読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
毎年、冬になるとロシアのシベリアから日本列島各地に飛来してくる白鳥。関東にもいくつか有名な白鳥飛来地があるため、サイクリングで出かけてみた。
今回は前回と逆ルートで茨城県潮来市の「白鳥の里」から千葉県印西市の「白鳥の郷」まで戻りつつ、周囲を観光してみた。
「嫁入り舟」と「潮来の伊太郎」の水郷へ
潮来(いたこ)市北浦湖岸の「白鳥の里」で30分ほど2羽のコブハクチョウと触れ合った後、夕方に白鳥が戻ってくる印西(いんざい)市の「本埜白鳥の里」を再び訪れるため、西へと引き返す。利根川サイクリングロードを快調に走れたため時間はちょっと余裕があり、少し観光もすることに。
潮来市はお隣の千葉県香取市の佐原と同じく、水郷の町として知られる。そこで7kmほど西へ走って、JR潮来駅のそばを流れる前川沿いの「水郷潮来あやめ園」へ。
ここは毎年6月にはあやめ(花菖蒲)が一面に咲き誇り、有名な「嫁入り舟」なども見られる「水郷潮来あやめまつり大会」が約1カ月開催される。
しかし、冬のこの時期はひっそり。佐原の水郷と比べるとこじんまりしていて、観光客もほとんどいない。それでも、大きな観光歩道橋「水雲橋」や橋幸夫の歌で知られる「潮来の伊太郎の像」など、見どころもあった。
佐原の水上植物園「水郷佐原あやめパーク」
次は4kmほど南の「水郷佐原あやめパーク」に行ってみる。ここは佐原の水郷の町並みからは離れていて、水生植物園のようなところ。季節によってはあやめ、フジ、ハスなどの花を楽しめるほか、嫁入り舟も見られるという。
花の季節でない12月~3月の昼間は入場無料で開放されている。夜間はイルミネーションスポットとしても人気のようだ(入場料:小学生以上500円)。
併設のカフェでランチを済ませた後、再び利根川沿いに出て今度は茨城県側のサイクリングロードを西に向かって走る。こちらも舗装などはちゃんと整備されていて、通行量も少ないため気持ちよく走れた。天気もよく気温も上がってきたため、ジャージの中が軽く汗ばんでくる。
常総大橋を渡って、千葉県側へ。成田空港も近いため、着陸しようとする旅客機が次々と頭上をまたいでいく。
白鳥は夕方の方が元気!?
再び印西市の「本埜白鳥の郷」へ。白鳥は、夕方にこの水田に戻ってくるという習性があるという。まだ午後3時前と日没までは1時間以上あったが、すでに多くの白鳥が見られた。朝よりも活発なようで、空にもたくさんの白鳥が舞っている。
観光客も50人ぐらいいた。ここに白鳥を見に来るなら、このくらいの時間帯の方が来やすいのかもしれない。
30分ほど撮影などをして過ごした後、まだ日没まで時間があったためもう少し足を延ばしてみることに。約13km南へ走り、印旛(いんば)沼のほとりにある「佐倉ふるさと広場」へ向かった。
ここには、本格的オランダ風車の「リーフデ」がある。最近、関東のあちこちで風車を見てきたが、そのほとんどが観光用で羽根は動いていないものが多かった。
しかし、このリーフデは実際に風で羽根が回り、その力で水くみをしているという。その様子を風車の中に入って見学できるようだが、午後4時まででギリギリ入れなかった。
というわけで、あたりが真っ暗になるころにスタート地点のJR小林駅に戻る。この日は約125kmのサイクリングだった。
白鳥は毎年2~3月ごろまで日本各地の飛来地に滞在しているため、近くにあれば行ってみてはいかがだろう。その雄大な姿を間近で見られるのは、なかなかの感動だ。サイクリングなら、周辺の観光も一緒に楽しめるだろう。
(光石 達哉)