【行ったつもりシリーズ】新緑の相模原周辺でダムカード集めまくりサイクリング<前編>

ダム湖百選にも選ばれている「宮ケ瀬湖」。ここも自転車は乗り入れできないので、押し歩き。季節によっては雪解け水で湖水が明るいエメラルドグリーンに見えることもある(撮影:光石 達哉)

 

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は新緑がまぶしいゴールデンウィーク中に神奈川県相模原周辺でダムをめぐり、ダムカードを集めまくるサイクリング。前半は相模ダム、道志ダム、宮ケ瀬ダムの3つのダムを訪れた。

 

 

 相模ダムと1964年東京五輪会場

神奈川県相模原周辺で6つのダムを自転車で回り、ダムカードをもらいまくる(撮影:光石 達哉)

2023年のゴールデンウィークは数年ぶりに全国各地で多くの人出で賑わい、道路や公共交通機関も混雑していた。そんな中、サイクリングなら ある程度混雑を避けていろんなところに行けるだろうという思惑で出かけることに。昨年春には埼玉県秩父周辺でダムカード集めのサイクリングを行ったが、今回は神奈川県相模原周辺でダムカードを集めることにした。

そもそもダムカードとは、国土交通省と独立行政法人水資源機構の管理するダムで、ダムのことをより知ってもらおうとダムの訪問者に配布しているもの。平成19年(2007年)からと歴史は意外と浅いが、2023年5月1日時点で全国803のダムカードがあるそうだ。

自転車で走っているとダムに出くわすことはよくあるので、集めているサイクリストも少なくないようだ。今回訪れる予定の6つのダムは、それぞれ過去に何度か行ったことがあるものの、ダムカードをもらってないところも多く、1日にまとめて回ることもなかったので、今回は6カ所一気にめぐっていく。

 

「相模ダム」のダムカードを配布している「相模湖交流センター」。2階のレストランではダムカレーも食べられるそうだ(撮影:光石 達哉)

青空に恵まれたこの日、最初に目指したのは「相模ダム」。まずは、国道20号・甲州街道を西へ。高尾山あたりから、交通量も増えてきた。大垂水峠を越えて神奈川県に入り、JR中央本線の相模湖駅に近くづくと、車がつまってきて自転車で路肩を進むのも一苦労だ。

すると左に入る脇道があり、「相模湖交流センターはこちら」という看板があった。事前に調べたところによると、このセンターでダムカードを配布しているとのことなので、左折。

ダムカードは、ダムの管理事務所や観光センターなどで配られているが、たまにダムから離れていたり、土・日・祝日は配る場所が限られていたりするので、国交省のサイトやマニアの方がまとめたサイトなどで調べていかないといけない。

 

相模湖公園は自転車乗り入れ禁止なので、押して歩く。手前に浮かんでいる桟橋は、ボートやカヌーの練習用のようだ。秋は紅葉が湖に映える(撮影:光石 達哉)

この相模湖交流センターはダムのすぐそばだが、メインの国道412号からちょっと奥に入っているので、調べていないとなかなか立ち寄らないところだ。今回は無事にたどり着いて、館内の受付で1枚目のダムカードをゲットした。

センターを出て坂を下りたところの信号を渡ると相模湖公園があり、その前にダム湖の「相模湖」が広がっている。ここは1964年東京五輪のカヌー競技の会場であり、現在でもボートやカヌーの大会会場や練習場として多くのアスリートが利用している。大型の観光船やスワンボートなども浮かんでいて、観光地としても人気だ。

公園を出て、国道412号を右に向かうと相模ダムの本体がある。車は入れないが、自転車ではダムの上を通れる。戦後間もない1947年完成ということで、コンクリートの色味も重厚感がある。

 

相模ダムの上から下流の相模川を眺める。深い緑の隙間から右側に発電所も見える(撮影:光石 達哉)

 "秘境"のダムと絶品はちみつたいやき

「道志ダム」のそばにはダムカード配布場所がないので、行った証拠の自撮り。この季節、ちょっと離れるとダムが木々の陰に隠れてしまう(撮影:光石 達哉)

