【柔道】五輪連覇の内柴正人氏が編み出した動作用語「ボックス」「エッジ」とは?~大阪でチャリティーセミナー開催

柔道の動きを一つ一つ言語化して説明する内柴正人氏(撮影:丸井 乙生)

2004年アテネ、2008年北京五輪柔道66キロ級を連覇した内柴正人氏が8月27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でチャリティー柔道セミナーを開催した。

2部制で行われ、第1部では体の動きを示す独自の用語「ボックス」「エッジ」などを使いながら、技を返されないように相手の重心を崩す方法をていねいに説明。第2部では、その動きを復習する練習会を行った。

参加費はキルギス共和国から来日している大学生選手3人の活動支援に充てられる。

 

 

 

15年以上前から口にするオリジナル用語

円運動の組手で相手の重心を移動させ、投げ切るまでの動作を参加者の目の前でコマ送りにして解説(撮影:丸井 乙生)

畳の上で聞き慣れない言葉が飛び交った。

「エッジをかければ、相手の技はかからない」

「この時、ボックスにして……」

内柴氏が15年以上前から口にする、柔道の動作を示す独自の表現だ。「エッジ」は自分の体に内向きの力を利かせた上で体の前面で相手の技を受けること、「ボックス」は組手の釣り手と引き手、そして腕と胴体で形作る姿勢を意味する。

加えて、体の重心を意味する「軸」を使った動作を詳しく説明。今まで習ったことがない指導内容に、集まった参加者数十人は熱心に聞き入った。

 

相手の関節を考える

子どもたちからの質問に答える内柴氏(撮影:丸井 乙生)

6月の愛知、東京開催と同様に、セミナーで指導する技の数自体は非常に少ない。最初は時間をかけて小内刈を解説し、その上で参加者全員で2人1組になって実践練習。基本動作は「刈る」ではなく、「足を開くだけ」と説明された子どもたちは、目を丸くした。

内柴氏が指導する根底には、相手に返されないように自分の技をかけるという発想がある。そのためには、自分の体の軸(重心)を安定させた上で、相手の関節をコントロールして相手の軸をずらして技をかける。

現役時代、天才に勝つために練習に工夫を凝らしたからこそ編み出した用語と予備動作だ。

「完全に正しいことは、人は教えてくれない。まずは、間違っていてもいいから、思い切りかける。その繰り返しで見えてくるものがある」と説明した。

 

身につけるのは準備 それからが練習

練習会の終わりに言葉を贈る(撮影:丸井 乙生)

子どもたち、中学生らも数多く参加した練習会後、内柴氏は未来を拓く言葉を贈った。

「身につくまでは練習じゃない。それは準備。身についてから、できるようになってからが練習」

「厳しさは、どこからもらうのか。先生からもらうのかな。日本一を目指してしまったら、それに見合った技、見合った力をつけないといけない。自分で自分に厳しさをつくること」

「才能を超えなければ目標を達成できないなら、自分の才能を超えないといけない。自分の才能の中だけで柔道をするのではなく、自分の殻を突き破ってほしい」

 

参加者の1人は「柔道の動きを言葉で説明してくれるし、それが理にかなっている。美しい柔道、相手にけがをさせない柔道をしてほしいという考えも、習いたいという動機の一つ」と話した。

中には、以前からSNSを通して内柴氏に具体的な指導を仰いで〝入門〟していた現役選手もおり、「今回はチャリティーということでしたが、ぜひ今後も定期的に続けてほしい」という声が上がっていた。

(丸井 乙生)

 

◆内柴正人氏による柔道指導の動画配信開始          

内柴氏が現在、熊本・八代市で小学生から大学生を対象に週1回開催している練習会を中心に、指導内容を盛り込んだ動画配信を22年4月から開始している。

より詳しい内容について、メンバーシップ配信も開始した。

詳細は下記YouTubeのコミュニティ欄へ。

 

www.youtube.com

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うちしば・まさと

1978年6月17日、熊本県合志市出身。小3から柔道を始め、熊本・一宮中3年時に全国中学大会優勝。高3でインターハイ優勝。大学2年時の99年、嘉納治五郎杯東京国際大会では準決勝で野村忠宏を破って優勝。減量にも苦しんだことから03年に階級を66キロ級へ上げて2004年アテネ五輪は5試合すべて一本勝ちで金メダル獲得。08年北京は連覇した。10年秋引退表明。11年に教え子に乱暴したとして罪に問われ、上告するも棄却。17年9月出所。得意技は巴投げ。160センチ。18年に現在の夫人と再婚し、1男がいる。20年1月から現在の職場に勤務。

 

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