読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
今回は開通したばかりの多摩川スカイブリッジを渡り、羽田空港周辺をサイクリング。コロナ禍の中で変貌を遂げつつある都心のウオーターフロントを実際に見て回る。
まずは多摩川サイクリングロード 川崎側の河口へ
先日、ロードバイクに不具合があったため、ショップに持ち込んで約2万円かけてもろもろのパーツを交換。さらに、古くなっていたタイヤとブレーキを自分で交換し、ジャージとグローブも新しいものを下ろしたので、慣らし運転を兼ねて出かけることにした。
目指した先は、2022年3月に開通した多摩川スカイブリッジ。多摩川に架かる橋としては最も河口に近いものになった。2021年末に造っている途中を見かけていたので気になっていたが、自転車で渡ることも可能なようだ。
スカイブリッジが架かる羽田空港周辺は、東京オリンピック・パラリンピックのインバウンド需要を見込んでさまざまな再開発が計画されていたようだが、コロナ禍によって中断・延期になったものも少なくない。その辺も実際走って目で確かめていこうということで、残暑厳しい8月末に出発した。
浮島ジャンクションで突き当たり
まずは、多摩川サイクリングロードの川崎側を下っていく。下流に近づくと、途中で車道に出たり、ギリギリ通れるぐらい細い道もあったりするけど、以前まで最も河口に近かった大師橋から下流方面は幅の広い気持ちいい道が続いている。
といっても、1kmちょっと走ると目指す多摩川スカイブリッジが大きく見えてきた。スカイブリッジを渡るには迂(う)回しなければいけないが、このまま真っすぐ橋の下をくぐるとサイクリングロードの終点に到着する。
そばには、多摩川河口という道標が立っている。ママチャリも何台か停まっていて、おじさんたちが釣りをしてたりと、のどかな雰囲気だ。
実は、陸地はこの先もまだちょっとだけ続いている。川沿いを離れて、スカイブリッジの入口をいったん通過。頭上を首都高が走っている国道409号に合流すると、浮島という埋立地に入る。
ここは、大きな工場や倉庫やなどが並んでいる京浜工業地帯の一角。週末にもかかわらず、大型トラックもかなり走っている。東の端まで行くと、東京湾アクアラインの入口である浮島ジャンクションに突き当たり、自転車で走れるのはここまで。
浮島町公園からエアプレーンウオッチング
ジャンクションの左手に、浮島町公園という小さな公園がある。周りに住宅などはないので、家族連れとかはまったくおらず、羽田空港を飛び立つ旅客機を撮っているアマチュアカメラマンが1人いるのみ。サイクリストも1人、2人立ち寄っていた。ここからは羽田空港で一番新しいD滑走路もよく見える。
景色も抜群の多摩川スカイブリッジ
浮島を出て、いよいよ多摩川スカイブリッジを川崎側から羽田側へ渡る。橋の長さは約675m。羽田空港周辺と川崎側の医療産業の集積地「キングスカイフロント」をつなぐことで、新たな産業創出が期待されているという。
車線は自動車、自転車、歩行者と完全に分けられていて、自転車は左側を一方通行するようになっている。車はひっきりなしに通っているけれど、歩行者や自転車はチラホラ程度。道の反対側ではアジア系の観光客らしきグループが写真を撮っている。
橋の上からは幅の広い多摩川や羽田空港もよく見えて、気持ちいい景色が広がっている。橋を渡った先には、真新しい大きなホテルが立っているが、ひっそりしている。本来なら2020年春に開業予定だった第3ターミナル直結のホテルなのだが、コロナ禍で2年以上開業延期になっているという。入国者の自主隔離宿泊施設としても使われているという噂だ。
橋を渡り切ったところは環八と交差しているが、自転車は進入禁止。横断歩道を渡った先にエレベーターとスロープがあり、エレベーターで自転車を下ろすと自転車レーンが空港に向かって伸びている。
果たしてこの道がどこまで通じているか気になったので、次回はそこに行くしかない!
(光石 達哉)