東京五輪が終わり、東京パラリンピックもこのたび、閉会式を迎えた。陸上競技の注目種目であるマラソンは、大会最終日の9月5日(日)に東京都内のコースで行われた。どんなコースを走るのか、競技前にサイクリングしながら下見してきた。
東京五輪のマラソンは暑さを避けるため、北海道・札幌で開催されたのはご存じの通り。一方、パラリンピックのマラソンは9月開催のためか、当初の予定通り東京の名所をめぐるコースで実施された。もともとは五輪もパラリンピックも同じコースを走る予定だったため、同時に〝幻の東京五輪マラソンコース〟でもあるわけだ。
パラリンピックのマラソンは、視覚障がいクラス、腕に障がいのあるクラス、車いすクラスの3部門に分けられる。視覚障がいクラスの選手の多くは、ガイドランナー(伴走者)と一緒に走る。車いすクラスでは「レーサー」と呼ばれる競技用を使用し、世界記録が1時間20分台と五輪のマラソンをはるかに上回るスピード勝負だ。このように、パラリンピックでは、バラエティ豊かなレースが展開される。
だが、当日は沿道での応援や観戦の自粛が求められていたため、一足先に自転車でコースを巡ってみた。もちろん走行中は他人との接触を最低限にし、感染対策に努めた。
新国立競技場を人知れず出発
スタート・ゴール地点はオリンピックスタジアム(新国立競技場)。その北西の角あたりにトラックから一般道(外苑西通り)への出入り口があるようだ。
しかし、周辺は五輪・パラリンピック期間中は交通規制されていてまったく近づけないため、北側にある首都高速・外苑入口そばの高架下からスタートすることにした。
コースはここから外苑西通りを北に向かい、やや上り坂基調で四谷四丁目交差点を過ぎ、富久町西交差点の手前で勾配が急になる。この上りは競技用車いす「レーサー」なら得意不得意の差があるかもしれない。
交差点を右折して靖国通りに入ると、しばらく下り坂だ。市ヶ谷見附の交差点はそのまま直進して外堀通りを進む。東京ドームの前を過ぎたところで、水道橋交差点を右折し、白山通りに入る。
パラモニュメント横目に日本橋を抜ける
次は神保町交差点で左折するはずだったが、間違って直進し、後半に走る皇居の方へ先に来てしまった。
本来のコースは神保町から靖国通りを東へ進み、須田町交差点で右折して中央通りを南へ向かう。
日本橋のたもとにはパラリンピックのシンボル、スリーアギトスのモニュメントが置かれていた。
以前、幻となった五輪の聖火リレーコースを走った時は、ここに五輪のモニュメントが設置されていたが、大会に合わせて置き替えられたようだ。
このあたりがスタートから10km地点となる。
その先の日本橋交差点で左折し、永代通りへ。さらに新大橋通り、清洲橋通り、清杉通りと繋いで、江戸通りに入り、浅草橋を渡る。
浅草寺やスカイツリーがお出迎え
さらに進んで駒形橋西詰交差点を左斜め前に進むと、浅草寺の雷門の正面に出る。ここを選手たちが走る絵は、実に映えるものになっただろう。
雷門前を右折して、東京スカイツリーが真正面に見える吾妻橋を再び右折。このあたりが15km地点だ。
その後は、来た道を5kmほど戻り、日本橋交差点まで帰ってきたら左折して中央通りを南下。銀座の真ん中を突っ切って、外堀通りとぶつかる交差点を右へ。新橋駅のガード下を抜けて、今度は西新橋の交差点を左折する。
そのまま日比谷通りを南へ。右側に東京タワーを見ながら、芝公園の芝東照宮の入り口あたりで折り返す。
名所満喫しながら 独りマラソンでゴール!!
その後は、来た道を5kmほど戻り、日本橋交差点まで帰ってきたら左折して中央通りを南下。銀座の真ん中を突っ切って、外堀通りとぶつかる交差点を右へ。
新橋駅のガード下を抜けて、今度は西新橋の交差点を左折する。そのまま日比谷通りを南へ。右側に東京タワーを見ながら、芝公園の芝東照宮の入り口あたりで折り返す。
ここからは新橋、銀座、日本橋、神田須田町と戻り、先ほど間違えた靖国通りの神保町交差点を左折。平川門交差点を左折して、内堀通りをさらに南へ。
皇居外苑の中を進み、二重橋前交差点で再び折り返すことになる。
ここまで来たらレースは終盤戦。神保町、水道橋、市ヶ谷と戻り、富久町から富久町西交差点までの上り坂が最後の正念場だ。
交差点を右折して、外苑西通りの小刻みなアップダウンをこなし、ゴールのオリンピックスタジアムを目指す……のだが、今回の下見はスタート地点と同じく首都高速の外苑入口でゴール。
季節外れの涼しさもメダル獲得の一助?
自転車につけているサイクルコンピューターの距離は39.7kmと、マラソンの42,195kmには2.5kmほど足りなかった。
ここからスタジアムまでの距離とトラックを走る周回数で2.5kmもあるかどうか分からないが、誤差もそこそこあるためこんなものだろうか。
ちなみに走行時間は2時間17分、総上昇量(獲得標高、上った標高差の合計)は45mしかなかったため、富久町西あたりのアップダウンをのぞけば、ほぼ平坦なコースのようだ。
この日の天気は曇り気味でやや走りやすかった。9月5日の本番も最高気温が25度に届かず、競技にはもってこいの天気。陸上女子マラソンT12の道下美里選手は金メダル獲得という快挙を成し遂げた。
(光石達哉)