読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
今回は開通したばかりの多摩川スカイブリッジを渡り、羽田空港周辺をサイクリング。コロナ禍の中で変貌を遂げつつある都心のウオーターフロントを実際に見て回る。完結編の第3回は、羽田空港を取り囲む埋立地の島々をめぐっていく。
[:contents]
勝どきだけじゃない! 開けっ放しの「可動橋」
前回、モノレールの整備場駅周辺で八方ふさがりとなったので、穴守橋で海老取川を渡り、空港の西側へ。大田区のこのあたりは住宅や町工場が密集している「下町ロケット」的なエリアだ。ここから北に向かい、呑川を渡って水辺沿いを進んでいると、ぶつ切りになって渡れなくなっている不思議な橋を見つけた。
これは「羽田可動橋」といって、橋げたが2つに分かれて旋回し、船が通行できるようにしているもの。首都高の羽田トンネルの渋滞を避けるためのバイパスとして、1990年~98年に運用されていたそうで、意外と最近のものだった。現在は使われておらず開けっ放しになっているが、当時はどういうタイミングで開け閉めしていたのだろうか。
可動橋といえば勝鬨橋(今は動いてないので、見たことないけど)のような跳ね上げ式を想像するけど、羽田可動橋は空港に離着陸する飛行機の邪魔にならないように旋回式になったそうだ。今後、老朽化した羽田トンネルを工事する際にこの可動橋を再利用することも検討されているという。
さらに北へ進み、見晴らし橋という歩行者と自転車が通れる橋を渡って、「昭和島」という埋立地の島へ。ここから先は、ずっと埋立地の島を走っていくことになる。昭和島は、野球場やテニスコートなどスポーツ施設がある公園とモノレールの昭和島駅、下水道処理施設などがある島だ。
飛行機に手が届きそう⁉「京浜島つばさ公園」
昭和島の東側にある京和橋を渡り、京浜島へ。右折して湾岸通り沿いに進むと、「京浜島つばさ公園」に出る。ここは、運河を挟んだ反対側が羽田空港。飛行機の離着陸する方向は風向きによって変わるが、この日は空港に着陸する飛行機が真上を飛んでいた。ゴーッという爆音が聞こえたかと思うと、手が届きそうな高さ(ちょっと大げさ)を飛行機が通り過ぎていく。アマチュアカメラマンが何人もレンズを空に向けているだけでなく、バーベキュー場などもあるので、子ども連れの家族も見られた。
次は島の北側にある京浜大橋を渡って、大井ふ頭へ入り、運河沿いに伸びている「東海緑道公園」を走る。ここは釣り人が多く、どうやら釣りの穴場として有名らしい。
知る人ぞ知るレジャースポット「城南島海浜公園」
東へ進んで城南大橋を渡り、大井ふ頭の南東にくっついている城南島へ。島の東側にある「城南島海浜公園」へ向かう。この公園からも空港に離着陸する飛行機がよく見える。遊泳はできないがちょっとしたビーチもあり、この日は暑かったので子どもたちが足をつけて遊んだりしていた。
この公園にはキャンプ場があり、テントサイトも結構広くて利用している人が多い。ひょっとしたら、都心からもっとも近い本格的なキャンプ場かもしれない。昔来たときはなかった気がするけど、最近のアウトドアブームの影響だろうか。ちなみにスケートボード場なんかもあるし、知る人ぞ知るレジャースポットとして人気のようだ。
意外! 大井ふ頭に”自転車コース”
ここから先は羽田空港からも離れてしまうので、大井ふ頭、平和島を経由して帰ることに。ちなみに大井ふ頭は、毎年5月に開催されるツアー・オブ・ジャパンの東京ステージという自転車ロードレースのコースとしても使われており、平坦な周回コースがとれることから週末はサイクリストやトライアスリートがたくさん練習している。
今回、走って思ったのは、この羽田空港や東京港エリア一帯をつなぐサイクリングコースがあったらいいなということ。今は自転車で走れないところも多いので、スムーズにつながってくれるとうれしい。興味深い景色もたくさん見ることができるので、インバウンドをふくめ観光資源としてもおもしろくなると思う。
(光石 達哉)