都道府県県境をまたぐ移動も徐々に増えてきているが、秋になって自転車で走りやすい季節にもなったので、これまで走ってきた東京都と他県との県境を自転車で巡る旅を続けていこうと思う。今回はよみうりランド付近から南町田までのエリアで神奈川との県境をたどり、どんな景色が見られるか探っていく。
稲城市は上り坂多し
今まで東京の西にある山側の県境はほぼ見てきたが、今回は以前、多摩川の河口付近からよみうりランドまで見てきた神奈川県との平地側の県境の続きから。この先、県境は複雑に入り組んでいるが、代わり映えしない住宅街が続きそうで、見どころがあるのかなと不安を抱きつつスタートする。
稲城方面からよみうりランドへ行くには、以前紹介した「よみうりV通り」(通称:ランド坂)の他に、もうひとつ「よみうりランド通り」という上り坂がある。こっちの方がクルマの量が多いので自転車は避けがちだが、10年ぶりぐらいに登ってみた。途中で新たなトンネルが工事中だったので、そのうちよみうりランドの丘も越えずに通ることができるようになるのだろう。
地図上ではこのあたりから西に抜ける道がありそうだが、実際来てみると工事用の道路で入れず、その南側にはゴルフ場が広がっている。この先、県境に沿って進むには、いったん坂を下って、ゴルフ場を回り込んでいくことになる。
この辺りだけでなく、横浜から八王子あたりまでの広い地域は多摩丘陵と呼ばれ、ちょっとした移動にも丘越えが出てくる。そんな上り坂をいくつかこなし、稲城市の平尾というところで川崎市との県境を見つけた。ここは稲城市が南にちょっと突き出ているエリアだ。
いったん北西方向に戻り、稲城市の若葉台周辺を抜けて南多摩尾根幹線道路(通称:尾根幹)に入り、多摩市へ。尾根幹は道幅が広くて適度なアップダウンもあり、休日ともなると多くのサイクリストがトレーニングで行き交う道だ。ここを通って、多摩卸売市場の交差点で南に折れ、鎌倉街道に合流すると町田市に入る。
田舎へワープ出来る町田市
さらに反時計回りに鎌倉街道、鶴川街道を通ると、真光寺というエリアで新たな川崎市との境界にぶつかる。このまま鶴川街道を行けば先ほど通った若葉台に到達するが、その間に川崎市が横たわっているということだ。
ここからさらに南に下ると、地図上で町田市の一部が風船のようにぶら下がっている三輪町というエリアがある。こどもの国やTBS緑山スタジオと接しているエリアだが、それらの施設の正面は横浜側にあるので、裏側からなんとなく見ることしかできない。ただ、さっきまで街中だったのに、急に人気のない田畑や峠道のような切通しが現れたりと、田舎へワープしたような錯覚を覚える。
鶴川街道に戻り西へ、さらに金井入り口の交差点を南へ折れる。県境に近い道を探して左折し、小田急・玉川学園駅の方へ。このあたりも、ちょっと脇道に入ると多摩丘陵の坂をえっちらおっちら上らされるハメになる。小田急の線路を越えてしばらく行くと、丘の稜線がちょうど県境に重なっている道に出た。しばらくその道に沿って南へ進むが、高台から見下ろす景色が気持ちいい。
東京本土最南端にいるスヌーピー
さらにいろんな道をクネクネつないで横浜市との境界線付近を南下していくと、東名高速の横浜町田IC付近に出た。ここから国道246号へ出て。南に進むと横浜市瀬谷区との境界を示す標識がある。この辺りが、東京本土の最南端になるようだ。本当の東京都最南端は、日本の国土最南端でもある太平洋に浮かぶ沖ノ鳥島だが、本土ではこの辺りになるということだ。
ちょっと戻って246号を渡ると、昨年11月にリニューアルオープンしたばかりのアウトレットモールの南町田グランペリーパークがある。ここには、昨年12月に六本木からスヌーピーミュージアムが移転してきたばかりだ。というわけで、今回は敷地内にあるスヌーピー像のところでゴール。やはり見どころは少なかったかもしれないけど、こういう機会を作らないと見ることのない景色が見られた気がする。
(光石 達哉)