東京五輪の聖火リレーがどんなところを走るのか、事前に自転車で走ってみようというこの企画。だったのだが、東京都の聖火リレーはすでに発表されていた前半8日間(7月9日~16日)の世田谷区と多摩地域に続き、後半7日間(7月17日~23日)の残りの23区内もすべて公道走行中止(島しょ部をのぞく)が決定した。幻となってしまった聖火リレーだが、どんなところにコースが設定されていて走る予定だったのか、引き続き見ていこうと思う。今回は豊島区、板橋区、北区、足立区のコースを走ってみる。
前回は東京都9日目の練馬区まで走ったが、今回は7月18日に予定されていた東京都10日目のコースをたどる。もちろん、走行中は感染対策に注意を払い、他人との接触を最小限にしている。
池袋西口からスタート!
第1区間は豊島区で、スタート地点は「池袋西口公園」だ。2019年11月にリニューアルされ、野外ステージや大型ビジョン、観光案内所兼カフェなどを備えたオシャレで明るいイメージとなった。
ここを出発して隣の東京芸術劇場の前を通過したあと、駅の南側のガードをくぐり、明治通りを左折して今度は池袋駅東口へ。その後、お隣の大塚駅の近くまで回り、再び東口に戻って「中池袋公園」にゴールする約5kmのコースだった。
伝説のマンガ家の地はトイレもおしゃれ⁉
豊島区はもう1区間予定されていて、約4km東の「南長崎花咲公園」へ。この近くに手塚治虫さん、赤塚不二夫さん、藤子不二雄さんら伝説のマンガ家たちが住んでいたトキワ荘があったことから、園内に「トキワ荘のヒーローたち」の記念碑が2009年に立てられた。
そのトキワ荘自体は1982年12月に解体されているのだが、昨年7月、この公園の南側になんと当時の姿を忠実に再現した「トキワ荘マンガミュージアム」がオープン。外観だけでなく内装もマンガ家たちが過ごした昭和20~30年代の雰囲気をよみがえらせている。第2区間は、公園の北側の入り口からスタートし、記念碑の前を過ぎ、「トキワ荘マンガミュージアム」の中でゴールする約200mだった。
板橋にあるスポーツの新名所へ
次の第3区間は板橋区。約7km北へ移動して、小豆沢(あずさわ)公園内の「あずさわスポーツフィールド」がスタート地点。ここも昨年7月にリニューアルオープンした園内のスポーツ施設が集中するエリアで、テニスコート、3ⅹ3(3人制バスケ)コート、ウォーキング・ランニングコースなどで構成され、周辺には体育館、プール、野球場もある。
聖火リレーのコースは、公園を出て北上し、環八通りを左へ。さらに国道17号・中山道を左折して南へ向かい、約5km走って「板橋区役所前」でゴールする予定だった。
アスリート専用のトレーニング施設へ
次の第4区間は北区で、約2㎞東の「北区役所」がスタート地点。ここから北上し、都道455線に入る。この道は「ROUTE2020トレセン通り」との愛称がつけらおり、「味の素ナショナルトレーニングセンター」、通称「トレセン」へと通じる道となっている。
「トレセン」は、各競技の日本代表クラスのアスリートが専用で利用できるトレーニング施設で、医学・科学的アプローチで競技力向上を支援する「国立スポーツ科学センター」や宿泊施設である「アスリートヴィレッジ」なども隣接している。
写真映えするところを探そうとトレセンの周りを自転車で一周したが、コースはそのまま北上し、「赤羽スポーツの森公園競技場」にゴールする約4kmだった。
ゴールは芭蕉 旅立ちの地
この日最後の第5区間は、足立区。約11km東へ進み、国道4号・日光街道の「竹の塚交差点」がスタートだ。ここから真っすぐ南下し、足立区役所前のロータリーを一周してさらに南へ。
荒川を越えた先にある「東京都中央卸売市場足立市場」がゴールとなるはずだった。この足立市場は都内で唯一の水産物専門の中央卸売市場。
「奥の細道」の旅立ちの場所からも近く、入口そばに松尾芭蕉の像もあったようだが、残念ながら見逃してしまった。
冒頭でも触れたように東京の聖火リレーは公道走行中止になってしまったが、そのコースをめぐるサイクリングはまだ続けていこうと思う。
(光石達哉)