ダムを渡って国道412号を南へ。左側に相模湖プレジャーフォレストの正面ゲートが見えてきて、多くの車が行列しているのを横目に右折。アップダウンの続く細い道に入ると、次第に民家もなくなって山深くなっていく。途中で地元のおばちゃんに「がんばってー」と声を掛けられた。

この道を進んでいくと、過去にも紹介したことがある「山のはちみつ」というお店があり、名物のはちみつたいやきでエネルギーを充てんする。この日は、サイクリストだけでなく、車やバイクも多く訪れていた。

 

自家製のはちみつを販売している「山のはちみつ」。ジェラートも人気(撮影:光石 達哉)

名物の「はちみつたいやき」は、皮にはちみつが混ざっているようでほんのり甘く香りもいい。中身はあんことカスタード、季節限定のさくらあんもある。普通のたいやきよりは小さめ(撮影:光石 達哉)

さらに南西に向かって上り下りを繰り返し、相模ダムから約15km走って「道志ダム」に到着。今回めぐるダムの中でも最も奥深くというか上流にあり、山梨県との県境も近い。山奥にひっそりたたずむ小さなダムといった趣だ。

道志ダムは、近くにダムカードを配布する施設が何もない。サイトによると、ダムと一緒に写った自撮り写真を撮って、別の場所で受け取ることになっているようだ。

 

道志ダムに接近。1955年完成と歴史を感じるダムで、提頂長と呼ばれるダムの幅は74mと小さい。ダムの真下は、発電施設になっているそうだ(撮影:光石 達哉)

 観光客で賑わう宮ヶ瀬湖でカード ゲット

ちょっと遠くから眺めた宮ケ瀬ダム。堤高(高さ)156m、提頂長(幅)375mとこの周辺では最も大きなダム。観光放流も行われるようだ(撮影:光石 達哉)

ここから少し南に進むと道志みちへ出る。相模原から山梨県の山中湖まで続く道で、2020年東京五輪の自転車ロードレースのコースともなった。沿道にはキャンプ場なども多いので、この日もたくさんの車が走っている。今回は五輪のときとは逆に東へ進むので、緩やかな下り坂。快調なスピードで進んでいく。

 

宮ケ瀬ダムの上は広い歩道になっている。右のインクラインはダムの下まで降りるケーブルカー。ダムの中央付近にはエレベーターもある(撮影:光石 達哉)

道志みちを途中で右折して何度かアップダウンをこなし、「宮ケ瀬湖」へ。ここもダムによってできた湖で、湖畔には公園や飲食店、お土産物屋なども充実し、令和元年度のダム周辺の年間利用者数は155万人という人気観光地だ。

湖を横断して東へ向かい、駐車場待ちをしている車列の脇をすり抜けて「宮ケ瀬ダム」に到着。道志ダムからは20km弱の道のりだった。

 

ダムのすぐそばにある「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」ではダムカード2枚もらえる。中のカフェではダムカレーも食べられる(撮影:光石 達哉)

ダムのすぐそばにある「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」で受付の女性に声をかけて、「宮ケ瀬ダム」と「石小屋ダム」の2枚のダムカードをもらう。

宮ケ瀬ダムは相模原市と愛川町、清川村の3市町村にまたがっている。2001年完成とこの周辺では最も新しいダムの一つで、一番大きい。近代的な巨大建造物といった雰囲気だ。インクラインというケーブルカーやエレベーターもあり、ダムの下まで行けるようだ。

 

インクラインが下っていく。ダムの下にある「あいかわ公園」への近道でもある(撮影:光石 達哉)

ここまで手に入れた3枚のダムカード。石小屋ダムはまだ行ってないし、道志ダムは行ったけどまだカードを手に入れていない(撮影:光石 達哉)

先ほどダムカードをもらった「石小屋ダム」は、下流数100mのところにある宮ケ瀬ダムの副ダムだそうだが、ここからはよく見えないので、後半は石小屋ダムを見に行くところから始めよう。

(光石 達哉)

今回のルート:①相模ダム-②道志ダム-③宮ケ瀬ダム

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