自由に旅ができなくなって早1年以上。可能な範囲でできる旅は…となると、自転車は有効な手段かもしれない。走行は1人、人との接触も少ない。
写真満載でまるで行ったつもりになれる紀行コラム、今回は東京の穴場的スポット、東京・あきる野市の養沢(ようざわ)渓谷へサイクリング。まだ残暑が厳しかった8月下旬に涼しさを求めていったが、これからの秋もさまざまな魅力がつまったエリアだ。
バーベキュー場ではモアイ像がお出迎え
JR武蔵五日市駅前から檜原街道を約4km西へ進んだところにある十里木交差点を右に曲がり、都道201号線に入る。すぐさま左手に大きなモアイ像が現われるが、これはバーベキュー場の入り口だ。
その先へ進むと秋川の支流、養沢川が道沿いに流れる。かつてヤマトタケルが兵士たちに沢の水を飲ませて疲れを癒したことから、養沢という名前がついたという伝説があるらしい。
川沿いにはキャンプ場や釣り場がいくつかあり、この日は平日だったがそこそこ人出もあった。最近のアウトドアブームもあって、新しくできたカフェやコテージなどもあり、現代人もきれいな川の流れと癒しを求めてここへやってくるようだ。
養沢渓谷沿いの鍾乳洞巡りへ
十里木交差点から5,5kmほど養沢川沿いの緩やかなアップダウンの道をこいでいくと、三ツ合鍾乳洞という鍾乳洞の入り口があった。しかし残念ながら休業中で、道も通行止めとなっている。
東京にある鍾乳洞と言えば奥多摩の日原鍾乳洞が有名だが、この養沢渓谷沿いにも3つほど鍾乳洞がある。今回はそれもめぐってみようというのがひとつのテーマでもあったのだ。
大岳鍾乳洞への道のりは険しい!
さらに500mほど都道を進むと、今度は大岳鍾乳洞の看板があるので、左折して渓流沿いに伸びている林道を進む。勾配が10%前後あるちょっとしんどい上り坂で、狭い道なのにダンプなどの大型車両も時折通る。それもそのはず、曲がり角から1kmほどで採石場が現れた。
その先は砂利道になっていて、ロードバイクのタイヤと自分のテクニックではズルズル滑って進めない。鍾乳洞入口はまだ先なようなだが、携帯の電波が通じず地図も確認できない。この日は久々の長距離サイクリングだったのでいつも以上に疲れてしまい、鍾乳洞は諦めて引き返すことにした。
後で調べると、鍾乳洞まではあと1kmほどで、見学も可能なようだった。実はかなり昔にこの道に来たときは鍾乳洞の入口まで自転車で行けたのだが、ダンプがたくさん通ることで、路面がそのときよりも荒れていたのかもしれない。
ひんやりした空気の養沢川上流
都道に戻ってさらに北へ向かう。1.5kmほど行くと舗装が途切れるポイントがあり、未舗装路をこのまま上っていくと御岳山へと通じているようだ。
脇には公衆トイレがあり、そのそばに養沢鍾乳洞まで0.5kmの標識がある。いわゆる登山靴で入っていくような山道で、ここも閉鎖中になっていた。というわけで、この日は鍾乳洞はひとつも見られなかった。
このあたりで標高は400m弱。そんなに上っているわけじゃないのに、空気もひんやり感じる。沢の流れと山や木立の陰のおかげかもしれない。
厳かな雰囲気の養沢神社
帰りに、先ほどの大岳鍾乳洞入口の角にあった養沢神社へ立ち寄る。この近くのあった5つの神社を合祀した神社だそうだ。鳥居をくぐって石段を登ると一対の竜の石像があるのが、ちょっと珍しい。
サイクリング以外にも、先ほど紹介したように釣りやキャンプなども楽しめるため、これからの季節、遠出はできないけど他人とのディスタンスを保ちながらちょっと自然と触れ合いたいときにいいスポットかもしれない。
(光石 達哉)