読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
最近人気の春に咲く青い花、ネモフィラ。茨城県の国営ひたち海浜公園が有名だが、東京周辺でも日帰りサイクリングで行けるネモフィラ畑があるようだ。
ということで、ゴールデンウィーク初日に、出かけてみた。
ネモフィラの前に樹齢700年の藤へ寄り道
ここ数年、テレビやSNSでもよく話題になっているネモフィラ。特に国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑は広くて、壮大な景色が広がっているようだ。しかし、ちょっと遠いし、ゴールデンウィークはかなり混雑しそうなので、東京近郊でネモフィラを楽しめるところを探して自転車で行ってみた。
まずは埼玉県大宮方面へ。この日は青空が広がる晴天で、ほぼ夏用のウェアで走れるぐらいの陽気だ。花粉も収まってきたし、体にあたる風が心地いい。
荒川沿いをしばらく北上して、国道17号に移動したのだが、車が多くて走りにくいので脇道に入る。ちょっと走ると、大きな藤棚が見えてきた。最初っからネモフィラと違う花だが、気になったので寄り道してみる。
これは埼玉県指定の天然記念物「青葉園の藤」で、なんと樹齢700年と推定されるという。藤がそんなに長生きするとは、ビックリ。4月下旬が見ごろだと書いてあるけど、今年の春は暖かいからか、もう散りかけていた。
園内には、三重塔もあるらしい。歩いていくにはちょっと離れているので、外周の道を走って近づくことに。青葉園とは何の園なのかなと思っていたが、塀越しに中を見ているとどうやら霊園のようだ。三重塔に近い駐車場にたどりついたけど、墓地の中を突っ切っていくのは忍びないのでここから眺めるだけにした。
さらに5kmほど北へ進み、最初の目的地「大宮花の丘農林公苑」に到着。その名の通り、花壇や花畑が楽しめる公園だ。道路を挟んで南北に分かれているが、北側の駐車場から園内に入ってすぐ、円形の花壇にネモフィラが咲いていた。青い小さな花の群れが、青空の下で映えている。
園内は徐行厳守で自転車でも走れるので、少し奥に入っていくと右手に別のネモフィラ畑が広がっている。ネモフィラは、北アメリカ原産のムラサキ科の一年草。近くで見るとスミレにも似ている小さな花だ。
花畑から風車へと公園をハシゴ
続いては埼玉県内を東へ。今度は国道16号を避けて脇道を繋ぎ、約25km走って松伏町の「まつぶし緑の丘公園」へ。
南側の駐車場にあったサイクルラックに自転車をかけて、園内に入ると、頭上にたくさんの鯉のぼりが浮かんでいた。この日は南風が強く、鯉のぼりもパンパンに風をはらんでいる。朝、北に向かっているときは自転車がよく進むなと思ったら追い風を受けていたからで、進行方向が変わってからは風にあおられっぱなしだ。
その鯉のぼりの下にいろんな花が咲く花畑が広がっていて、その一番奥がネモフィラ畑だ。畑自体は小さいけれど、花びらが密集していて青い絨毯のようだ。この公園はバーべキューなども楽しめるスペースもあり、家族づれで賑わっていた。
園内の貼り紙等を見ていると、松伏町のゆるキャラは風車の形をしている。この公園には風車はないものの、調べてみたら4kmほど南の「松伏総合公園」にあるそうなので行ってみる。
松伏総合公園は真ん中に釣りスポットの大きな池があり、その周りを木々に囲まれている。さっきの公園と比べると人影は断然少ない。風車も鬱蒼とした木の中に囲まれていて、遠くからはほとんど見えず、観光客の姿もない。
風車自体は大きくて立派だが、羽根は骨組みだけで回っていない。中は展望台になっているようだが、昇るのはしんどいのでやめておく。ここ数年、千葉や茨城でいくつか風車を見てきたので、これもそのコレクションに加えておこう。
都内屈指のネモフィラの名所「舎人公園」
ここから20kmほど南西に向かい、東京都北区の「舎人公園」へ。大きな池もある自然豊かな公園で、陸上競技場や野球場のようなスポーツ施設も充実している。広い園内は、自転車でも中に入っていける。
園内の北側の芝生広場に、都内でも屈指の広さを持つネモフィラ畑がある。なだらかな斜面に青い花が敷き詰められているようだ。多くの人で賑わっていて、外国人観光客もチラホラいる。もうちょっと早い季節だと八重桜と一緒に咲いていて、夜間にライトアップされた写真がSNSでバズったりしていた。
というわけで、今回は約120km走って3つのネモフィラ畑と気になる景色をめぐってみた。ネモフィラは場所にもよるけど、4月から5月にかけて結構長い時期咲いているようなので、近くでも探してみてはいかがだろう。
(光石 達哉)