全国高校ラグビー大会がきょう27日、東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。
25年連続27回目の出場を果たす仙台育英(宮城)は、1990年に就任した名物指揮官・丹野博太監督(ひろたか=55)が2020年度限りで勇退する。
2000年度から2大会連続4強入りへ導くなど全国大会常連校に育て上げた名将。
有終の美を飾るべく、まずはきょう27日に富山第一(富山)戦に臨み、30日2回戦も勝ち上がれば、2021年1月1日に8強入りをかけて前年度覇者・桐蔭学園(神奈川)と激突する。
後編は選手、そしてコーチ陣を含め「オール教え子チーム」で臨む本大会について。
注目は青沼主将 LO最上 SH竹森 PR吉田
今大会のメンバーは1年時から試合に出場した選手が多く、FW、BKのバランスが取れたチームに仕上がった。SO青沼駿昌主将がチームをまとめ、LO最上大尊、SH竹森彩仁ら才能あふれる選手が腕をぶす。FWの要として期待されるPR吉田唯冴(いさ)がキーマンになりそうだ。
「100回大会に向けて1年生の時から試合経験を積ませて今回に向かっていますので、最高のパフォーマンスができるようにと思っています」(丹野監督)
教え子たちには「感謝しかない」
監督としての思い出の1つは、OBで元日本代表の畠山健介、のちに明大から三洋電機に進んだ日永田泰佑が早明戦に出場し「その試合を真ん中で見れたことですね」。
その後も武者大輔、佐藤拓ら実業団で活躍する選手を数多く輩出した。
「おかげでいい夢を見せてもらった。教え子たちには感謝しかない。武蓮傳はトップチームにいたのに指導者になってくれたし、(FWコーチの)鈴木亮大郎も教え子だし。教え子たちには感謝しかない。そういう気持ちでいます」
1月1日桐蔭学園戦にたどり着きたい
今後の立場は学校側の決定を待つが、何らかの形で部にも携わりながら、宮城県全体のラグビー界を盛り上げようと考えている。
「“2021年まで”監督をやっておきたいと思っています。1月1日に試合ができれば、2021年も監督として迎えますから。試合をしたいなと思っています」
12月27日は14時20分から初戦で富山第一高校(富山)と対戦。勝ち上がれば30日12時から青森山田―若狭東の勝者、そして1月1日は8強入りをかけて前年度覇者・桐蔭学園(神奈川)と激突する。
初めて4強入りを果たした00年度大会では、準々決勝で桐蔭学園を29-20で撃破した。
「勝てるだけ勝っていきたい。優勝という目標はありますが、そこに行くために1試合1試合を戦って、花園で成長していくチームになれればと思っています」
SO青沼主将は丹野監督について「口数は多くないけれど、必要な時に必要なことをズバリ言ってくれたり、チームの雰囲気が緩んだ時に締めてくれる」と感謝を口にした。
目下の目標は8強入り。青沼主将は「今年のチームはテンポが早く、スピード感あるラグビー。1月1日の桐蔭学園戦を最大のターゲットとして、まず8強入りを果たしたい」と意気込んだ。
丹野監督が指揮官として迎える最後の大会、55歳の名将は世代を超えた教え子たちとともに夢に向かう。
(おわり=丸井 乙生)