【行ったつもりシリーズ】都内しばりで新選組ゆかりの地をめぐるサイクリング(前編)

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銅像は新選組で超有名なあの人!(撮影:光石 達哉)

幕末の動乱の時代に活躍し、今なお人気のある新選組。今回は都内にある新選組ゆかりの地をサイクリングでめぐっていく。前編は、新選組のふるさととも言われる日野市へ向けて、出発!

 

今年10月には新選組、特にその副長である土方歳三を描いた司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」の映画が公開されるという。自分も何十年も前に読んだが、土方歳三のぶっ飛んだキャラクター、明治維新や日本の近代化なんてものには興味がなく、農民階級出身ながら剣術や武士道への憧れのみで情け容赦なく突っ走っていく姿がおもしろかったのを覚えている。

 

 

甲州街道~八坂神社からスタート

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新撰組ゆかりの地をめぐる旅、スタートは日野市の八坂神社から。甲州街道・日野宿の総鎮守の神社だそうだ(撮影:光石 達哉)

最初に訪れたのは、JR日野駅のそば甲州街道(都道256号)沿いにある八坂神社。新選組と言えば、天然理心流という剣術道場の仲間たちが中心メンバーとなっているのだが、この八坂神社は安政5年(1958年)に天然理心流の門人たちが剣術上達を祈願して奉納した額が残されている。

その額には、嶋崎勇(のちの近藤勇)、沖田惣次郎(のちの沖田総司)らの名もある。一般公開は年2回のみだが、鳥居のそばに奉納額の写真が展示してある。

 

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奥にある本殿は細部まで彫刻が施されていて、日野市指定有形文化財となっている。現在は大きな社殿に囲われ、風雨から守られている(撮影:光石 達哉)

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鳥居のたもとに天然理心流奉納額の紹介がある。一般公開は、5月の新選組まつりと9月の例大祭の年2回(撮影:光石 達哉)

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今回参考にしている東京都制作のパンフレット「新選組のゆかりの地を歩いてみませんか」。日野市の観光案内所「日野宿交流館」(日野宿本陣の向かいにある)などで入手できるほか、日野市観光協会HPからもダウンロードできる(撮影:光石 達哉)

 

ちなみに今回、参考しているのは東京都が発行している「新選組ゆかりの地を歩いてみませんか」というパンフレット。日野市や調布市にある新選組関連スポットを解説しているので、その順番通りに回ってみる。

 

日野市観光協会HP-新選組特設サイトはこちら

http://makoto.shinsenhino.com/

 

大名たちの宿泊所・日野宿本陣へ

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新選組六番隊組長である井上源三郎の資料館。子孫の住宅の敷地内にあり、左側の蔵のような建物に資料館と天然理心流の道場が入るようだ(撮影:光石 達哉)

次は、北に300mほど移動した住宅街の中にある井上源三郎資料館。新選組六番隊組長だった井上源三郎の生家跡で、現在も子孫の方が住んでいる住宅の一角にある。

もともとは当時の蔵を利用した資料館だったようだが、現在は新築した建物になっている。2階は天然理心流の道場になっており、子孫の方から指導を受けられるようだ。毎月第1・第3日曜日のみ公開で、この日は中に入ることができなかった。

 

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日野宿本陣。当時の管理人である佐藤彦五郎の屋敷も兼ねており、敷地内には天然理心流の道場もあった。(撮影:光石 達哉)

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一番大きい18畳の広間。この建物ができたころ、新選組の面々はすでに京にいたが、土方らは里帰りのときにここを訪れていたそうだ(撮影:光石 達哉)

 

甲州街道に戻ってちょっと東へ進み、日野宿本陣へ。本陣と言えば参勤交代する大名をはじめ、旗本、幕府役人などが利用する宿泊施設を指す。

現在の建物は、火災焼失後、元治元年(1864年)に再建された脇本陣という別館的な建物で、都内に現存する唯一の本陣建築だそう。

当時の本陣問屋(管理人)であり、ここを自らの屋敷としていた佐藤彦五郎は、土方歳三の姉の夫で、近藤勇とも義兄弟の契りを結んでいた。さらに敷地内に天然理心流の道場を開き、その後も新選組を後方支援していたという。

 

中に入ると、大名の宿泊所と想像するほど大きな建物ではないが(そもそも甲州街道を参勤交代で通る大名は3藩しかなかったそうだ)、江戸後期の屋敷や庭のつくりを見られるのは興味深い。

 

