【五輪金メダリスト連載】「北島カエル軍団」を超える“すごい集団”が戦前にいた

f:id:mimiyori_media:20200911152812j:plain

三重・伊勢神宮の日本国旗(写真:丸井 乙生)

「プレ五輪」ともいえる「競泳国際リーグ(ISL)」が2020年10月からハンガリー・ブタペストで開催される。世界10チームが団体戦で争う同大会に、日本からは競泳の元日本代表で五輪金メダリストである北島康介氏が率いる「トーキョーフロッグ(かえる)キングス」が初参戦予定。主将の入江陵介を筆頭に、東京五輪での金メダルが期待される瀬戸大也、16年リオ五輪金メダリストの萩野公介らそうそうたるメンバーがそろうが、このカエル軍団を超える“すごい集団”が戦前のニッポンにいた。

 

ロスで大ピンチからの世界新記録

大きなピンチがチャンスとなり、快挙を生むことがある。1932年のロサンゼルス五輪、競泳男子800メートル自由形リレーの日本代表がそうだった。当初、エントリーしていたのは大横田勉、遊佐正憲、豊田久吉、横山隆志の4選手。ところが、大横田は大会直前に大腸炎で体調をくずし、回復が遅れていた。強行か、変更か。判断を迫られた代表幹部らは、悩みに悩んで後者を選択した。中長距離が得意な大横田は個人戦の400メートル自由形に専念させ、代役にはレース2日前に100メートル自由形で金メダルを獲得したばかりの宮崎康二を抜てき。この決断が当たった。

辞退した男の執念 涙の銅メダル

宝島社新書『日本の金メダリスト142の物語』によると、第1泳者だった宮崎はスタートからスピード全開で外国勢を圧倒。専門が100メートルのため後半の体力が心配されていたが、2位の米国に5メートルの大差をつけて遊佐にバトンをつないだ。その遊佐も、続く豊田も、アンカーの横山も後続との差を広げ続け、終わってみれば8分58秒4の世界新記録で圧勝。リレー競技で、日本初の金メダルを獲得した。

この輝かしい成績の陰に隠れてしまったが、リレー辞退を余儀なくされた男のその後の活躍も忘れてはいけない。400メートル自由形決勝に出場した大横田は、激しい腹痛による体力減退に苦しみながらも銅メダルを獲得した。おそらく本人にとっては悔しすぎる大会となったはずだが、世界3位は堂々と誇れる結果といえる。

ベルリンでも衝撃 快記録で連覇

ロスで日本中を沸かせた競泳ニッポンは、続く36年のベルリン五輪でも同種目で宿敵・米国を圧倒した。代表メンバーは、遊佐正憲、杉浦重雄、田口正治、新井茂雄の4選手。決勝では米国に15メートル以上の差をつけて連覇を達成した。しかも、優勝タイムは、前回ロス大会でマークした世界記録を7秒も縮める8分51秒5の好記録。水泳が日本のお家芸であること、少しくらい体格で欧米勢に劣っても団体戦になると実力がさらに強固になることなどを世界に見せつける金メダルとなった。日本のリレー競技での金メダルは、同大会を最後に80年以上も獲得できていない。

 

美人女優を射止めたイケメン金メダリスト

メンバーの中で唯一2大会連続で同種目に出場した遊佐は、香川県多度津町の出身。幼少時代から地元の桜川で泳ぎ、実力を蓄えていった。リレーで連覇したベルリン大会は、100メートル自由形でも銀メダル。その功績を称え、「遊佐選手 育泳の地」と記された碑が泳いでいたとされる川の前に建てられている。

俳優も顔負けのイケメンで、現役引退後は、当時の人気女優だった逢初夢子と結婚したことでも有名。北島氏が元歌手の千紗さんと、競泳日本代表の塩浦慎里がタレントのおのののかと結婚して注目された現代と変わらず、五輪金メダリストと美人女優の大恋愛は、女性誌などで取り上げられることが多かったという。
(mimiyori編集部)