東京五輪の聖火リレーがどんなところを走るのか、事前に自転車で走ってみようというこの企画。だったのだが、東京都の聖火リレーは公道走行が中止(島しょ部をのぞく)となり、さらには五輪もとうとう開幕してしまった。とはいえ、幻となってしまった聖火リレーが、どんなところにコースが設定されていたのか引き続き見ていこうと思う。今回は江東区、大田区、品川区のコースを走る。
前回は東京都12日目の中央区まで走ったが、今回走るのは7月21日に予定されていた東京都13日目のコース。すでに日程的には終了しているが、実際に聖火が走ることはなかった道を自転車でたどっていく。もちろん、走行中は感染対策に注意を払い、他人との接触を最小限にしている。
富岡八幡宮からスタート!
第1区間のスタート地点は、江東区の「富岡八幡宮」。1627年創建の「江戸最大の八幡様」と言われる神社で、この日は骨董市も開催されていた。
また、大鳥居のそばには日本初の近代測量地図を作った伊能忠敬の銅像がある。この近くに住んでいた忠敬は測量旅行の前によく富岡八幡宮に参詣していたという。約3カ月前に千葉県の聖火リレーのコースを走った時に忠敬の旧宅のある佐原を訪れていたのだが、ここで再会となったわけだ。
コースはここから永代通りを西へ進み、東陽町駅前の交差点を左折して四ツ目通りに入り、江東区役所前を通過。さらに清洲橋通りを経て「明治通り」を北上し、「香取神社前」でゴールする約7.5kmのコースとなっていた。
この香取神社はスポーツの神様で、五輪に向けて縁起のいいゴール地点でもあったわけだ。また、病気平癒にも御利益があると言われている。競泳の池江璃花子選手はかつて亀戸に練習拠点があり、リオ五輪前にここに参拝に訪れていたという縁がある。白血病を公表したときもファンが池江選手の回復を願って絵馬を奉納し、今でもリオ前に池江選手自身が「必ず 有言実行」と記したスポーツ提灯を開いたものが飾られ、応援の気持ちを表している。
夢の島で聖火に遭遇!
次の第2区間も江東区。明治通りを南下し、五輪アーチェリー会場となっている夢の島公園のところで右折し、湾岸道路へ入り、約12kmを移動。江東区青海にあるトヨタのショールーム「メガウェブ」にコースが設定されていた。
メガウェブや商業施設のヴィーナスフォートなどが入るパレットタウンは再開発のために今年末から来年にかけて閉鎖されるというニュースがあったが、現在はメガウェブのみ感染症対策のため休館となっている。聖火リレーのコースは、メガウェブの試乗コースに設定されていて、西のヴィーナスフォート側にあるヒストリックガレージから出発し、東側のシティショーケース内のイベントスペース付近にゴールする予定だったようだ。
コースには入れなかったので、周りから写真を撮っておく。
このあたりは五輪の競技会場も多く、ちょうどパレットタウンの目の前が五輪トライアスロンのバイクコースになっていてフェンスなどの準備が進められていた。となりには、3x3バスケットボールやスポーツクライミングの会場である青海アーバンスポーツパークもあった。
ここから夢の大橋を渡って次の区間に向かおうとしたら、やたら人が集まっているところがある。近寄ってみたら、なんと聖火台だ! 開会式で大坂なおみ選手が灯した聖火が、ここに移されたらしい。これまで聖火リレーのコースを走ってきて、こんなところで本物の聖火に出会うとは想像もしていなかった。とはいえ、当然のことだけど密を避けるために係の人たちがひっきりなしにアナウンスをしていて、ゆっくり見れる感じではなかったので、遠くからちょっとだけ写真を撮って退散する。
大田区にある「聖火リレー走者像」とは?
第3区間は大田区だが、お台場・有明エリアを自転車で走って抜けるにはちょっと遠回りしなくてはいけない。その途中にある「有明テニスの森」やスケートボードなどの会場となっている「有明アーバンスポーツパーク」の近くを通ろうかと思っていたが、道を勘違いして豊洲市場の方に出てしまった。このときはちょうど時間帯的に大坂なおみ選手の試合やスケートボードの堀米雄斗選手が金メダル獲得していたころだったかもしれない。
選手村に近い豊洲大橋は通行止めになっていたので、その先の晴海大橋を渡り、築地から海岸通り、第一京浜を南下して、平和島方面へ。計約20km走って、第3区間・大田区のスタート地点「大森ふるさとの浜辺公園」に到着した。
コースは園内の滑り台のある小山を一周してから北に向かい、ボートレース平和島の前を通過して、第一京浜を再び南へ。途中で、大田区総合体育館に立ち寄る。ここには「聖火リレー走者像」という銅像がある。1964年東京五輪で聖火ランナーが第一京浜を走ったことを記念するものだ。
さらに南下し、環八とぶつかる交差点でUターンして、JR蒲田駅のとなりの大田区役所でゴールすることになっていた。この区間は約6kmのコースだった。
品川区ではミッフィーがお出迎え
第4区間は品川区で、約8km北に移動。「東品川海上公園入口」からスタートするはずだった。この公園はオランダ生まれのうさぎのキャラクター、ミッフィーとコラボしていて遊具や花壇などにミッフィーがあしらわれている。
コースは公園を出発して北に向かい、天王洲交差点を左折。その先で、旧東海道の品川宿に入る。
その後、青物横丁駅、大井町駅のそばを通り、品川区役所のとなりにある「しながわ中央公園」へ。園内を走り、西側広場のヘリポートにゴールする約4.5kmのコースだった。当日は、ここで点火セレモニーが行われた。
この13日目は4区間しかないので楽勝かなと思っていたら、思ったより移動距離が長く、加えて暑さも厳しくて、ちょっとしんどかった。次回は東京14日目で、残りは2日間。ようやくゴールも近づいてきた。
(光石達哉)