土方歳三ゆかりの地は住宅街の中⁉

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日野宿本陣の裏手にある佐藤彦五郎新選組資料館。下佐藤家の裏門があったところで、現在はアパートの1階左側が資料館となっている。子孫の運営する資料館は、毎月第1・第3日曜日のみの公開なので注意(撮影:光石 達哉)

続いては、本陣の裏手に回り、佐藤彦五郎新選組資料館へ。建物自体は、佐藤彦五郎の子孫が経営するアパートになっているようで、その1階の一部が資料館になっている。

 

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「日野市立新選組のふるさと歴史館」。展示物は撮影禁止だったので、外観の写真のみ。入場料は先ほどの日野宿本陣とセットで大人300円、別々だと200円ずつ(撮影:光石 達哉)

今度は南へ1kmほど移動し、「日野市立新選組のふるさと記念館」に到着。日野宿や新選組の成り立ちが学べる博物館で、手紙などの文献や当時使われていた木刀や銃などの武器も展示中だ。天然理心流の技の写真による解説や新選組のコスプレ写真が撮れるコーナーもある

 

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洪水に遭う前の土方歳三の生家が近くにあったとされる「とうかん森」。そうと知らなかったら、ただの空き地として通り過ぎそう(撮影:光石 達哉)

次は3kmほど移動。日野バイパス(国道20号)に出て東に向かい、多摩モノレールの万願寺駅周辺へ。住宅街の中に入ったところにある「とうかん森」に到着した。森といっても、今は住宅1軒ほどの敷地にカヤの大木2本が立っているだけ。かつてはここにあった稲荷祠の周りに多くの木が密生していたようだが、多くの木々は枯れ稲荷祠も撤去されている。

実はこの付近に土方歳三の生家があったのだが、弘化3年(1846年)に多摩川・浅川の洪水に見舞われた。その後、残った母屋などを近所の人たちが解体し、移築したという。

 

土方歳三のお墓を探して

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土方歳三の墓がある石田寺。このあたりの名家だった土方家の墓がたくさんある(撮影:光石 達哉)

200mほど走って、すぐ近くにある石田寺(せきでんじ)へ。ここには土方歳三の墓がある。土方家は大尽(だいじん)と呼ばれたこのあたりの豪農で、墓地の一角には土方家の墓がずらっと並んでいる。

案内などもあるのだが、どの土方家の墓かわからずウロウロしていると、お寺に法事か何かで来ていたらしいおじさんに、そこにあるよと教えてもらった。墓と言っても、ここに遺骨が埋葬されているわけではないという。

 

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函館で戦死した土方歳三だが、この墓は供養のためのもので埋葬はされてはいないという(撮影:光石 達哉)

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子孫の住宅(かなり立派)でもある土方歳三資料館。近くの日野バイパスには資料館の大きな看板もあるが、いざ来てみるとひっそりしている。門の奥には土方歳三の胸像がある(撮影:光石 達哉)

500mほど西へ戻り、土方歳三資料館へ。ここは洪水に見舞われた土方家が移転したところで、現在は子孫の方が暮らす大きな住宅の中に資料館が作られている。この日は閉館だったのだが、門の奥に土方歳三の胸像が立っているのが見えた。

 

高畑不動尊名物・土方歳三像

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土方歳三の菩提寺でもある高幡不動尊。五重塔がかっこいい(撮影:光石 達哉)

次は2kmほどの移動。浅川を渡って高幡不動尊へ。関東三大不動として多くの人が参拝に訪れる大寺院で、近くを走っていても立派な五重塔が目に入ってくる。

ここは土方歳三の菩提寺でもあり、本堂の左側には新選組隊士の法被姿の土方歳三の銅像が威風堂々と立っている。その横には近藤勇・土方歳三顕彰碑という石碑が立っている。

 

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隊士服姿の土方歳三像、右は近藤勇と土方歳三の顕彰碑。両雄の事績が漢文で書かれている(撮影:光石 達哉)

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名物の高幡まんじゅう。疫病退散とアマビエの焼き印のものがあったので、軽くエネルギー補給(撮影:光石 達哉)

ここまで日野市内の新選組ゆかりの地9カ所を回った。この後は近藤勇の地元である調布市、さらに府中市、町田市のゆかりの地をめぐろうと思ったのだが、雨が降ってきたのでまた後日仕切り直そう。

 

(光石 達哉)

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今回のルート:①八坂神社-②井上源三郎資料館-③日野宿脇本陣跡-④佐藤彦五郎新選組資料館-⑤日野市立新選組のふるさと歴史館-⑥とうかん森-⑦石田寺-⑧土方歳三資料館-⑨高幡不動尊金剛寺(撮影:光石 達哉)

 

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