【パラスポーツ】パラ水泳日本選手権最終日②~パラメダルリストのベテラン勢 5月選考会へ課題克服

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”水の女王”成田真由美は背泳ぎも得意種目

(提供:日本身体障がい者水泳連盟=3月6日撮影)

パラ水泳の日本選手権は7日、静岡県富士市の富士水泳場で最終日を行った。S1~10の身体クラスでは、パラリンピックメダリストトリオのS5クラス女子・成田真由美(横浜サクラ)、男子ではS4・鈴木孝幸(GOLDWIN)、S9・山田拓朗(NTTドコモ)が登場。ベテラン3選手は出場種目でそれぞれ優勝しながらも、21年8~9月開催の東京パラリンピック代表入りに向けて課題を挙げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019年11月の日本選手権以来1年4カ月ぶりのパラ水泳大会となった今選手権を経て、5月21~23日にジャパンパラ(神奈川・横浜国際水泳場)で代表選考会を実施。派遣基準記録を突破した選手から優先的に選考される。

 

 

成田真由美 水の女王は前半に課題

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自由形にも出場したマルチメダリスト・成田真由美

(提供:日本身体障がい者水泳連盟=3月7日撮影)

「水の女王」の表情は曇りがちだった。50メートル自由形は42秒62。19年世界選手権では41秒70をマークした種目で、まさかのタイムだった。

「ここ数年の中では悪いタイムでした。自分としては隣のコースの選手に付いて行こう、と泳いで、タイムを見るまでは40秒台を切れていたと思っていましたが、見てみたら42秒台なんてタイムだったので…。前半にもっと飛ばした方がいいというところが課題ですね」

1996年アトランタからパラリンピック4大会連続出場を果たし、金15個、銀3個、銅2個で合計20個のメダルを獲得した。一時競技から離れたが、東京パラリンピックの開催決定を受け、16年リオに向けて7年ぶりに競技に復帰して5大会目の出場を果たしていた。

5月の代表選考会については「泣いても笑っても最後。きょう(7日)が5月でなくて良かった。それも含めて大会開催に感謝したい」。貴重なレースとなった今大会の開催に尽力した関係者に感謝の言葉を口にした。 

 

鈴木孝幸 東京メダル候補は物足りなさ残る

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日本のパラ水泳を代表する選手の1人である鈴木孝幸

(提供:日本身体障がい者水泳連盟=3月7日撮影)

東京パラリンピックのメダル候補・鈴木も、目標タイムには届かなかった。50メートル自由形S4クラスでは38秒26、同100メートルは1分22秒70。19年世界選手権ではそれぞれ37秒56、1分22秒38でともに銀メダルを獲得した種目だけに、鈴木自身は物足りなさを感じていた。

「どちらもタイムがすごく悪いわけではないし、2種目とも派遣標準記録は突破しているのですが、目標タイムには届かなかったですね」

とはいえ、今大会にピークを設定したわけではなく、現段階では持久力をつけるトレーニングに重きを置いており、瞬発系のトレーニングにシフトしていけばスピードは上がるという手応えはある。

「特別調整していたわけではないので、5月は今回よりもいいタイムで泳げたらと思います。金メダルを獲れるように頑張りたい」

04年アテネから3大会連続でメダルを獲得しているアスリートは、2種目4位に泣いた16年リオの雪辱に向け、準備を整えるつもりだ。

 

山田拓朗 首痛に悩まされつつ

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首痛を抱えながら出場した山田拓朗(提供:日本身体障がい者水泳連盟=3月7日撮影)

S9クラスの山田は首痛と闘いながらのレースだった。6日の今大会初日から首に激痛を抱えていたが、最終日のこの日は16年リオで銅メダルを獲得した50メートル自由形が控えており、痛みをおして出場。26秒70のタイムで優勝を飾ったが、リオ当時は26秒フラットを叩き出していた。

「メーンの種目なので泳ぎたい思いがありました。ゴールタッチも流れてしまい、レースとしては良くなかったです」

首痛の原因は「出力が上がることによって負担がかかりやすい。年齢も上がっていますし」という。山田は04年アテネに史上最年少の13歳で出場しており、東京では5大会連続出場を目指している。三十路を迎える今年、2大会連続メダル獲得へ勝負をかける。

 

(丸井 乙生) 

 

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