢」では前日の7月12日にチームプレゼンテーションやエキジビジョン走行などの事前イベントも予定されている。
その先、多摩境駅前交差点を右折。ここで五輪コースとは完全に分かれる。ここまでの走行距離は約29kmとレースはまだまだ序盤だ。その後、鑓水枝畑交差点から野猿街道へ入り、2度観戦が楽しめる「大栗橋北交差点」を通過。ただ、2回とも緩やかな下り坂の下なので、あっという間に選手たちは通り過ぎるかもしれない。
(撮影:光石 達哉)
中央大学南交差点を左折すると、上り坂が始まる。正門前を左折した先が、勾配8%前後とやや厳しい。
(撮影:光石 達哉)
その後、平山通りに入り、浅川にかかる平山橋を渡った先で右折し、新川崎街道にぶつかったら今度は左折して北へ。
さらに左折して、日野市の市民の森スポーツ公園前の道を通り、右折して「多摩大橋」を渡る。
渡った先で左折し、新奥多摩街道と奥多摩街道をつないで北西へ。筆者の試走では東青梅三丁目交差点で旧青梅街道に入ったが、実際のコースはその先の勝沼交差点で合流するようだ。
ここからは、江戸時代に宿場町として栄えた青梅ならではのレトロな建物が沿道に見えてくる。
そして、すぐ先でゴールの「青梅駅前交差点」を1回目の通過。ここには2度目の中間スプリントポイントも設定されている。
ここまでスタートから約67km、選手たちは約1時間半で到着する予定だが、鈍足の筆者は信号待ちや日影での休憩、さらに撮影もろもろで約6時間かかってしまった。
ここからレースは青梅市内の周回コースに突入するが、その詳細は次回。
(光石 達哉)