日本最大のスポーツサイクル展示会「CYCLE MODE TOKYO(サイクルモード東京)2024」が、4月6~7日の2日間、東京ビッグサイトで開催された。ロードバイクを始めとするスポーツサイクルだけでなく、近年はe-Bike(スポーツタイプ電動アシスト自転車)や電動キックボードなど新世代の乗り物も多く展示されるようになった。
レポート前編は乗り物編として、個人的に気になったモノを紹介していく。
最大航続距離1000kmの「FEREMO」
近年、サイクルモードでも勢いを増しているe-Bikeや電動アシスト自転車。気になるポイントのひとつが航続距離、つまりバッテリーの持ちだ。
その中で今回、目についたのが「FEREMO(フェリモ)」という電動アシストユニット。電子機器メーカー「太陽誘電」が開発したユニットで、ブレーキ時やペダルを止めた時の減速のエネルギーで発電し、バッテリーを充電する回生充電機能を備えているところが大きな特徴だ。
ハイブリッドカーではおなじみの回生した電力を使うシステム。自転車でも、ブリヂストンサイクルなどが以前から回生充電システムを搭載した車種を市販しているが、それでも最大航続距離は約200km。大半の回生機能がついていない電動アシスト車は数10kmから100km程度で、途中でバッテリーが切れてしまったらただただ重い自転車になってしまう。
そんな中、「FEREMO」は高効率回生モーターや省エネ制御コントローラー、高性能バッテリーなどで構成され、最大1000km走行可能だという。
いざ試乗!発電を超実感
そこで、今回は参考出品されていたクロスバイクタイプの自転車に試乗してみた。前輪のハブ部分に、この自転車の心臓といえる回生発電機能とアシスト機能を兼ね備えた回生モーターが装着されている。
またハンドルの左手付近にあるメーターには、スイッチを入れて以降の消費電力量と発電量が表示される。ブレーキをかけるたびに、発電量が少しずつ増えていくのがおもしろい。
さらに下り坂でペダルを止めた時も回生機能が働く。つまり、ブレーキを握らなくても多少減速してくれるので、むやみにスピードが上がるのを防いでくれるわけだ。もちろん、スタート時や上り坂は電動アシストが働いて、楽に進める。
試乗コースを数km走ったところ、消費電力の4割前後は走りながら発電していた計算で、思っていたよりも効率は良さそうだ。
前述したように1回の充電で最大1000km走れるのであれば、1日100km以上走るような長めのサイクリングでもバッテリー切れの心配をしなくていい。バッテリーの充電も、200日に1日の頻度で済む(エコモードで1日5km走行した場合の理論値)という。
大きくて重いバッテリーを室内に持ち込んで充電する手間がだいぶ減るし、電気代の節約にもなる。何と言っても、減速時のエネルギーを使って発電するというのは、効率的で未来に一歩進んだ感じがある。
今回試乗した自転車とは違うタイプだが、この「FEREMO」を搭載した電動アシスト自転車が丸石サイクルから「Re:BIKE(リバイク)」の商品名で発売される(税込価格21万7,800円)。
移動手段の新定番 電動キックボード
最近、街中でよく見かけるようになった電動キックボードのブースも、2024年は増えていた。
2023年7月の法改正で最高速度20km/h以下の電動キックボードは、「特定小型原付」という新たなカテゴリーになり、16歳以上であれば免許不要(ヘルメットは努力義務)で運転できるようになった。これで、シェアリングサービスでの利用も一気に広まった感じだ。
いわずもがな、事故やトラブルなどのニュースも少なからず取り上げられるし、個人的に積極的に乗ろうとは思わないが、悪い面ばかりに目を向けてもしょうがない。自動車に代わる移動手段として考えれば、渋滞も減るだろうし、CO2排出などの環境負荷も少ないなどの利点もあるだろう。
キックボードに初乗り
というわけでモノは試しに一回乗ってみようと、「YADEA」という香港メーカーの電動キックボードに試乗してみた。
まずスタートだが、乗る時に地面を蹴って勢いをつけて助走しないと、アクセルが利かない仕組みになっている。後輪駆動なので、止まった状態でアクセルをオンにすると、前輪が浮いたりして危険だからだろう。これはたいていの電動キックボードに付いている安全機構のようだが、慣れないとスムーズな発進は難しく感じた。
またタイヤ径が10インチと小さい分、慣れていないと乗っていてフラフラする感じはあるし、ヘアピンコーナーでは足をつかないと曲がれなかった。試乗コースにはなかったが、車輪が小さい分、段差を乗り越えるときのショックも大きいだろう。
一方で、ペダルを漕ぐなど体力を使うことは少ないため、電動アシスト自転車との比較でもかなり楽だ。もっとタイヤ径が大きい形の乗り物にすれば、安全性も増すような気がする。
そもそも事故やトラブルの原因は乗り手にあるケースが多そうなので、乗り物自体に罪はないというところか。日本社会にどのようにフィットしていくかは、まだまだ時間が必要なのかもしれない。
次回の後編は、サイクルモード東京2024で見つけた個人的に気になるアイテムについて紹介していく。
(光石 達哉)