日本車いすバスケットボール連盟は10月28日、日本代表チームの新強化体制発表会見をオンラインで行った。ヘッドコーチは、男子の京谷和幸氏は続投。女子は新たに元日本代表で3度のパラリンピック出場、皇后杯優勝7回の強豪カクテルの岩野博ヘッドコーチが就任した。
2人は今後の代表強化方針を説明。東京パラリンピックを経て、再び世界のトップに挑む日本代表の強化ポイントや課題が示された。
男子:〝ジャパンスタイル〟磨きかける
男子は東京パラリンピックで銀メダル。金メダル獲得に足りなかった部分を、2024年パリまでの間で積み上げる。
京谷ヘッドコーチは、チームコンセプトとして下記の3点を挙げた。
①世界一走り、世界一ハードワークできるチーム
②世界一切り替えの早いチーム
③どこからでも得点が取れるチーム
日本男子の強みである「トランジション」「ディフェンス」「ハードワーク」は、〝ジャパンスタイル〟として今後も磨きをかける。「世界一」を実現するために「原点に戻る」として、フィジカル面の強化を進める。加えて、選手同士の競争力強化も図り、チーム全体の底上げを目指す。
また、今後の強化ポイントと課題として、「個の打開力」「フリースローの確率」「ハーフコートディフェンス」「ハーフコートオフェンス」「ゲームの流れを読む力」の5点を挙げた。
東京大会のフリースローは、12チーム中ワーストの40.4%。トップだったカナダの74.6%と大きな差があった。目標は「試合で65%以上、合宿では80%以上」と設定し、徹底して強化する。
女子:得点力で勝負できるチームに
女子は新たに岩野ヘッドコーチを迎えた。現役時代は千葉ホークスに所属し、日本選手権は6回優勝。パラリンピックは92年バルセロナから3大会連続で出場した。
02年からは豪州・パースのクラブでもプレーし、06年からマレーシア代表を指導するなど海外経験も豊富。11年から女子チームのカクテルのヘッドコーチとして皇后杯で7度頂点に導いた。
岩野ヘッドコーチは「得点力で勝負できるチーム作り」を掲げた。トランジションバスケといったこれまでの戦術を踏襲した上で、個人のシュートスキルなど「まだまだ改善の余地がある」とする得点力を強化して世界に挑む考えを示した。
また、アンダー、ジュニア世代の強化、少人数でベテランが中心となっている各地のクラブチームの底上げについても触れ、女子全体の競技力向上を代表強化にもつなげていく。
目標は世界選手権・パラリンピックでメダル
今後は男女共に22年の強化指定選手選考に関わる合宿を行い、同年3月の世界選手権予選、11月の世界選手権、そして24年パリ大会を大目標に強化が進められる。
男子の京谷ヘッドコーチは、世界選手権の目標を「トップ5」とし、「パリでもう一度メダル、ファイナルの舞台に立って金メダルを目指したい。ハードなトレーニングを積んで一丸となって頑張りたい」と力を込めた。
女子は東京パラリンピック6位。18年世界選手権銀メダルの英国に勝利したものの、準々決勝でオランダに24-82で敗れ、トップとの差を痛感させられた。岩野ヘッドコーチは「世界選手権は、予選で中国を倒してトップ通過、本大会はベスト4。パリでは男子と同じくメダル獲得」と目標を掲げた。
(岡田剛)