今年の冬は暖かい日もあって、春の訪れも早いのかなと感じさせる。そんな中、春を真っ先に知らせる梅の花の名所をサイクリングで回ってみた。まずは23区以外の東京西部へ。
谷保天満宮は交通安全祈願発祥の地
甲州街道を西に進み、最初に訪れたのは国立市の谷保天満宮。下り坂の参道の左側に梅林があり、梅の木が紅白の花を咲かせていた。
天満宮ということは、学問の神様、菅原道真のゆかりの神社だ。道真の三男・道武が亡き父の像を彫って鎮座させたのがこの地だったという。
道真といえば、大宰府に左遷された後、京に残してきた梅のことを思って詠んだ「東風吹かばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」の和歌にもあるように、梅を愛したことでも知られており、この谷保にも梅が植えられているのだろう。
ちなみに谷保天満宮といえば、明治41年に有栖川宮殿下が日本初のドライブと言われる「遠乗会」のゴール地点とした場所で、「交通安全祈願発祥の地」としても知られている。
拝殿の左側には、その「遠乗会」に参加した1台で国産初のガソリン車「タクリー号」のレプリカが倉庫の中にしまわれている。ということで僕も交通安全祈願をして、次の目的地へ出発。
ウイルスと戦う吉野梅郷
甲州街道から新奥多摩街道、吉野街道とつないで青梅市に入ると、吉野梅郷と呼ばれる大きな梅の名所が現れる。
しかし、2009年にプラムポックスウイルスという植物病のウイルスが発見され、青梅市の梅は3万6000本以上伐採されたという。2016年から一部で再植栽が行われ、現在は復興の途中だ。梅郷の中心でもある「梅の公園」では背の低い若木が少しずつ花を咲かせており、人間の世界と同じくウイルスと戦っているわけだ。
山の斜面全体が梅の花一色に!
続いては青梅から南下し、小さな峠をいくつか越えて八王子市の高尾梅郷へ。高尾駅前から甲州街道沿いを西へ少し行くと、右側に遊歩道梅林という看板があり、小仏川沿いの遊歩道に梅が咲いている。そこから旧甲州街道の方に入っていくと、梅林がいくつか点在している。
さらに緩やかな坂をしばらく上ると高尾梅郷のメイン、木下沢梅林が見えてくる。山の斜面全体が梅の花に覆われる時期もあるのだが、この日はちょっと時期が早かったようだ。
郷土の森では桜!
次は甲州街道を東へ戻り、多摩川を越えたところで右折して府中市・郷土の森へ。ここは多摩川サイクリングロードが真横を通っているので何度も通っているのだけど、ちゃんと立ち寄ったことはなかった。
あらためて見ると「郷土の森公園」と「郷土の森博物館」の2つのエリアに分かれていて、太宰府天満宮から贈られた紅白の梅があるという梅園は博物館エリアの庭園にあるようだ。しかも入場は午後4時までで、すでに4時半だったのであえなく入れず。仕方なく帰ろうとしたところ、公園の方には早咲きの河津桜が咲いていて、ちょっと得した気分になれたのでよかった。
(光石 達哉)