読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
東京都多摩地域の30市町村に散らばる130カ所のデジタルスタンプを集める「多摩東京移管130周年デジタルスタンプラリー」に自転車で挑戦中。第3回は日野市から再び多摩市、稲城市、そして狛江市を回っていく。
新選組と明治天皇の足跡
今年は1893(明治26)年に西多摩・南多摩・北多摩の3郡が神奈川県から東京府(現在の東京都)に移管されて、130周年。それを記念して多摩地域のおすすめスポット130カ所をめぐるデジタルスタンプラリーが、10月29日まで開催されている。前回は2日目の前半で、多摩市のパルテノン多摩まで8つのスタンプをゲットした。2日目後半、まずは8kmほど北上して日野市を目指す。
トンネルとアップダウンの続く平山通りを走り、JR豊田駅の方へ。駅の北側にある「猫目堂茶店」というカフェがデジタルスタンプのスポット。暑いのでアイスコーヒーでも飲んで休憩しようかと思ったけど、駐輪場をお店から離れたところで探さなくてはならないので、今回は諦めて次へ。
さらに北東へ約2㎞進んで「新選組のふるさと歴史館」、さらに約1km北へ走って「日野宿本陣」へ。どちらも以前、新選組ゆかりの地をめぐったときに中を見学したので、今回はスルー。
日野市のもう1カ所、「多摩動物公園」はまたの機会に訪れるとして、南東へ約6km戻って再び多摩市に入り、聖蹟桜ヶ丘駅近くの飲食店「ALICIA Kitchen」へ。この日は定休日で灯りは点いているものの閉まっていたが、QRコード入りポスターは窓に貼ってあった。
さらに東へ約3km進み、川崎街道の連光寺坂の頂上で右折して、桜ヶ丘公園内にある「旧多摩聖蹟記念館」に到着。1881(明治14)年に明治天皇がこの地に行幸して狩猟を行い、その後も数度訪れたという。それを記念して、1930 (昭和5)年に建てられたのがこの記念館。ちょうど閉館時間の16時直前だったので中に入ってみると、明治天皇の騎乗像が中心に据えられていた。その他にも、幕末・明治の歴史的資料や園内の自然に関連する展示が行われていた。
ガンダム、ボトムズから読売巨人軍へ
再び川崎街道を東へ。坂を下り、稲城市へ戻る。5km弱走って、JR稲城長沼駅のガード下にある「いなぎ発信基地ペアテラス」へ。ここはカフェや特産品販売所を併設した観光案内所だが、前回も触れたように稲城市は多くのアニメでメカニックデザインを担当した大河原邦男さんの出身地。それゆえ大河原メカでの町おこしにも取り組んでいて、ここには機動戦士ガンダムのガンダムとシャア専用ザク、さらに装甲騎兵ボトムズの主役メカ、スコープドッグの巨大像が展示されている。
2年ほど前にも訪れたのだが、今回はスコープドッグの肩が赤くペイントされたレッドショルダーになっていた。アニメの中でそんなエピソードもあったなあと自分もうっすら記憶にあるが、そんなマニアックなこだわりがすごい。
続いて約5km南へ。一日中、多摩丘陵を上り下りしてきたが、この日最後となる坂を上って「よみうりランド」を目指す。自転車が通れるのは東側の道で、サイクリストの間では通称「ランド坂」と呼ばれ、練習コースとしても有名だ。一般的には「よみうりV通り」という名前で知られる。この道が完成した2009年は、よみうりランド60周年、読売巨人軍75周年ということで、当時、巨人に在籍した選手・監督・コーチの手形が背番号順によみうりランド駅からジャイアンツ球場入口まで歩道に沿って埋め込まれている。
ジャイアンツ球場からさらに1kmほど進んで、「よみうりランド」のスカイゲートというメインの入口の前にQRコードののぼりとポスターがあった。これで多摩市と稲城市に各4つあるデジタルスタンプはすべてゲットした。
狛江市で江戸時代の雰囲気を味わう
17時近くになり、だいぶ日が傾いてきたが、朝にスルーした狛江市へ向かって約8km走る。丘を下り、多摩川を越えて、多摩川サイクリングロード沿いにちょっと東へ走って、1902年創業の老舗酒屋「籠屋 秋元商店」へ。全国の地酒などを販売するほか、自家製のクラフトビール醸造所やレストランも併設している。自分が訪れた時間も、買い物客でにぎわっていた。
数百m西へ戻り、多世代・多機能型交流拠点「ふらっとなんぶ」へ。介護施設が運営する子どもから高齢者まで気軽に集える場所とのことだ。
さらに約2㎞北西に走り、「むいから民家園」へ。ここは狛江市内にあった江戸時代の建造物を移築・復元した民家園。朝に来たときはまだ開園前で、QRコードののぼりは敷地内に仕舞われていた。今回も閉園時間16時半はですでに過ぎていたが、なぜかのぼりが外に出されていたので、めでたくデジタルスタンプをゲットした。
狛江のもうひとつのスポットは、残念ながらすでに閉まっていたので、また後日。というわけでこの日は18個、通算24個のスタンプを集めた。
今さらながらルールを確認すると、デジタルスタンプは3個以上獲得すれば、10月28、29日に開催されるイベントで抽選に参加する権利が手に入るそうだ。スタンプラリーにエントリーするときに自動的にスタンプ1個もらえるので、実質2カ所回ればいいということだったようだ。
したがってたくさんスタンプを集めることに、ほとんど意味はないのだが、なんか楽しくなってきたので次回以降も続けていこうと思う。
(光石 達哉)