自転車初心者の編集部見習いコイケとともに、サイクリングをより楽しむためのノウハウやアイテムを学んでいくシリーズ。
今回は2023年2月11~12日にお台場海浜公園で開催されたシクロクロス東京を、コイケが初観戦。砂浜を間近に走り抜ける選手の迫力に熱狂しまくりだった。
オフロードを走る過酷なシクロクロス
シクロクロスとはオフロードで行われる自転車競技。ヨーロッパでは100年以上の歴史があると言われ、ロードレースの選手がオフシーズンのトレーニングとして冬の農地や牧場で競っていたのが始まりとされる。
使用する自転車はロードバイクと同じようなドロップハンドルだが、タイヤはマウンテンバイクのようなデコボコしたブロックタイヤを履く。ブレーキやフレーム形状などもロードバイクとは異なるものがある。
コースは大半がオフロード。階段やシケインと呼ばれる障害物などもあり、ジャンプしたり、時には自転車を押したり肩に担いだりしながら進んでいく。レース時間は最長1時間ほどだが、スタートからゴールまで抵抗の大きな路面を走っているので、心拍数はずっと上り坂を走っているときのように上がりっぱなしで脚力も削られっぱなしと、体力的にはロードレース以上に苛酷ともイわれる。
それだけにシクロクロスの選手は強靭で、近年はシクロクロスの世界チャンピオンがロードレースにも参戦し、ツール・ド・フランスなどのビッグレースでも大活躍するなど、注目度が高まっている。
5年ぶりの東京開催!
シクロクロス東京は、2012年に初開催。国内のシクロクロス大会は地方で行われることが多いため、アクセスのいい今大会は初回から多くの観客や参加者を集めていた。しかし、会場のお台場海浜公園が東京五輪の競技会場となっていたため、2019年以降いったん休止。その後、コロナ禍の影響などもあり、今回が2018年以来なんと5年ぶりの開催となった。
コースはお台場海浜公園に特設された1周約2㎞で、特徴はその半分ほどが砂浜区間であること。普通に走れば、タイヤが沈んで身動きが取れなくなる。テクニックのある選手なら乗車したまま砂浜を走れるが、さもなければ自転車を押すか担がなければならず、タイムも体力も消耗してしまう。
今回のシクロクロス東京は、2日間に渡って男女年齢別など20以上のカテゴリーのレースが開催。全日本チャンピオンや日本代表のようなトップ選手からから、この日初めてシクロクロスや自転車レースに出るという初心者まで幅広い層が出場している。
年齢別カテゴリーは小学校1~2年生から60歳以上まで細かく分かれ、仲間と交代しながら走るチームエンデューロもある。
また、下位のカテゴリーであれば、シクロクロスバイク以外のマウンテンバイクでも参加可能と、誰でもウエルカムなイベントとなっている。
選手の表情や息遣いが至近距離!
コイケと僕は2日目の12日、自転車を走らせて会場に到着。この日は天気もよく2月としては暖かい陽気で、多くの参加者と観客でにぎわっていた。自転車関連や飲食のブースもたくさん出ている。
選手の走るコースと観客は、ペラペラのコースロープ1本で仕切られているのみ。ロードレースより速度も遅いので、選手たちの動きや表情、息遣いもよく見える。昨年11月のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム以来、2度目の自転車競技観戦となるコイケもその臨場感にくぎ付けだ。
もともと冬の牧場がコースとして使われていたので、牛が首にぶら下げているカウベルをカンカラカンカラと鳴らすのがシクロクロス独特の応援スタイルで、会場ではグッズとしても売られている。自分も家に1、2個あったと思うけれど、すっかり持ってくるのを忘れてしまった。
WE1(女子エリート1)などいくつかのレースを観戦した後、メインイベントのME1(男子エリート1)がスタート。このクラスともなると、シケインを飛び越えたり、砂浜を乗車したまま走ったりと選手たちの超一流のテクニックを間近で見ることができる。
レース自体は歴代の全日本チャンピオン同士の争いに。優勝候補筆頭の現王者、織田聖選手は1週間前にオランダでの世界選手権に出場して帰国したばかりで疲れもあるのか、徐々に優勝争いから後退。レース中盤からトップに立ったのはベテランの竹之内悠選手。「砂は得意」という強みを活かして、徐々に後続を引き離して独走態勢を気づいていく。
脚力やその日のコンディションによって、一度独走が決まってしまうとなかなか勝負が覆えらないのがシクロクロス。そこが、チームの作戦や選手の心理によって展開が変わるロードレースとは違うところ。このレースも、そのまま竹之内選手が逃げ切って優勝した。
コイケも目の前で繰り広げられる選手たちの熱い走りにすっかり魅了された様子で、「これまでに観戦したスポーツの中でも、観客もスポットを移動したり至近距離で応援できる要素がとても強かったです。さいたまクリテリウムでトップ選手が目と鼻の先を駆け抜けていくのも魅力的でしたが、選手たちの苦しい顔やオフロードを進む不安定感が絶妙にマッチしたおもしろい競技だと感じました」と話していた。
自転車好きじゃない人にはまだ馴染みが薄いかもしれないけど、シクロクロスには独特の魅力がいっぱいだ。
(光石 達哉)