【行ったつもりシリーズ】甲武トンネルとじゃがいもジェラート

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今回の東京のギリギリ端っこは、山梨県との境の甲武トンネル(撮影:光石達哉)


全国的に感染者が増え、東京から他県への不要不急の移動自粛が求められるなど、まだまだ自由に旅行するのは難しい日々が続いている。そんな中、過去にサイクリングで訪れたちょっとマイナーだけど個人的なお気に入りスポットを紹介して、旅の参考にしてもらおうという企画。今回はまたまた東京のギリギリ端っこを探検に、檜原村の甲武トンネルへ。

 

 

「甲斐」と「武蔵」の境 

前回の和田峠の次に北にあるクルマで越えられる東京都の県境は、東京都檜原村と山梨県上野原市をつなぐ甲武トンネルになる。その名の通り、甲斐国と武蔵国の境にあるトンネルだ。和田峠からは直線距離で北西へ7kmほど離れているが、クルマや自転車で行こうとするとかなりの遠回りをしないといけない。

まずはJR五日市駅と五日市街道の終点である武蔵五日市駅前から、西に延びる檜原街道へ。この辺りはよくサイクリングで来るのだが、この日は見たことがないほどクルマが渋滞していた。ちょうどお盆休みが始まる時期だったので、遠出せずに近場でレジャーを楽しもうという人がたくさん来ていたのかもしれない。道沿いのお店やキャンプ場、バーベキュー場なども賑わっていたようだった。

 

標高差200m 県境へ続く上り坂

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檜原街道をひたすら進み、上川乗の交差点を左へ。右へ行くと、奥多摩周遊道路を越えて奥多摩湖方面へ至る。周囲はすっかり山深い景色(撮影:光石達哉)


渋滞のクルマをかき分けながら約9km走って、東京唯一の村である檜原村役場の先の橘橋交差点を左へ。ここまで来るとクルマもちょっと少なくなって、スムーズに走れるようになってきた。標高もちょっと高くなって、道沿いを流れる南秋川が涼しい空気を運んでくれているようだ。

 

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甲武トンネルへと向かう上り坂。道幅は広くて景色もいいけど、それなりにしんどい…(撮影:光石達哉)


檜原街道は、南秋川の流れに沿ってうねうねとアップダウンしながらまだまだ西へと伸びている。さらに8km走ると上川乗の交差点で、ここで左にハンドルを切ると甲武トンネルへの上り坂が始まる。

この坂は約3kmで標高差200m近く登るが、和田峠と比べると道も広くて走りやすい。勾配は最大9~10%ぐらいでそれなりにきついが、景色も開けて見晴らしのいいところもある。

短いトンネルを抜けると

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甲武トンネルと栗坂トンネルの間の小さな空間。奥に見えるのが栗坂トンネル、左には災害用のヘリポートがある(撮影:光石達哉)

 

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ヘリポートの反対側は山々が広がる(撮影:光石達哉)


だいぶ登ってきたところで、長さ209mと短めの栗坂トンネルが現れる。このトンネルを抜けると、目の前に今回の目的地、甲武トンネルがある。ちなみに2つのトンネルの間はわずか100mほどで、ここには災害用のヘリポートがあるだけだ。

 

県境はトンネルの中

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甲武トンネルの東京側の入り口。だいぶ辺境感がある(撮影:光石達哉)

 

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入り口脇の小さいプレートを見ると、完成は1988年、当時の長さは554.1mと今の約半分ぐらいだったようだ(撮影:光石達哉)

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トンネルのちょうど真ん中付近に、東京と山梨の境を示すプレートが。奥に見える光の先は山梨県上野原市だ(撮影:光石達哉)


実際の東京と山梨の県境は甲武トンネルの中なので、入ってみることに。半分ちょっと過ぎたところに県境を示すプレートが壁に取り付けられていた。山梨県に入らないように、今回はここでUターン。

名産品がジェラートに

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帰りに立ち寄った檜原村の直産物特売所「やまぶき屋」(撮影:光石達哉)

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外のテラスで、じゃがいもジェラートと檜原村の水をいただく(撮影:光石達哉)

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このじゃがいもジェラートは「男爵いも」を使用。他に「おいねいも」「ミルクティー」の種類があり、各250円(税込み)。やまぶき屋の通販サイトでも買える(撮影:光石達哉)


帰りに立ち寄ったのが、檜原街道沿いの特産物直売所「やまぶき屋」。檜原村はじゃがいもが名産だそうで、ここではじゃがいものジェラートを売っている。ひとつ買って、北浅川を見下ろせるテラス席でいただく。

甘さは控えめというかうっすら感じる程度で、冷たいのにほんのりじゃがいものホクホクした風味がする不思議な味だ。中には小さな粒が混じっているが、ジャガイモのかけらのようだ。他ではなかなか出会えない味なので、一度試してみては。(光石 達哉)