自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ「若葉マーク脱出計画」。
2022年も全国的に暑い夏がやってきた。こんな時でも自転車に乗りたいのならば、標高の高い地方に行って避暑サイクリングするしかない!
ということで、サイクリング初心者の編集部見習いコイケとともに、輪行で栃木県の日光に向かった。第2回は、華厳の滝から中禅寺湖周辺をめぐっていく。
落差97mの華厳の滝から 標高1269mの中禅寺湖へ
日光東照宮方面から第二いろは坂を上ってきた前回。
第二いろは坂のほぼ頂上にある明智平を出発するとすぐ、明智平第一、明智平第二と2つのトンネルが連続している。この2本のトンネルの間が最も標高の高いところで、そこからは下りだ。この短いアップダウンでもコイケは僕を振りちぎっていく。
下り切ったところの丁字路を左折するとすぐ中禅寺湖、右に曲がると下り専用の第一いろは坂に続いており、その手前に華厳の滝がある。この滝の上流あたりから奥日光と呼ばれるエリアだ。
駐車場に自転車を停め、土産物店が並んでいる脇を抜けて歩いていくと、無料の展望台があり、日光有数の名所、「華厳の滝」を一望できる。落差97mの高さは圧巻で、中禅寺湖の水がほぼこの1点に集中し、滝となって一気に流れ落ちていると思うとなおさらすごい。
近くには有料のエレベーター(大人570円)があり、下って滝つぼ近くから鑑賞できる観瀑台もある。そこからの眺めもすばらしいようだが、時間とお金もないので今回はスキップ。
二荒山神社から男体山を臨む
華厳の滝を出て、中禅寺湖の方へ戻る。湖の入り口には「二荒山神社中宮祠 大鳥居」が立っている。
二荒山神社は前回紹介した日光東照宮のそばにあるのが本社、男体山山上にあるのが奥宮で、この中禅寺湖畔の神社は、その間の中腹にあるので中宮祠というそうだ。さっきまで霧が立ち込める曇天だったが、鳥居の向こうの空は少しずつ雲が晴れて青空ものぞいてきた。
その下に広がる中禅寺湖は、標高1269mの高地にあり、周囲約23.6km、最大水深163m。約2万年前に男体山の噴火による溶岩で渓谷がせき止められてできた湖といわれている。
湖畔はホテルや飲食店、土産物店など数軒あるものの、あまり騒がしい感じはなく落ち着いた雰囲気。すれ違ったサイクリストも2、3組ぐらいと意外に少なく、レンタル自転車の人もいた。紅葉の時期に比べると、夏は穴場なのかもしれない。
大使館別荘から湖畔へ降りる
鳥居の手前を左折し、湖の東岸を南下。しばらくいくと、朱塗りの山門の立派なお寺があった。中禅寺湖の名前の由来なのか、ここは「日光山中禅寺 立木観音」というお寺で、日光東照宮のそばにある輪王寺の別院だという。
さらにその先の駐車場に自転車を停め、しばらく歩くと「英国大使館別荘記念公園」がある。明治中頃から昭和初期にかけて、中禅寺湖畔には各国の大使館をはじめ多くの外国人別荘が建てられ、国際避暑地としてにぎわったという。
この英国大使館別荘は、英国外交官アーネスト・サトウの別荘とし1896(明治29)年に建てられ、その後も英国大使館別荘として長年使われてきた建物を復元したものだそうだ。
さらに歩いていくと、今度は「イタリア大使館別荘記念公園」がある。園内のイタリア大使館別荘は、1928年(昭和3)年に建てられたものを復元したものだという。
どちらも平成の中頃まで実際に大使館の別荘として使われていたそうで、洋館風の建物かと想像していたら、木造の和洋折衷の建築だったのが興味深かった。内部を見学するのは有料(大人:片方のみ300円、共通券450円)で、中にはカフェもある。
中禅寺湖の風を浴びながら ひと休み
別荘のそばから、湖畔にも降りることができた。中禅寺湖の水は底がはっきり見えるほど透き通っていて、コイケは「こんなにきれいな湖は見たことない!」と感動している。
桟橋ではファッションモデルらしき人の撮影が行われていて、湖上では大きな遊覧船がのんびり動いている。ゆっくり吹く風が涼しく心地よくて、夏の間はずっとここにいたいという気分になってくる。
来た道を戻り、今度は湖の北岸へ。「湖畔展望テラス」というのがあるので、そこからの眺めを確認。ちょっとした高台になっていて、中禅寺湖と日光連山を一望できる。日光連山は、日本アルプスのような他の地域でよく見る切り立った山脈ではなく、お椀を逆さまにしたような山がボコボコと並んでいる感じ。火山性の地形だからそうなっているのかよくわからないが、少し違う国に来たような感じもする。
というわけで、今回はここまで。次回は戦場ヶ原や日光湯元方面へと足を延ばしていく。
(光石 達哉)