「東京から出ない」が鉄のオキテの旅ーー。
再び一部都府県に緊急事態宣言が発令され、外出や移動にも自粛が求められるようになった。そこで、以前からお送りしていた東京都を出ずに県境沿いギリギリをサイクリングする旅のレポートを引き続きお届け。今回は埼玉県との県境第4弾、西武園そばの多摩湖をスタートし、ついに埼玉県の完結なるか。
紅葉色づく多摩湖のサイクリングロード
前回は西武園ゆうえんち周辺まで来たが、今回はそのそばの多摩湖から出発。東村山市と東大和市にまたがるダム湖である多摩湖は、その北側の道がほぼ県境と重なっている。そこでまずは、車道と並走するサイクリングロードを使って西を目指す。
埼玉西武ライオンズの本拠地メットライフドームの脇をかすめ、以前紹介したダイダラボッチ像の近くも通過。この日はもう12月半ばだったのだが、サイクリングロードの中は紅葉がまだまだ真っ赤に色づいていた。
多摩湖を過ぎると、武蔵村山市の野山北・六道山公園が見えてきた。公園内の案内所のような建物の近くに、六地蔵と呼ばれるものがある。お地蔵さんが6体並んでいるわけではなく、四角い石の柱の3面に2体ずつお地蔵さんが彫ってある。
近くの案内板によると、明治30年にこの付近で赤痢が流行して51人が死亡したという。その供養のため、この六地蔵が造立されたとのこと。今のコロナ禍の状況と少し通じるところもあるなと思い、手を合わせる。
狭山茶畑から再び県境へ
この辺りの県境は山の中なので、公園の南側と西側の道を使って回り込む。公園の北西側のはずれは東京都瑞穂町と埼玉県入間市の境だが、入間の隣の狭山市の名がついた狭山茶の畑がちらほら見えてくるようになった。
さらに西へ進んでJR八高線の下をくぐり、青梅市に入ったあたりで北へ。牛を飼っている牧場や圏央道の青梅インターチェンジの脇を通って、北上を続ける。
霞川という小さな川にかかる金子橋を渡ったところに、埼玉県入間市の標識がある。さらにこの辺を探検してみると、今井林道という道の先で県境に近づけそうだが、通行禁止でチェーンがかけられている。このあたりの舗装された道で越えられる県境は、どうやら先ほどの金子橋のところしかないようだ。
ちなみに、近くに今井城跡というものがあった。戦国時代の豪族・今井氏の城だったそうだが、現在は丘の上の林といった感じだ。
この先の東京と埼玉の県境はしばらく山の中を通っていて、一般道が通じているのはちょっと離れたところにある。数カ月前に小沢峠を訪れたときに紹介した、成木川沿いの岩井堂交差点付近の青梅市と埼玉県飯能市の境だ。せっかくなのでぐるりと1周する意味も込めてそこまで行ってみた。
半年間の旅、ついに完結!
約半年間、休み休みながらも東京とその周りの神奈川、山梨、千葉、埼玉との県境をほぼ1周する旅がついに完結した。
スマホの地図をにらみながら走るのはちょっとしんどかったけど、こんな機会じゃないと行かないところに行けたし、東京も狭いようで広いなとあらためて感じることができたかなと思う。
(光石 達哉)