都道府県間の移動が制限されていた期間に始めた東京とその周りの県の県境を自転車で巡る旅。今や「Go To トラベル」キャンペーンで国内旅行も盛り上がっているが、せっかく始めたものを途中で投げ出すのも後味が悪いので、引き続き県境探検を続行している。
今回は東京都と神奈川県の間を流れる境川をさかのぼる。
境川は文字通り 東京都と神奈川県の境目
前回は東京本土のほぼ最南端である南町田のショッピングモール「クランベリーパーク」周辺まで来たが、そこからちょっと西に移動すると境川が流れている。下流側は神奈川県内を流れ、最後は藤沢市の江の島近くで相模湾に注ぎ込むが、上流側は文字通りこの境川にほぼ沿うかたちで東京都と神奈川県の県境が引かれている。ちょうどその境目付近に行くと、「これより下流神奈川県厚木市~」と書いてある標識があり、今回はここをスタート地点にしてまずは北西へ向かっていく。
「境川ゆっくりロード」はのんびり進む
この境川沿いの道は「境川ゆっくりロード」と名付けられた自転車歩行者専用道路になっている。道幅はさほど広くなく、途中に車止めも多いので、どちらかといえば近所に住む人たちの生活道路といった感じ。ロードバイクでスイスイ走るのはちょっと難しいので、歩行者や他の自転車に気をつけながら「ゆっくり」進んでいく。
ちょっと走ると、銀色の太いパイプが4本、川をまたぐかたちで頭上を通っている。案内板によると、「境川水管橋」といって道志川や相模湖の水を浄水場に運ぶパイプだそうだ。基本的に地上や地中を通されているのだが、川を渡るところだけこうして表に露出しているようだ。
川の周りは住宅街で、しばらく変わり映えしない景色が続く。ときおり県境が川筋から外れてジグザグと東京側や神奈川側に食い込んでいるところがある。気づいたところはなるべく県境に沿って進むが、基本的になんの標識もなく、スマホの地図もわかりにくいため、知らぬ間に神奈川県内を走っていることもちょこちょこあった。
やった!県境探検完全制覇!
今回の行程は9月末と10月末の2回に分けて行ったが、10月末でもまだ川沿いにはコスモスが咲いていたりと、ときおり秋を感じつつ、ペダルをこいでいく。国道16号と交差する手前で「境川ゆっくりロード」は終わるため、1本北の町田街道にう回し、さらに西へ。さほど大きな川ではない境川も、この辺まで来るとさらに細くなっている。
町田市相原町の法政大学・多摩キャンパス周辺を過ぎたあたりで境川が二股に別れており、その橋付近が神奈川県との県境の端っこだ。見たところ県境の標識もなく、何の変哲もない場所だ。この先の県境はしばらく山の中を通り、次に一般道で越えられるところは7月に訪れた大垂水峠となる。これでようやく東京の南側と西側、神奈川県と山梨県との県境をすべて制覇したことになる。
おまけの周辺散策 銀杏並木は秋の香り漂う
せっかくなので、この周辺を探索。県境を越えて神奈川県側に入ると城山湖や津久井湖などのダム湖があり、景色もいいのだが、今回は東京側の県境からちょっと北の丘の上にある都立大戸緑地という公園に向かってみた。駐車場周辺は芝生になっていて、トイレやベンチなども整備されている。もうちょっと暖かかったら芝生に寝転んでひと休みしたいところだ。森の中に入っていくと、境川の源流もこのあたりにあるようだ。
帰りは国道20号・甲州街道方面へ。甲州街道の八王子追分町~高尾駅間の約4kmは延々と銀杏並木が続いていて、10月末はちょこちょこ色づき始めていたころだった。足元にはつぶれた銀杏(ギンナン)の実が独特の香りを発しているので、それも秋の風物詩として楽しもう。
(光石 達哉)